旅の醍醐味は街歩き!金沢市・疏水沿いの瀟洒なせせらぎ通りを散策

旅の醍醐味は街歩き!金沢市・疏水沿いの瀟洒なせせらぎ通りを散策

更新日:2023/06/27 10:00

旅先ではブラブラ歩いて街の人と交流し、「あそこは行った?」なんて会話が弾むことによって情報をどんどんゲット、それで旅が作り上げられていく…なんて最高ですよね。そんな夢をかなえてくれそうな、金沢市の、アットホームな雰囲気とセンスの良さを兼ね備えた、街歩きが存分に楽しめるスポットをご紹介しましょう。

香林坊の裏にとっておきの場所が♫

香林坊の裏にとっておきの場所が♫
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金沢市随一の繁華街といえば、香林坊。

香林坊東急スクエアと、北陸の老舗デパート「香林坊大和(だいわ)」が向かい合って建ち並び、2011年にオープンした、BEAMS、ジャーナルスタンダードなど人気のショップの入った金沢ラモーダも加わって、北陸最大級のショッピングゾーンとなっています。

しかし、そんなゴージャスな香林坊の大通りから一本通りを隔てただけで、そこにはほどよく落ち着いた、それでいて楽しいお店の寄り添った、その名も「せせらぎ通り」が存在するんです。

香林坊東急スクエアのすぐ脇を抜けて一本裏手の道へ回ってみてください。すでにどこからともなく、サラサラサラ…という爽やかな音が聞こえてくるはずです。

金沢の人々に愛される癒しの疏水

金沢の人々に愛される癒しの疏水
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このせせらぎ通りは、鞍月用水という疏水に沿った通りなのです。その名のとおり、ここでは常に心地よいせせらぎの音が聞こえてきます。

空気中に満ちているマイナスイオン、せせらぎの1/fゆらぎ…、歩いているだけでヒーリング効果までありそうなそんな場所がこんな街中にいきなり現れるのも、金沢の魅力のひとつです。

金沢市は人口が約45万人。北陸では最大級の都市ですが、人口が過密すぎないせいもあり、街には自然が色濃く残っています。近代的な建造物があったかと思えば、歴史にちなんだ場所やたっぷりとした樹木がすぐに目に入り、街のどこにいてものんびりくつろいだ気持ちを味わえます。

さてこの疏水は、もともとは灌漑用、さらには菜種油を作るために利用されていたとのこと。加賀藩統治時代の初期に改修されたという記録があるものの、正確にいつごろから存在するのかはわかっていません。

やがて明治に入ると、菜種油だけでなく精米・製粉の動力として、多くの水車が回るようになったとか。この時代、脱穀や精米、石臼を挽いての製粉など生活に必須でなおかつ継続して行う必要のあった力仕事が、水車の動力で動く複雑な機械によってほとんどオートメーション化されていたそうで、それは電気をまるで使わない究極のエコな機械化でした。そしてこの鞍月疎水は大正期には製糸場の動力の確保にも利用されたのです。

しかし、やがて世の中がすっかり様変わりし、水車の動力が必要なくなった今では、目を楽しませ、耳に心地よい、安らぎをあたえてくれるものとして、この疏水はなくてはならない存在になりました。時代を超えて、鞍月用水は金沢の人々に愛されています。

まるで外国の瀟洒な小径

まるで外国の瀟洒な小径
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さて、このせせらぎ通り、両側に、思わず入ってみたくなるような素敵なお店がひしめきあっています。ファッションブティック、古本屋、パン屋さんにカフェ、居酒屋にレストラン、昔ながらの銭湯もあれば、お香を専門に商う個性的なお店もあって、どのお店から入ろうかと迷ってしまいそう。

大資本経営のチェーン店はほとんど存在せず、個人経営のお店ばかりであるのもこの通りの特徴かもしれません。
どの店も、最先端とか、贅を凝らしてきらびやかという雰囲気ではありません。しかし、どこかにオーナーのセンスが味わい深く滲んでいる、趣ある魅力の店構えばかりです。

