奈良・山辺の道でパワースポットを制す!!最古の神社三社へ参拝

奈良・山辺の道でパワースポットを制す!!最古の神社三社へ参拝

更新日:2014/05/19 11:28

“日本最古”の称号をもつ神社を、三社いっぺんに巡礼できる道、それが「山辺の道」です。
今回は、日本神道の始まりと、原始のままの「神」を今に伝える神社をピックアップして、皆様にご紹介いたします。
有史以前から、ここは古代の人々によって「道」として使用されていました。早速、いにしえの人々の息吹を感じながら、古道を踏みしめてみましょう。
鄙び赴きのある風景にホッと癒され、明日への活力となる筈です。

いにしえの息吹をダイレクトに楽しめる「山辺の道」

いにしえの息吹をダイレクトに楽しめる「山辺の道」
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「山辺の道(やまのべのみち)」は、史実に記される我が国最古の道。遠く弥生時代から、すでに道として機能していた跡があります。
そして古墳時代には、街道として整備され、飛鳥時代になるとその名を文献に残しています。

史実もさることながら、実際歩いてみると、「ここは弥生から万葉の時代まで、確実に古代日本の最重要拠点だったに違いない」と確信できる、史実上の重要な遺跡の多さに驚かされます。
ここは、まだ大部分が解き明かされていない、弥生・古墳・飛鳥の古代日本ミステリースポットのど真ん中。
想像をフル回転させてみてください。

なにより、ほとんど拡張されず、昔の面影を残したままの細い道の風情が素晴らしい。ずっとこの地に住まう人たちの息づかいが感じられる場所です。
道の両脇に並ぶ古い町家・苔むした石仏に櫓・道の脇を走る小川・なだらかな丘陵地に見える清々しい柿畑・ひょっこり現れる地野菜の無人販売所…。

ここでは語り尽くせぬ四季折々の趣が、山辺の道を歩くことでダイレクトに感じられるでしょう。

最古の「神宮」の称号・石上神宮

最古の「神宮」の称号・石上神宮
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石上神宮と聞いて、山岸凉子先生の革命的名著「日出処の天子」を思い出したアナタ!! …完全に、通です。

石上神宮…物部氏の総氏神として、そして古代軍部の武器庫として、古く日本書紀・古事記に登場する、名だたる数々の神宝を所蔵していました。
特に、神話に登場する布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)は、石上神宮の主神であります。
社伝では、スサノオが八岐大蛇を斬った剣がこの剣であるとのこと。日本神話界の超サラブレッド級伝承です。
しかも、布都御魂剣は石上神宮の主殿裏の禁足地から、明治時代に発掘されたというのです。リアル過ぎます。

この石上神宮、記録上で伊勢神宮と同時に「神宮」の称号を称しており、古く「布都姫」と呼ばれる斎宮が居たと伝わっています。伊勢神宮と並び称され、この両社には、何らかの深い関係性があったようです。
現在の境内は静謐に包まれ、謎はベールに包まれたままです。

さて現在、石上神宮を訪れると立派な尾っぽをゆらゆらさせながら境内を歩き回るニワトリ君達に出迎えられます。
社務所の方によると、戦後神様の使いとして「賑やかし」の為に飼われたニワトリが、近所の方のご好意で持ち込まれ、ここまでの数になったのだとか…。
中には珍しい烏骨鶏まで飼われており、人慣れしているので近づいてものんきにお昼寝しております。
参拝に来たついでに、ニワトリ君達に癒されるのもまた一興です。

神殿のない神社・最古の「元伊勢」檜原神社を参拝しよう

神殿のない神社・最古の「元伊勢」檜原神社を参拝しよう
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日本一有名な神社・伊勢神宮。
ここに天照大神が祀られることになるまで、実は90年もの間放浪し、鎮座する地を探していたことは、あまり知られていません。
神と斎宮の放浪の始まり…それまで天照大御神を祀っていた天皇の住まいから、皇女・豊鋤入姫命にその神霊を託します。
そこで初代斎宮とされる豊鋤入姫命は、まずこの山辺の道に、神霊をお祀りしたのです。
更に理想的な鎮座地を求めて各地を転々とし、第11代垂仁天皇の第四皇女・倭姫命がこれを引き継いで、およそ90年をかけて、現在の伊勢神宮にたどり着きました。
こうして点々とした場所を「元伊勢」と呼びます。

その最初の神社が、これからご紹介する「檜原神社」。
檜原神社は三輪山麓の、非常に見晴らしのいい中腹にあります。そこまで一直線に続く参道を昇っていくのですが、これがなかなかハードな坂道…。
道の両側には、季節の野の花が咲き乱れ、何の草花か観察しながら歩くことがなかなか楽しい。焦らずのんびりと行きましょう。

檜原神社は三輪山の磐座をご神体としている為、本殿を持ちません。いにしえの人が、神を意識し、お祀りするに至ったそのままの信仰体系を、現在まで維持し続けています。
檜原神社の三つの鳥居を一つに組み合わせた「三ツ鳥居」は、近くにある大神神社にも同じものがあります。ただ、大神神社の三ツ鳥居は非公開のため、実際に拝観できるのは檜原神社のみ。
非常に珍しい形の鳥居ですが、三ツ鳥居の形式ができた年代や由来については不明のままです。

