日本一の美しいアーチを描く生きた日本の遺産「黒部ダム」

日本一の美しいアーチを描く生きた日本の遺産「黒部ダム」

更新日:2013/03/18 17:48

鮎川 キオラのプロフィール写真 鮎川 キオラ 子どもの好奇心を育てる旅育ライター、ホテル朝食研究家
「世紀の大事業」と呼ばれ、日本一の高さを誇る黒部ダムは、来年50周年を迎えます。その美しいアーチと圧倒的な存在感は、訪れる人を今なお魅了しています。紅葉の見頃を迎え、鮮やかな色に染め上げられた大自然の中に堂々と君臨する黒部ダムを見に出かけませんか。話題のご当地グルメ「黒部ダムカレー」も紹介します。

日本一のダム

日本一のダム

写真:鮎川 キオラ

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お椀を半分に割ったような形の黒部ダムは、日本一の高さ186m、美しい弧を描いている堰堤(えんてい)は、長さ492m、幅8.1m、その上を歩いて渡ることができます。この無機質なコンクリートのダムがなぜ訪れる人を魅了するのでしょうか。アーチ式ドーム越流型と呼ばれる力学的な機能と美しいアーチが特徴の姿に魅了されるのでしょうか。

7年の歳月をかけて完成した「世紀の大事業」と称される黒部ダム。トロリーバスを降りてから、黒部ダムへ向かうトンネル内には、当時の建設風景を伝えるモノクロ写真が飾られていますので、ぜひ一枚一枚ご覧になってから先へ進んでください。トンネルを抜けて目の前に姿を現すダムの姿への感動が一層深くなります。

写真は、堰堤の美しいアーチを含めて黒部ダムの全景を望むダム展望台からの風景です。280段の階段を登りますが、絶景を求めてぜひ頑張って登ってください。放水期間は毎年6月26日から10月15日までとなり今年は終わってしまいましたが、紅葉は10月下旬の今から見ごろを迎えます。

天まで続きそうな外階段

天まで続きそうな外階段

写真:鮎川 キオラ

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こちらは、ダム展望台まで続く外階段です。岩肌に作られた階段はこのまま空まで続いているようです。後立山連峰の山並みと黒部ダムを見下ろしながら進むことができる絶景の階段です。

大きなバケツ

大きなバケツ

写真:鮎川 キオラ

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ダム展望台へ向かう外階段途中の広場には大きな大きな黄色のバケツ。こちらは、ダム建設工事に使用されたコンクリートバケットです。大人二人分ほどの高さの巨大なバケツですが、黒部ダムのスケールの大きさを考えると、とっても小さく感じられます。他に大きな滑車やワイヤーなども野外展示されていますので、休憩も兼ねて忘れずチェックしてくださいね。

ご当地グルメ「黒部ダムカレー」

ご当地グルメ「黒部ダムカレー」

写真:鮎川 キオラ

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黒部ダム散策をして小腹がすいたら、ご当地グルメとして長野県大町市を中心に盛り上がる黒部ダムカレー。大町市内で開催された国際ダム会議の昼食として各国からの参加者に、このダムカレーが提供されたそうですよ。世界にひろがるかな?日本のご当地グルメ。

黒部ダム目の前のダムレストハウスは、本家御三家のひとつとなります。せっかくなら、ダムに一番近いレストランで本物と見比べながらいただいてみてはいかがですか。

手前が黒部ダムカレー(1,050円)。黒部湖のエメラルドグリーンの湖面をほうれん草ベースのグリーンカレーで表現。ニンニクとスパイスの効いた大人向けのカレーです。奥がお子様ダムカレー(1,050円)、隠し味にすりリンゴの入ったフルーティーな甘口。観光地のレストハウスの食事には過大な期待をしないのですが、こだわりの本格的なルーに感動。ライスで作られたえん堤をスプーンで豪快に崩していただきまーす。

【黒部ダムレストハウス】
営業時間:7:30〜17:00
営業期間:4月10日〜11月30日

難工事の象徴「破砕帯」

難工事の象徴「破砕帯」

写真:鮎川 キオラ

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コンコンと湧き出すこの湧水こそ、黒部ダム建設の行く手を阻んだ「破砕帯(はさいたい)」の水です。その豊富な湧水は、今では観光客が無料で飲むことができます。ひんやり冷たくて喉を潤してくれます。

当時の作業員にしてみたら、見るのも嫌な湧水かもしれません。毎秒660トンもの水と土砂が噴き出す破砕帯にぶつかり、苦闘の末、80m掘削するのに7ケ月もかかったそうです。今ではその破砕帯エリアはトロリーバスで7秒ほどで通り抜けます。

人間が作り出したコンクリートの建造物と自然が作り出した北アルプスの山並みが見事に調和する黒部ダム。色んな角度から展望できる施設が充実していますので、雪化粧した後立山連峰と錦に輝く黒部ダム周辺の紅葉散策をしてみてはいかがでしょうか。

来年2013年、黒部ダムは50周年を迎えます。戦後の高度経済成長を支えるエネルギーの供給の為に作られたこの建造物は、一般家庭の100万戸分の1年間の電力を発電しているそうです。今なお私たちの生活に欠かせない電力を供給し続けている生きた遺産です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/10/06−2012/10/07 訪問

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