文化遺産としての価値を味わう、ひと味違った富士山登拝

文化遺産としての価値を味わう、ひと味違った富士山登拝

更新日:2014/06/24 17:06

2013年夏に日本で17番目の世界文化遺産となった富士山。正式登録名は「富士山、信仰の対象及び芸術の源泉」といいます。

古来より信仰の対象であり、その美しさから様々な芸術作品に表現される富士山の「文化的価値」を存分に味わうことのできる、富士山登拝(登山)の旅は如何でしょうか。

まずは「湯盛うどん」で身体の中を清める

まずは「湯盛うどん」で身体の中を清める
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登拝前の腹ごしらえ?いえいえ違います。

富士山信仰による富士登拝が盛んだった江戸末期から明治時代にかけて、登拝前に身をお清める意味を込めてこの「湯盛うどん」を、街道沿いの食堂で頂いていたそうです。

まったく味付けのない汁。それもそのはず、ゆで汁に野菜とかつお節をのせただけの究極にシンプルな「湯盛うどん」のまずはそのままうどんのモチモチ感、ツルッと通るのどごし、小麦粉の風味を堪能してみてください。
うどん本来の味を楽しんだ後は、テーブルの上に置いてある醤油等の調味料や薬味を使って、自分好みに味付けして頂きます。

2007年に農林水産省が各地に伝わるふるさとの味の中から選定した「農山漁村の郷土料理百選」のひとつである吉田うどん。その吉田うどんを湯盛で頂くこの食べ方、吉田うどんの味わいを存分に堪能できる贅沢な調理法なのかもしれません。

道の駅 富士吉田 軽食コーナー
山梨県富士吉田市新屋1936−6

営業時間 
10:00〜17:00 
9:00〜18:00(夏季7〜9月)

登拝の前には浅間神社で登頂祈願を

登拝の前には浅間神社で登頂祈願を
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古来より噴火を繰り返してきた富士山は「神が宿る山」として畏れられ、噴火を鎮めるために麓に浅間神社を建立し、富士山登拝前に登頂を祈願するのが習わしでした。

現在、吉田・須走・御殿場・富士宮の4つの登山道がありますが、それら登山道の麓に浅間神社が鎮座しています。これら登山道と神社もまた「富士山、信仰の対象及び芸術の源泉」として登録されている世界遺産なのです。

須走口の麓にある冨士浅間神社、通称須走神社は本殿と神門の朱塗りが緑に映える美しい神社です。境内中央・神門の目の前にある富士塚の狛犬は、富士山の溶岩の上に「獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす」の「獅子の子落とし」の諺を倣った親子の狛犬で、他では見ることの出来ない珍しい姿。登拝前の私達の目を楽しませてくれます。

東口本宮冨士浅間神社
静岡県駿東郡小山町須走126

北斎の「赤富士」をその目で確かめる

北斎の「赤富士」をその目で確かめる

須走口5合目にある山小屋で一泊し、山頂では無く6合目付近で御来光を見ましょう。

真っ暗な森の中をあるき続ける事約1時半、森林が低木へと様変わりし足元もゴツゴツした溶岩石が目立ち始めます。6合目を過ぎた辺りから森林限界となり、視界が開けた場所に到着するので、そこで御来光を待ちます。

やがて朝一番でしか見ることのできない、真っ赤に燃えた太陽がゆっくりと昇りはじめ、全てを赤く染め上げます。近くで見ると真っ黒な溶岩石でできた富士山が、葛飾北斎の「赤富士」そのままの姿を映し出し、デフォルメではなく「赤富士」は本当に存在する景色なのだという事を実感できます。

山頂からの御来光も素晴らしいですが、御来光に彩られた「赤富士」を見ることができる須走ルート。他の登山道よりも標高差・距離があり、登山経験者や健脚の方向けではありますが一見の価値があります。

*朝日が昇る時期は季節によって前後します。
須走ルートの場合、5合目から約90分程でビューポイントに到着する目安ですが、山小屋の主人と相談しつつ出発時間を決めると良いでしょう。

(7月上旬〜下旬:4時30〜45分頃 8月上旬〜下旬:4時50分〜5時00分頃)
*須走ルート以外でも吉田ルートであれば途中で御来光を見ることができます。

富士山頂でしか頂けない御朱印

富士山頂でしか頂けない御朱印

登拝途中の鳥居に一礼しつつ登拝、ようやくたどり着いた須走口山頂に鎮座するのは、富士山頂上東北奥宮 久須志神社です。神社らしかぬその姿は、単独峰であるが故の強風対策の為に敷いた、屋根の置き石のせいかもしれません。

参拝を済ませ、御朱印を頂きます。一番大きい御朱印は直径21.5cmあるため通常の御朱印帳では収まらず木綿のシャツや手ぬぐい、白いハンカチ等に頂いている方もいらっしゃるそうです。また、青い背景に富士山と桜の柄が入った山頂でしか手に入れる事のできない御朱印帳を購入する事もできます。

時間に余裕があれば、お鉢巡りをして富士宮口登山道頂上に鎮座する富士山本宮浅間大社の奥宮をお参りしても良いでしょう。

富士山頂上東北奥宮 久須志神社
富士山の標高3715mに位置する神社。別名・東北奥宮。富士登山道の吉田口と須走口側の頂上にあたります。

富士山は日本文化の象徴

如何でしょうか。
文化的側面にフォーカスした富士山登拝は、今まで富士山に登った事にある方もまた違う魅力を発見できるのではないかと思います。

富士山が信仰と芸術の象徴であると実感できるのは、日本人だからこその感性なのかもしれませんね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/08/27−2013/08/28 訪問

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