世界三大貴腐ワイン、トカイワインを「旅」で楽しむ

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世界三大貴腐ワイン、トカイワインを「旅」で楽しむ

世界三大貴腐ワイン、トカイワインを「旅」で楽しむ

更新日:2017/02/06 17:49

小谷 雅緒のプロフィール写真 トラベルjpナビゲーター 小谷 雅緒 国内旅程管理主任者、ハンガリー政府公認ガイド

ハンガリー・ワインの代名詞のような存在のトカイワインですが、ただ単に甘口ワインと思っていませんか?トカイワインを紹介するメディアは多数ありますが、「たびねす」らしく旅で味わう観点からご紹介します。ベストは世界遺産のトカイ地区を訪れることですが、ブダペスト市内で賢く買う、楽しく飲むコツもレクチャーします。

ワインを求めてトカイに行けば・・・けっこう静かです。

写真:小谷 雅緒

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トカイ[Tokaj]とは都市名であり、ワイン生産地区名でもあります。場所はハンガリーの北東、スロヴァキアとウクライナの国境に近く、トカイ市を中心に、その周辺がトカイのワイン地区です。

人口5000人ほどのトカイの街は小さく(写真はまちのメインストリート)、世界的なワインの中心地とは思えないほどこじんまりしています。それでも観光化されたワインショップの他、ワイン販売所も兼ねたワイン居酒屋ボロゾー[borozó]が何軒もあります。とはいえ、ワイナリーを訪ねるなら、ブドウ畑を見るなら、目的地はちょっとちがうかも。

ワイン生産地区としてのトカイは広く、その中でも特に逸品を産出するこで知られる村がいくつかあります。

貴腐ワインとは?トカイワインとは?

写真:小谷 雅緒

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※サイトの性格上、ここではトカイワインの歴史や製法についての詳細説明は省略します。また、トカイワインはその価値を守るために、製法や名称など、ルールが厳格であり、そのルールも発展的改正がよく行われます。

トカイワインはすべて白ワイン。栽培を公認されているブドウは現在5種類ですが、その8割ほどをフルミント[Furmint](写真)が占めます。フルミントの辛口も、トカイワインの定番です。

貴腐ワインは甘口ワインの最高峰で、貴腐ブドウでつくるワインです。しかし、貴腐ブドウという種類があるわけではありません。貴腐菌(ボトリティス・ シネレア菌)による過熟により、干しブドウ状になることを貴腐化といいます。この貴腐菌はどこでも発生するわけではなく、世界でも数か所のみ、トカイの地理的条件がこの菌を生むのです。

写真:小谷 雅緒

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写真は貴腐化したフルミントの様子です。

価値の高い貴腐ブドウですから、すべてのブドウが貴腐化すれば大万歳ですが、そこは自然相手、天候に左右されます。さらには、ブドウの房の中に、貴腐化した粒と、貴腐化しなかった粒がまざっているので粒選りし、別々に醸造します。

結果として、数量的にはふつうの白ワインが圧倒的多数産出されます。この白ワインが貴腐ワインのベースにもなるのです。

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そして、こちらが摘み取った貴腐ブドウ。

ハンガリーでは貴腐ブドウや貴腐ワインをアスー[Aszú]といいます。貴腐ブドウだけで醸造したワインは、まるで蜂蜜のように甘く、ワインとして飲むものではありません。実はアスーはブレンドワインです。ベースになるのは貴腐化しなかったブドウで作ったふつうの白ワイン。

アスーには3〜6プットニョシュ[puttonyos]という単位が付いています。これは、粒選り作業で使う背負いかご「プットニ[puttony]」の形容詞で、このかごいっぱいで約20〜25kgの貴腐ブドウが収まります。ベースになる136リッターの白ワインに、かご(プットニ)何個分の貴腐ブドウが含まれているか。これが3〜6プットニョシュという単位で表されます。

つまり、3かご分の貴腐ブドウを使っていれば、3プットニョシュです。当然、数字が大きい方が甘く、原則として価値も高くなります。実際の価値は、プットニョシュ数だけでなく、作り手やヴィンテージによる部分が大きいです。

すばらしいトカイ・アスーに出会いたい。購入のポイントは?

写真:小谷 雅緒

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トカイはハンガリー二大ワイン産地のひとつであり、小さいワイナリーから「ワイン工場」規模まで、メーカーも多数。そのレベルもピンきりです。観光地の土産店やスーパーで販売されているブランドは、比較的安価なものが多いでしょう。

貴腐ワインは高級ワインに分類されます。それでもトカイ・アスーなら、同じく貴腐ワインのフランス産ソーテルヌに比べ、ぐっとお得な価格です。メーカーやヴィンテージ、あるいは何プットニョシュかにもよりますが、せっかくならば7000フォリント(約3500円)以上のものを探してください。味の批評は主観によるとはいえ、このくらい払えば、リスクはかなり避けられるはず。

トカイのトップワイナリーは概して、直販や試飲(有料)などの一般訪問を制限している傾向にあります。本業が忙しいのでしょう。直販しているワイナリーも営業時間が極めて短いことがたいていです。

