のんびり・たっぷり・桜井(奈良)談山神社、遊山のひと日

のんびり・たっぷり・桜井(奈良)談山神社、遊山のひと日

更新日:2014/05/29 15:38

奈良県・桜井市にある御破裂山の吉野側に位置し、隠れ里の趣きのある談山神社周辺は、あたかも大人の遊園地。
童心にもどって探検と息抜きで充実しましょう。

スタートは談山神社手前の百市(ももいち)・八井内(やいない)集落から

スタートは談山神社手前の百市(ももいち)・八井内(やいない)集落から
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蹴鞠と紅葉・桜で有名な談山神社は、明治の神仏分離令までは多武峰妙楽寺と呼ばれたれっきとした寺院でした。祭神は藤原鎌足。寺院の起源は唐から帰国した鎌足の長男・定慧和尚が天武7(678)年、父の墓を摂津の国よりこの地に移し、木造十三重塔(重文)を建てたことにはじまるとされます。
以来、国家に異変が起こる時には、鎌足の神像に亀裂が生じ、山が鳴動するといわれ、朝廷はその都度、勅使を差し向けて国家安泰を祈らせたといいます。

談山神社へは桜井駅よりバスまたはタクシーで、できれば多武峰バス停のひとつ手前の百市(ももいち)で下車し、滝の行場(写真)脇の破れ不動、八井内集落の八井内地蔵堂石仏(室町後期)、地蔵磨崖仏などを辿りながら30分余り散策して談山神社の参道へと向かいましょう。

奈良交通バスの便がありますが、1時間に1本程度しか走っていませんので往きはタクシーをおすすめします。
タクシー代金 桜井駅より5km余り。2500円前後

春日大社を思わせる朱塗りの談山神社

春日大社を思わせる朱塗りの談山神社
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東大門をくぐり参道を登ると、日本広しと言えど、ここでしか見られない高さ3m余りの鎌倉後期の重文・摩尼輪塔がまず目に入ってきます。さらに、淡海公(不比等)の石造・十三重塔と後醍醐天皇寄進の六角灯籠を見ながら登ると、朱色を主調とした壮大な神社が目の前に展がります。
境内に入ると、寺社内の建物は大半が重要文化財指定で本殿、拝殿、摂社や宝物展示を見てまわるだけで優に1時間はかかります。
写真は、木造では国内唯一の十三重塔(重文)。

御破裂山頂上と談山

御破裂山頂上と談山
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境内裏手の磐座脇から小道を辿り、談山(かたらいやま・566m)を経て、御破裂山(ごはれつざん・607m)へは、往復約40分ほど。
きのこや無葉緑植物を探しながら是非訪ねてみてください。木の間より眺める大和三山の展望はなかなかのものです。
写真は、御破裂山頂上の鎌足廟をくるりと裏手に回った落葉の間から顔をのぞかせていた菌類と共生する無葉緑植物のギンリョウソウ(別名幽霊草)です。

妖気漂う念誦窟(ねずき)・増賀上人の墓

妖気漂う念誦窟(ねずき)・増賀上人の墓
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談山神社を過ぎて坂道を登っていくと西大門跡、そこからさらに平坦な道を徒歩20分ほど歩いたところには小集落と三社神社があり、その先の標識に従い100mほど谷へ下り、ようやく道が尽きたところの小流れには、鬼面人を驚かすといった、いかつい表情の念誦窟不動磨崖仏が待ち構えています。

そこからは、額田王の万葉歌で知られる、今では希少となったあかね草を見ながらの道行き。
まもなく、いのちがけの奇行で有名な高僧・増賀上人(917〜1003)の墓・念誦窟と記した標識と出会います。

道中、実にさまざまな石仏を見ながら来ましたが、ここから、更に圧倒される数の石仏に見守られながら長い石段を登ること約10分。やがて、不思議な形をした石組が現れます。それが念誦窟(ねずき)。方形の石壇上に、二重石積みの円形塚が築かれ、塚の頂部には五輪塔の地輪が置かれています。

増賀上人は坐ったままみまかったと言われ、「決して荼毘に伏すな」との言葉に念誦したままの姿で安置しましたが、衣服はボロボロになって朽ちても、その身体はいささかも腐乱することなく3年が経ちましたので、遺言通りに大きな穴を掘って坐禅の姿のまま埋めたとされます。その穴の上に築かれたものがこの石組だと言うのです。
石組自体は江戸中期以降の石材を使用しており、幾度も補修されたようです。
しかし、白昼にもかかわらず漂う妖気には、ただならぬものを感じました。

気のおけない門前の紅遊茶屋

気のおけない門前の紅遊茶屋
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談山神社参道の門前には、数軒のお茶屋さんがありますが、今、TVや新聞などで話題の様々な創作奈良漬を販売している美人母娘のお茶屋さんが紅遊茶屋です。
売られている奈良漬はすべて試食させてくれますので、お気に入りの奈良漬をじっくりと選べます。
復路は、女将に忘れた頃に来るバスの到着時刻をあらかじめ聞いておいて、ここでのんびりとビールやお茶で喉をうるおし、おでんやうどん、さまざまな種類の餡餅やあげ餅を賞味しながらすごすことをおすすめします。
また、ここの奈良漬はお友達に肩の凝らない贈り物として最適です。全国へ発送もしてくれます。

紅遊茶屋 
桜井市多武峰 電話0744-46-4721

最後に

桜・紅葉・蹴鞠神事の際には観光客が殺到しますが、ちょっと時期をずらすだけで、おいしい空気と霊山の静寂をほしいままにすることができます。筆者が訪れた時は石楠花が美しい季節で、神社所蔵の能面の特別展示が開催されていました。

2014年6月1日(日)から7月31日(木)までの観音講まつりの期間中は、秘仏の談峯如意輪観音像が特別公開されます。類まれな美しい仏像ですので是非お出かけください。
また6月8日(日)は、談山雅楽会の奉仕による恋愛成就祈願の「鏡女王祭」が恋神社(東殿)で11時より開かれます。

談山神社 
奈良県桜井市多武峰 電話0744-49-0001
拝観料 大人500円 子供250円
拝観受付8:30〜16:30 最終拝観17:00まで

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/05/11 訪問

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