写真:SHIZUKO
地図を見る紀伊半島の真ん中に位置する、女人禁制が長く続いた大峰山脈は、1500メートルから1900メートル級の山々が連なる近畿の大屋根。修験道の山として多くの修験者が山中を駆け巡る、世界遺産『大峰奥駈道』が山々をつないでいます。徐々に女人禁制は解かれてきましたが、今でも、山頂に世界遺産・大峰山寺がある『山上ヶ岳』だけは女人禁制。長い間、修行の山として秘密のベールに包まれていた山だからこそ、豊かな自然が守られてきました。
山深い大峰山脈は、登山口までのアプローチがかなり長く、困難なこともあり、お手軽な観光登山が難しい場所でした。しかし、今からおよそ40年前の1976年に『行者還林道』が開通したことで、近畿最高峰の八経ヶ岳は、ようやく日帰り登山が出来る山になりました。とは言うものの、もちろん健脚の方なら日帰りは可能ですが、出来れば山小屋に泊まる一泊二日の行程で、山を存分に味わいませんか。
行者還トンネル西口から『弥山(1846メートル)』に登り、弥山小屋で一泊。翌日、近畿最高峰の『八経ヶ岳』に登り『明星ケ岳(1894メートル)』を越えて、頂仙岳の中腹を歩き、天川村の川合へと下る定番コースをご紹介しましょう。
写真:SHIZUKO
地図を見る5月なら、弥山へ向かう厳しい登り道には『シャクナゲ』や『シロヤシオ』という、どちらもツツジの仲間の可憐な花が咲き乱れていて、ピンクと白のコントラストがかわいらしく、その美しさは圧巻です。
花に癒されつつ、急で歩きにくい道を一時間。道は奥駈道と合流します。それまでの登山道と打って変わって道はとても歩きやすくなり『弁天の森』へと続きます。弁天の森と呼ばれるだけあって『オオイタヤメイゲツ』というモミジ中心の森は、新緑が太陽に光に透けて、本当に新鮮な空気があたりを満たしています。
途中、開けた場所から弥山の山頂を見ることが出来ます。あまりの高さ・遠さにひるむかもしれませんが、一歩一歩登って行けば、確実に山頂に近づいていきますからご安心を。
写真:SHIZUKO
地図を見る樹林帯なので、あまり眺望はよくないのですが、1800メートルあたりまで来ると三つのピークが並ぶ『大普賢岳』の姿が見え始めますから、その美しさに励まされながら登りましょう。
最後の急登は、平成2年に皇太子殿下が弥山を登山した時に整備された、とてもきれいな木道が続きます。そのおかげで、弥山小屋もとても過ごしやすい快適な山小屋です。
弥山山頂には『天河大辨財天社の奥宮』があり、目の前には翌日登る八経ヶ岳の美しい姿。
天気が良ければ、夜には満天の星が見られ、翌朝のご来光への期待も高まります。ご来光が見られなくても、雲海や滝雲の流れなど、見事な雲の天体ショーに出会えるかもしれませんから、山では早寝早起きです。
写真:SHIZUKO
地図を見る天然記念物のオオヤマレンゲの群生地を下って、登り返して、八経ヶ岳へ。7月上旬には、可憐な白い花が咲き乱れる人気の場所。
八経ヶ岳の山頂からの眺めは雄大。見渡す限りの山々の連なり。ちょっと前に出発したばかりの弥山小屋が、ずいぶん遠くに見えます。大普賢岳や稲村ヶ岳は本当に美しい姿です。立ち枯れのシラビソやトウヒが作り出す荒涼とした風景もまた、八経ヶ岳の人気の一つ。
いったん下って明星ヶ岳へ再び登り、頂仙岳の中腹をゆったり下っていきます。
写真:SHIZUKO
地図を見るブナの林やオオイタヤメイゲツの林の瑞々しさに感動しながら、しばらくアップダウンを繰り返し、下っていきます。
標高差1300メートルほどの下りですから、最後の2時間くらいは、厳しい急な下りになります。膝への負担もかなりあります。登山は靴が足にあっていないといろんなトラブルを起こしますから、宿泊登山に行く前に、しっかりと靴ならしをしておきましょう。
下り切ったら最後の難関のつり橋を渡って、名湯・天の川温泉で汗を流して、ビールで乾杯!
紀伊山地は2000メートル級の急峻な山々の連なり。とても、そんな山の連なりの向こうへは行けそうもないと眺めているだけの方も多いでしょう。でも、覚悟を決めて登ってみると、その山だけが持っている素晴らしい世界に出会うことが出来ます。パワースポットと軽い言葉では言い切れない、強い力が山を包んでいます。太陽の光、風、緑、鳥の声、雲など大自然が腕を広げ、自分を受け入れ、全身を包み込んでくれる安心感。その優しさに包まれる感動体験をぜひ、あなたも!
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(2024/4/23更新)
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