どの店も個性があるのに、この疏水沿いの土地に惹かれて集まった人の思いが共鳴しあっているかのように、通り全体としてひとつの心地よい雰囲気を作り上げてもいます。

通りにある貴船神社は古来より、悪縁を断ち、または縁結びの御利益があるとされてきました。縁を切りたい人はこの貴船神社の前に流れる用水を渡って参り、縁を結びたい人は裏手から回って参るという習いがあったそう。また縁切りは香林坊方面からこのせせらぎ通りを歩いて参り、縁結びは通りを逆のほうから歩いてきて参るという説もあります。この通りを訪れるとき、切りたい縁、あるいは結びたい縁がある方は、どちら側から歩くかぜひ参考にしてみてくださいね。

街歩きの休憩はおすすめのニューヨークテイストなカフェへ

街歩きの休憩はおすすめのニューヨークテイストなカフェへ
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さて、このせせらぎ通りの散策途中にぜひ立ち寄ってみたい、筆者おすすめのニューヨークスタイルのカフェをご紹介しましょう。

せせらぎ通りの中程にあるカフェ・ダンボは、ニューヨークに留学していたというオーナーが、おしゃれな家具のリペア職人さんの旦那様とはじめたというお店。ニューヨーク風だから単におしゃれな雰囲気…というだけの店ではありません。少しでも体によいものをと、水や調理方法にもこだわって作る料理やお菓子が供されているお店なのです。

お店の料理に使うお米は、オーナー自らが田植えにも参加して育てている自家米なんだそう。

いかにもアメリカンといったキッチュな見た目のお菓子が多く並んでいますが、実は国産小麦を使った乳製品や卵を使用していないスコーンなど、手作りのこだわりメニューが多いのが嬉しい。

オススメドリンクで疲れも吹き飛び、再び通りへ繰り出そう

オススメドリンクで疲れも吹き飛び、再び通りへ繰り出そう
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このカフェ・ダンボ、店内には家具のリペア職人の旦那様のコレクションでしょうか、インテリア関係のお洒落な洋書や、ニューヨークにちなんだ本がたくさん置いてあり、時間の経つのも忘れてこれらを読みふけるのも楽しいです。

さて最近、ニューヨークのブルックリン地区では、ローカルということにこだわったインディーズの若い作り手が急増しているそう。

それは、今だけよければいいというのではなく、将来に渡ってよい環境や社会を持続させたいという願いから、地元でとれた食材を小規模な手作りで生み出すという取り組みなんだとか。

シェフと料理好きのアーティストという組み合わせの兄妹デュオが、ボトリングからラベル貼りまでブルックリンのアトリエで手作業で作っているという「Morris Kitchen」というシロップ専門のブランドがあります。炭酸で割ったりして楽しめるスペシャル・アップル・シロップなどが人気。このカフェ・ダンボでは、その「Morris Kitchen」のシロップを入荷しており、それを使ったメニューを楽しむことができます。

筆者のオススメは、この「Morris Kitchen」のジンジャー・シロップを炭酸で割ったもの。

生姜と炭酸水のパンチに、こっくりとした甘味、それにレモンの輪切りが爽やかな酸味を添えて、とても飲みやすいドリンク。糖分を補給できるので、街歩きでの疲れも吹き飛びます。

2階の客席からは、すりガラスの向こうに疎水と通りがぼんやりと見渡せて、この店のニューヨーク的な雰囲気と、せせらぎ通りのどこかノスタルジックな雰囲気が渾然一体となって感じられ、今自分がいつの時代のどこにいるのだろうかという気分になります。そんな旅がますます面白いと感じる瞬間を味わえるのが、ここカフェ・ダンボです。

美味しいドリンクを飲み終わる頃には、再び通りに繰り出してみたくてウズウズしているのではないでしょうか。

おわりに

いかがでしたか。
金沢の人は、穏やかでおっとりしており、よその土地の人にも人見知りせず親しく会話をする気質があると言われています。
せせらぎ通りを訪れたら、ぜひお店の人に話しかけてみてくださいね。
筆者ならではのオススメを紹介したつもりですが、ここのあなたにとってのほんとうのオススメは、きっとこの通りで出会う人が教えてくれるに違いありません。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/06/30 訪問

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