その代り、トップワイナリーはブダペスト市内のワイン専門店や高級レストランに、ダイレクトで卸しています。レストランは別にして、専門店の価格は直販と変わらない場合もあります。直販で購入する場合、半ダース単位で購入すると、割引が適応されることが一般的です。

※写真はトップクラスの畑があるマード村[Mád]

写真:小谷 雅緒

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こちらの写真は収穫を待つ大手ワイナリー、ディスノークー[Disznókő]
の晩秋の様子。(ディスノークーについては後述)

買って帰るのは重いので、せめて飲んでいきたい・・・

写真:小谷 雅緒

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樽のサイズも他と異なるトカイ・アスーは、ボトルも500mlと小ぶりです。とはいえ、ビンもの+液体。買うかどうかその前に、味見をしてみたいですよね。高級ワインであるが故、無料で試飲ができるのはパックツアーで契約している土産店くらいです。

貴腐ワインは個性の強いワインなので、ハンガリー名物のフォアグラや、青かびチーズと相性が良いです。また、デザートワインとして楽しみます。

観光客向けレストランには、比較的気軽なレベルのトカイ・アスーをグラスで注文できるところもあります。本来は高級ワインです。カジュアルな飲食店が扱うようなワインではありません。

フォアグラを扱うようなレストランは、高級カテゴリーです。そのようなレストランであれば、ヴィンテージやブランドにもよりますが、1杯6000フォリント(約3000円)程度も珍しくありません。

※写真は地区最高と名高いレストラン、マーディ・ウドヴァルハーズ「グストー」[Mádi Udvarház-Gusteau]

ブランド化が進むトカイ、シャトーホテルや高級レストランにも注目

写真:小谷 雅緒

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貴腐ワインを産出するトカイは、昔から貴族の領地として人気がありました。現在、トカイ地区では元貴族の館を改造したシャトーホテルが増えています。

トカイに領地を持っていたデゲンフェルド伯爵家[Gróf Degenfeld]は、大戦後の歴史変遷の中、ハンガリーを離れましたが、再び領地を買戻し、現在、ブドウ畑に囲まれた館をホテルに、そしてデゲンフェルド家ブランドで、こだわりのワインも作っています。おいしいワインと食事を、エレガントな雰囲気で楽しむことができます。4つ星ですが、高級感あふれていて、おすすめのシャトーホテルです。

ゴーミヨ(※)でも評価されているレストランも増えています。特にマーディ・ウドヴァルハーズ「グストー」[Mádi Udvarház-Gusteau]は、後述する若手実力派ワイナリー「セント・タマーシュ[Szent Tamás]」が運営しています。ハンドルキーパーがいるのなら、ぜひワインといっしょに味わいたいですね。

※ゴーミヨ[Gault&Millau]は、ミシュランガイドと双璧を成す、フランス発のホテル&レストランガイド。ハンガリー全域をカバー。

*デゲンフェルドシャトーホテル[Gróf Degenfeld Kastélyszálló](写真)
3915 Tarcal, Terézia Kert 9.
Tel: +36-47-580-400

*マーディ・ウドヴァルハーズ「グストー」[Mádi Udvarház-Gusteau]
3909 Mád, Batthyány u. 51.
Tel&Fax: +36-47-348-297
営業時間:水−土 10:00-22:00、日 10:00-20:00

写真:小谷 雅緒

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先述のディスノークー[Disznókő]はレストランも併設しています。店名のシャールガ・ボルハーズ[Sárga Borház]は、元は共産時代のころまで圧搾作業が行われていた小屋で、その外観が黄色(シャールガ)だったから。カジュアルな外観とスタイルですが、料理そのものは洗練されています。もちろん、膨大な種類の自社ワインがそろっています!

トカイに行って味わいたい。おすすめのワイナリー

やはり、トカイのブドウ畑敷地内で、ワインが楽しめることがベストでしょう。トップワイナリーで、試飲(有料)もでき、英語も通じ、予約不要の条件であれば、以下のワイナリーをおすすめします。

*エルシュー・マーディ・ボルハーズ[Első Műdi Borház]
若手実力派ワイナリー「セント・タマーシュ[Szent Tamás]」のワインを中心に、トカイの他社ワインも扱うショップ。2014年内、アスーは試飲ラインナップにないので、飲みたい場合は買い取りオンリー。軽食も美味。試飲はモダンなショップ内で行うが、別料金で畑での試飲&見学も可能。

3909 Mád, Hunyadi u. 2.
tel:+36-47-348-007
営業時間:毎日7:00 - 22:00

*ディスノークー[Disznókő]
トカイ最大手のひとつ。伝統的な地下セラーでの試飲ができる。併設のレストラン「シャールガ・ボルハーズ」も手ごろで美味。畑見学ツアーや団体の場合は予約が望ましい。

3931 Mezőzombor, Disznókő dülő(国道37号線沿い)
Tel: +36 47 569 410
営業時間:5〜10月毎日10:00 - 18:00、冬季は要確認

*トカイへのアクセス
トカイ(市)へはブダペストからインターシティ(国内特急)で約2時間半、トカイ駅から中心部までは徒歩15分程度。
トカイワイン生産地区内の移動はマイカー必須。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/10/27−2016/10/28 訪問

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