内蔵の集大成!人知れず守られてきた横手市・山吉肥料店を徹底ガイド!

内蔵の集大成!人知れず守られてきた横手市・山吉肥料店を徹底ガイド!

更新日:2014/05/19 14:33

浮き草 ゆきんこのプロフィール写真 浮き草 ゆきんこ トラベルライター、プチプラ旅専門家、LCC弾丸トラベラー
秋田県横手市増田町は、豪雪地帯だったため、主屋の中に内蔵(うちぐら)を作り、そこで、宝物の保管や家族の大切な行事を行っていました。家族や親族だけが入室を許可された豪華絢爛の内蔵は明治・大正・昭和と受け継がれ、今に残されています。平成25年12月、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、現在、約45棟あるうち15棟が一般公開されています。今回は中でも内蔵の集大成といわれている山吉肥料店を徹底ガイドします。

外観はひっそりと

外観はひっそりと

写真:浮き草 ゆきんこ

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江戸時代に葉タバコや繭が県内最大の産地であったことから江戸末期〜明治初期に多くの商人が移り住み、住居を構え、主屋の奥に豪華絢爛な内蔵を作った増田町。町の目抜き通りとなる「中七日町通り」に内蔵群が連なります。といっても、内蔵なので外からは当然見えません。通りを歩いていると、普通の田舎町といった風情。
お目当ての山吉肥料店は「中七日町通り」の中ほどにあります。表の店舗は昭和初期に改造され、事務所と資材置き場となっています。な〜んだ、普通だなと思わないでください。
外観からは想像できない豪華な内蔵が中にあるんです。

早速、中に入っていきましょう。

雪国の伝統的家屋の特徴がそのままに

雪国の伝統的家屋の特徴がそのままに

写真:浮き草 ゆきんこ

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雪国家屋の特徴は、間口が狭く、奥行きが長く、上からみると短冊のような形で、このような主屋が軒を連ねる景観は増田町の特徴ともなっています。
山吉肥料店は間口10.4m、奥行きは41.40mで、間口から庭をこえて裏口まではなんと100m!これを「通り」と呼んでいます。
山吉肥料店の店舗横にある暖簾をくぐると家の中とは思えないほど長い「通り」があります。店舗奥には、神棚が置いてある座敷があり、客間、水屋跡と続きますが、これは増田町の商家の一般的な間取り。
通り沿いには縁が設けられ、通りの上の部分を吹き抜けにすることで、家族の生活の場、座敷に光が入る工夫が施されています。扉はすべて開放することができるため、新鮮な空気も屋内にいれることができるそうです。

台所は今も健在!

台所は今も健在!

写真:浮き草 ゆきんこ

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水屋跡は、現在も台所として使用しています。昔は水屋のそばに井戸がありそこから水を汲んで料理をしていたそうですが、今は水道を通したとのこと。

筆者は5月初めに訪れましたが、家の中はひんやり。夏は涼しく快適だけれども、やはり冬の炊事はすこぶる寒いとか。
冬に冷たい水でお米をとぐお母さんの姿。昔から変わらない東北の風景がここにはあります。

1枚1トンもある重厚な扉に圧倒

1枚1トンもある重厚な扉に圧倒

写真:浮き草 ゆきんこ

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水屋跡の奥は、いよいよ内蔵へ。
増田町の現存する内蔵の中では最も新しく昭和8年から数年かけて作られていますが、内蔵がメジャーになってから作られたため、蔵技術の集大成といってもいいほど見事な作り。
黒漆喰で覆われた堂々たる外観に圧倒されます。1枚1トンもある扉の蝶番は内鞘と呼ばれる格子で覆われ、細工も細かく施されています。開いたときに左右対象となるように作られており、先に左側を閉め、そのあとに右側を閉めるときっちり閉まるそうです。
奥の扉の左端にある白い模様が見えるでしょうか。これは白蛇をかたどったもので、邪悪なものが内蔵に入らないようにとの思いが込められているのだそうです。一つ一つの装飾に驚かされます。

家族だけの特別な場所

家族だけの特別な場所

写真:浮き草 ゆきんこ

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内蔵の中に入ってみたいところですが、内蔵を建造した一代目が「蔵は家族だけの特別な場所」と言っていたため、非公開にしているとのこと。
内蔵の1階は座敷蔵として、冠婚葬祭をするための場所として使われ、2階部分には家宝や冠婚葬祭を行なうための道具が保管されています。
座敷蔵では、三代目の山中さん夫婦の結婚式を執り行ったり、おじいさんおばあさんが亡くなった時に安置したりと、家族の歴史とともにある蔵なんだそうです。

中は見られなくても壁にある内鞘の模様が見事。麻の花がモチーフとなっています。

内蔵を抜けると、花々が咲き乱れる庭があり、通りの最後の部分にはお客様が来たとき用の宿泊ができる家屋があります。

山中さん夫婦の館内案内をぜひ!

山中さん夫婦の手があいていれば無料で館内説明をしてくれます。内蔵にまつわるさまざまな話は、昔ながらの知恵や考え、東北の生活様式が聞けてとても興味深いですよ。

また、増田町には内蔵の中も一般公開している場所がありますので、リンクの「豪雪地帯に隠された豪華絢爛の「内蔵」!横手市増田町の伝統家屋めぐり」を参照ください。

明治から大正の面影を残す豪華絢爛の増田町の内蔵群。カメラ片手に歩いてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。

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