琵琶湖畔にひっそり佇む近江の隠れ里「菅浦の湖岸集落」を歩く

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琵琶湖畔にひっそり佇む近江の隠れ里「菅浦の湖岸集落」を歩く

琵琶湖畔にひっそり佇む近江の隠れ里「菅浦の湖岸集落」を歩く

更新日:2014/07/07 15:56

成沢 崇のプロフィール写真 成沢 崇 名古屋仏像研究会 会長、旅ライター

滋賀県は琵琶湖の北端に突き出た葛籠尾崎(つづらおざき)の先端に位置し、ひっそりと佇む菅浦の集落。
街道からは離れ、過去には集落の境界争いなどがあったことから菅浦の集落は外部の人と付き合うことがなかったと伝えられています。まさに近江の隠れ里と呼べる「菅浦の湖岸集落」を今回はご紹介します。

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ゆっくりと時間の流れる隠れ里

ゆっくりと時間の流れる隠れ里

写真:成沢 崇

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菅浦のある葛籠尾崎は山々が迫るように突き出た地形をしており、平地が少ないために岬の沿岸に集落が密集しています。
琵琶湖と山並みに囲まれた自然豊かな地域で、ここに住む菅浦の人々は古代より漁業や林業など様々な生業によって生活をする独特の文化を築いてきました。中世には全国でもいち早く。惣(そう)と呼ばれる自治的村落をつくり、村としての結束を深く結んでいました。

奈良時代の万葉集には湖上交通の要所であったことを思わせる歌が残されています。
「高嶋の 阿渡の水門を 漕ぎ過ぎて 塩津菅浦 今か漕ぐらむ」(万葉集 巻9-1734)
要約すると、高島の安曇の港を漕いで行ったあの舟は、今ごろは塩津か菅浦の辺りを漕いでいることであろうか。と歌っており、菅浦の集落が古代から続く歴史深い土地であったことが伺えます。

菅浦集落の境界を示すシンボル「四足門」

菅浦集落の境界を示すシンボル「四足門」

写真:成沢 崇

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集落に入るとまず目を引くのは、厚みのある茅葺き屋根を乗せた四足門。車やバスで訪れると駐車場のすぐ北側に建っています。

これは寺院に見られるような山門の跡ではなく、菅浦の集落を西と東の2つに分ける境界線の意味を持ち、ほぼ全ての住宅がこの四足門の内側に建ち、今はなき北側に建っていた2つの四足門を配置し「四方門」と呼び、菅浦の境界線としていました。

この門の姿から、菅浦が他の集落とはひと味違うということが伝わってきますね。

淳仁天皇を祀ったと伝説が残る須賀神社

淳仁天皇を祀ったと伝説が残る須賀神社

写真:成沢 崇

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菅浦には奈良時代の淳仁天皇にまつわる伝承も遺されており、その歴史の深さを感じさせます。

奈良時代、恵美押勝の乱がきっかけとなり皇位を奪われた第47代淳仁天皇。
一般的には皇位を奪われた淳仁天皇は淡路国(現在の淡路島)へ流されたと伝えています。

しかし菅浦では、淳仁天皇は淡路国ではなく菅浦へ流されたと伝えられています。

菅浦に伝わる話では、恵美押勝の乱で道鏡や孝謙上皇に敗れた淳仁天皇は都を追われ、琵琶湖を渡り菅浦の地に隠棲した。また、一般的に淡路と伝えられているのは実は「淡海※」の間違えであったと伝えられています。

※「淡海」とは今で言う滋賀県のことで、近淡海(ちかつおうみ)と古代では呼ばれていました。

なぜこのような伝承が残されているか定かではありませんが、廃帝となった天皇をお守りしてきたのが菅浦の人々であったと今でも語り継がれ、集落の西に建つ須賀神社は、淳仁天皇の御陵ともいわれています。

ここから先の本殿へは土足厳禁です!

ここから先の本殿へは土足厳禁です!

写真:成沢 崇

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須賀神社は古来より神聖な場所とされ、本殿は土足禁止となっています。初詣でお参りするような神社の雰囲気とは全く違うので初めは畏れすら感じますが、神聖な場所に土足で上がらないという考えは、純粋なまでに深く篤い信仰心を感じさせられます。

本殿の手前には下足箱がありますので、神域となる本殿へ行くにはスリッパに履き替えるか、裸足で参拝しましょう。この時一緒になった菅浦のおばあさんは靴を脱ぎ、裸足でお参りされていました。スリッパが置かれるようになったのは最近のことで、地元の人々は現在でも裸足でお参りをされるようです。

また、須賀神社の参道脇には、貴重な資料を展示する菅浦郷土資料館があります。この地の歴史をもっと深く知りたい方は、立ち寄ってみることをオススメします。ただし、地域の方が管理されている資料館ですので開館時間は13時〜16時と短めですからお気をつけ下さい。

「菅浦の湖岸集落景観」として2014年に重要文化的景観に選定

「菅浦の湖岸集落景観」として2014年に重要文化的景観に選定

写真:成沢 崇

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2014年にはこうした景観、背景から「菅浦の湖岸集落景観」として国の重要文化的景観に選定されました。
滋賀県では近江八幡の水郷(滋賀県近江八幡市)、高島市海津・西浜・知内の水辺景観(滋賀県高島市)、高島市針江・霜降の水辺景観(滋賀県高島市)、東草野の山村景観(滋賀県米原市)に次いで5件目です。

中世村落の貴重な景観を今に遺し、大雨や強風の際に大荒れになる琵琶湖の波から家を守るために築かれた数多くの石垣が美しい景観を作っています。
隠れ里と呼ばれた菅浦の集落を旅してみてはどうでしょう。

春は海津大崎の桜、秋は紅葉にあわせて

今回ご紹介した菅浦へはバスか車でしか行くことは出来ません。
車なら奥琵琶湖パークウェイを利用し、集落西側の四足門の近くに無料駐車場があります。
JRならば北陸本線「木ノ本駅」もしくは湖西線「永原駅」から路線バスが出ていますので「菅浦」バス停で下車してください。(本数は多くありません)

集落は1時間ほどもあれば1周できますが、須賀神社や資料館を絡めて2時間ほど時間をとると楽しめると思います。

湖北の仏像巡りと絡めたり、春ならば海津大崎の桜と併せてめぐることをオススメします。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2011/11/23 訪問

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