境内はさほど広くはないのですが、1つ1つの場所が由来に満ちていますから、丁寧に読んでみてください。
檜原神社が色々な意味をもって、この地に建立されたのだということが分かります。
その1つが、檜原神社と古代の聖山二上山の関係。
檜原神社から、二上山はちょうど真西の方角にあたり、春分・秋分の日の頃には、二上山の雄岳と雌岳の間に夕陽が沈むのです。

なぜ、この檜原神社が最古の「元伊勢」なのか。
皆さんも訪問して、ぜひこのミステリーを解き明かしてみてください。

その祭祀の存在は縄文時代から。最古の「神社」・大神神社

その祭祀の存在は縄文時代から。最古の「神社」・大神神社

提供元:橋本 佳尚

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さて、最後にご紹介するのは、この山辺の道で最も大きな神社である「大神神社」。
三輪山の裾野を走る「山辺の道」を象徴する神社であり、そこには数々の歴史的ミステリーとロマンが詰まっています。

大神神社の後方にそびえる「三輪山」自体が神様であり、そこは今でも聖域…自由に出入りできる場所ではありません。
この山中には、有史以前、なんと縄文・弥生時代からの祭祀跡も発見されています。その信仰自体からも「日本で最も古い神社」の1つとされいるのです。

古代の人々が、自然の脅威を畏れ敬った原始的信仰体系は、脈々と現代に至まで、大神神社に息づいています。
まず、神様がいる筈の「本殿」がない。三輪山の神「大物主大神 (おおものぬしのおおかみ、倭大物主櫛甕玉命)」を拝むための拝殿のみという、他の神社とは一線を画す特異な形式です。

境内は非常に広大である為、なるべくゆっくり回れるように、時間をとっておきましょう。境内の随所に、神話や由緒があります。それを1つ1つ訪ねるのも、たいへん興味深いです。

また大神神社は、三輪周辺の多くの神社を摂社にもっており、前項の檜原神社も大神神社の摂社にあたります。
この摂社1つ1つにも、有史以前から続く大変長い歴史と由来・特色があります。
ですから全部回ろうと思ったら、とても一日では足りない!!

興味のある方は、ぜひ大物主大神の神話について調べていただけると楽しめると思います。この神社と周囲に点在する遺跡・古墳は、神話伝承的に非常に密接な関係性をもっています。
そして伝説をたどると、邪馬台国の比定地として、この周辺が浮かび上がってくるのです。
この神社が、なぜ日本最古と言われているのか。
その答えは山辺の道をたどってきた皆様の中で、形作られる筈。
…ここは、ミステリーツアーの終着駅とも言える神社なのです。

参拝後の腹ごしらえはそうめん発祥の地で「三輪素麺」を

参拝後の腹ごしらえはそうめん発祥の地で「三輪素麺」を
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檜原神社参拝後、山辺の道をルート通りに歩きます。数々の旅人が踏みしめた石畳を、一歩一歩、歩いてみてください。
道は、日本最古の神社「大神神社」のニの鳥居のすぐわきに通じています。その手前に、非常におもむきある門構えの古民家のそうめん屋「森正」が。
ぜひここで、疲れた身体に優しい三輪素麺を頂いてみてください。

1300年前に、ここ大神神社の宮司が飢饉の為の保存食として、神託を得て作り出したことが、そうめんの起源とされています。
素麺は神様の恩恵を、めいっぱい受けているのですね。

さて、森正さんの三輪素麺。
錦糸卵、海老、シイタケが添えてある、皆さんよくご存知のラインナップです。
が、見目が非常に麗しい。清々しい。優しい。
夕方の風を感じるなら、敷地内の中庭にあるテラス席が断然オススメ。
これから夏の暑い時期に、清涼なかち割り氷に冷やされた素麺を、ぜひとも味わっていただきたいです。

おまけに・ものぐささんの為の、山辺の道歩き方ガイド

一般にガイドブックに乗っている天理から桜井の駅まで続く「山辺の道」ハイキングコースは、約12kmあります。
山辺の道は、非常に鄙びたおもむきのあるコースですから、ぜひ徒歩をオススメしたいのですが…ポイントを絞って観光・拝観しないと、一日では到底歩ききれません。

そこで、レンタサイクルの登場。しかし、三輪の山際を沿う古道だけに、かなりのアップダウン…ロードバイク等のチョイスでないと、勾配の激しい檜原神社へはたどり着けません。

体力に自信はない、しかしなるべく短時間で、たくさんのポイントを走破したい!というそんなアナタには、電動機付き自転車の問い合わせ・予約をオススメします。
ここ数年で、大体のレンタサイクル店が取り扱いを始めました。
感動する程、漕ぐのにほとんど力が掛かららない。ものぐささんは要チェック。
台数に限りがある為、来店前に必ずTELしてください。

この自転車の登場で、体力に全く自信のない人でも、苦もなく檜原神社に行き着くことが出来るようになりました。
快適な古道散策の為に、ぜひ手段の1つとして御一考くださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/04/13−2013/04/15 訪問

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