神秘の湖と鍾乳洞が織りなす絶景の国『スロベニア』

神秘の湖と鍾乳洞が織りなす絶景の国『スロベニア』

更新日:2014/07/22 14:51

吉川 なおのプロフィール写真 吉川 なお 台湾在住ライター、元旅行会社勤務の旅行マニア
1991年6月に旧ユーゴスラビアから独立したスロべニア。
日本の四国ほどの大きさで、アルプス山脈の南端ユリアンアルプスの麓に位置し、北はオーストリア、西はイタリア、南はクロアチア、北東はハンガリーと国境を接しています。
石灰岩で出来たカルスト地形は鍾乳洞の宝庫で、至る所で絶景に出会えます。

日本からの観光客はまだ少なく、これからきっとブレイクしそうなスロべニアの見どころをご紹介しま〜す♪

「アルプスの瞳」、ブレッド湖

「アルプスの瞳」、ブレッド湖

写真:吉川 なお

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スロベニアの北西部に位置し、ユリアンアルプスの麓にたたずむブレッド湖は、氷河が溶けた水が湧き出て出来た湖で、その景観の美しさから「アルプスの瞳」と称されています。

真っ青な水を満面にたたえ、湖面では白鳥が戯れています。湖畔には遊歩道が整備されていて、約2時間ほどで島を一周できます。

湖の中に浮かぶブレッド島は、プレトナと呼ばれる小さな手漕ぎボートでしか渡れません。湖畔のムリノ村出身の船頭が、2本の櫂を巧みに操って漕いでいきます。漕手はオーストリアの女帝マリア・テレジアが許可証を与えて以来、ムリノ村の男性が世襲で務めています。なお、モーターボートの使用は環境保護のため禁止されています。

かつてこの島にはスラブ民族に伝わる愛の女神ジヴァの神殿があったことから、島にある聖マリア教会は永遠の愛を誓う聖地となり、多くのカップルがここで結婚式を挙げています。

愛の聖地「聖マリア教会」

愛の聖地「聖マリア教会」

写真:吉川 なお

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島に着くと、聖マリア教会に続く99段の階段があります。ここで結婚式を挙げる新郎は、新婦を抱きかかえてこの階段を上らなければなりません。そのため挙式が決まると、新郎は身体を鍛え、新婦はスリムになる努力をするのだとか。まず最初の試練ということですね。

教会には7回鳴らすと願いが叶うという伝説の鐘があります。昔、ある未亡人が亡くなった夫への思いを託して鐘を造りましたが、島へ運ぶ途中に嵐に遭い湖底に沈んでしまいました。願い叶わず尼僧となって生涯を終えた彼女の心情を汲んで、当時のローマ教皇が「希望の鐘」を寄贈したのです。いまその鐘が、訪れた人たちによってひっきりなしに鳴らされています。多くの人にたくさんの幸せが訪れますように。

断崖絶壁に建つ古城「ブレッド城」

断崖絶壁に建つ古城「ブレッド城」

写真:吉川 なお

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ブレッド城は、ブレッド湖を見下ろす高さ約130メートルの断崖に建つ古城です。11世紀初めに建てられ、16世紀に改装された城内は、ロマネスク様式の回廊がある城壁とゴシック様式の防衛塔に囲まれ、中世の香りが漂っています。

礼拝堂や博物館、造幣所、ワインセラー、レストランと印刷工房があり、当時の雰囲気を残す印刷工房では、ブレッドの風景が印刷された用紙に自分の名前と訪問日を刻印してもらうことができます。

展望台からは、湖に浮かぶブレッド島のロマンチックな風景と、国旗にも描かれている最高峰トリグラウ山を擁するユリアンアルプスが織りなす絶景を望むことができます。

カルスト地形が育む地底の神秘「ポストイナ鍾乳洞」

カルスト地形が育む地底の神秘「ポストイナ鍾乳洞」

写真:吉川 なお

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国土の半分近くが石灰岩でできたカルスト台地で覆われているスロべニアには、6000カ所以上の鍾乳洞があると言われています。北西部にあるクラス(ドイツ語でカルスト)地方の石灰岩の地形が「カルスト」という用語を生み出しました。

全長21キロに及ぶポストイナ鍾乳洞はピウカ川の水が何百万年もの歳月をかけて形成したもので、公開されている約5キロのうち最初の3.7キロをトロッコ列車で移動し、その後ガイドと共に徒歩で見学します。

目の前に広がる壮大な大鍾乳石群は圧巻の一言で、果てしない時間をかけて、一滴一滴の水によって作り出された神秘の世界は幻想的な雰囲気で、地球の底知れないパワーを感じます。

洞内に生息している盲目の両生類ホライモリは、皮膚が肌色のため類人魚とも呼ばれ、光が届かずエサが少ない環境に適応して目が退化し、何も食べなくても1年近く生きられるという驚異の生物。展示ブースがあるのでこれも必見です。

洞内の撮影は環境保護のため一部のエリアに限定されていますが、トロッコやミュージアムショップ、郵便局といった人工施設が充実しているがゆえに世界遺産となり得ないのは皮肉な話です。
クラス地方にあるシュコツィアン洞窟群は、スロベニアで唯一の世界自然遺産としてユネスコに登録されています。

岩山に張り付く驚きの洞窟城

岩山に張り付く驚きの洞窟城

写真:吉川 なお

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ポストイナ鍾乳洞から北西に9キロの地に建つ洞窟城は、高さ123メートルの断崖に張り付くようにひっそりと建っています。その姿は一度見たら忘れられない独特なもので、まさに地の利を生かした人口の要塞です。

12世紀の中頃に建築が始まった城の入口は跳ね橋で防備され、洞窟に続く秘密の通路を擁する守りの城で、15世紀の城主エラズムは支配するオーストリアに反旗を翻して籠城し、洞窟から食糧の補給を受け6カ月以上持ちこたえたと伝えられています。

現在はダイニングルームや、礼拝堂、拷問室などが公開されていて、当時の人たちの生活の様子を垣間見ることができます。

城の背後には鍾乳洞があり、夏期のみガイド付きツアーが催されています。

絵葉書のように美しい風光明媚な国

氷河が生み出したブレッド湖では幸せの鐘が鳴り響き、地球の息吹を感じるポストイナ鍾乳洞ではわくわく地底探検、断崖にそそり立つ数々の奇城も驚きの風景です。

スロベニアでは自然が長い年月をかけて作り上げてきたさまざまな幻想的シーンに出会えます。

まるで絵葉書の中のような美しい光景を見に、あなたもスロベニアを訪れてみませんか。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2010/08/29−2010/09/07 訪問

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