写真:津田 泰輔
地図を見る奈良県の天川村は関西でも屈指の険しい山々に囲まれた場所である。
周りには行場として名高い大峰山がそびえ、中でも八経ヶ岳は標高1915mで近畿最高峰となっている。
天河神社の奥宮が祭祀されているのも大峰山系のひとつ弥山(1895m)の山頂で、さらに大峯山寺がある山上ヶ岳は平安時代から現在に至るまで女人禁制が貫かれていると言う歴史ある信仰の地なのである。
天河神社というと、芸能の神様である市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)を祭神として祀っていることから、芸能人もお忍びで参拝することでも知られている。
写真:津田 泰輔
地図を見る拝殿の中に入ると目に入るのは少し変わった鈴。
これは五十鈴と言って天河神社だけに伝わる神器である。
少しお年を取った人ならご存知かと思うが、映画「天河伝説殺人事件」でもキーワードになって登場するのがこの五十鈴なのである。
この鈴の鳴らし方が少し変わっていて、鈴緒を振って鈴を鳴らすのではなく、ぐるぐる円を描くように回すと、不思議な共鳴音が鳴る。UFOと交信するような音だと思っていたら、実はこの天河神社の周辺でUFOの目撃情報が異常に多いとか。
それはホントかウソかは分からないが、異世界と交信しているかのような不思議な鈴の音なのである。
拝殿の中には神様に踊りや歌をささげる舞台があったり、拝殿奥の階段から光が差し込む神秘的な雰囲気など、神社が神様との交流を行う場所という本来の目的を強く感じさせられる場所になっている。
写真:津田 泰輔
地図を見る平成23年に紀伊半島を襲った台風12号はこの天川村にも大きな被害をもたらした。何ヶ所も土砂崩れが発生しせき止められた水がこの天河神社一帯に集まり、集落を完全に飲み込んでしまったらしい。
天河神社の裏手に当たる禊殿一帯は特に大きな被害を受けて、川の流れはすっかり変わってしまった。
禊殿の前には巫女達が禊を執り行う河原があり、対岸には風水六角岩という六角形の岩がある。
かつてこのあたりの水は川の流れが止まっている不思議な場所で、流れがないのに水は淀むことがないという神秘的な場所だった。
しかし、今や荒れた瓦礫が散乱するただの河原になってしまっていた。
重機が入り復旧工事もまだ途中のようだが、自然が造り上げた神秘の霊場を完全に復旧されることは不可能であろう。
写真:津田 泰輔
地図を見るさて、問題の手水舎にやってきた。
竜の口から勢い良く水が飛び出している。
水流はまっすぐに水面に突き刺さり、水中でも勢いを失うことなくジェットバスのように水をかき混ぜている。
まさにドラゴンの口からレーザー光線が放たれているかのようだ。
なぜこんなに水の勢いが強いのかは謎なのだが、パワースポットと呼ばれる天河神社の力の源はここから湧き出してくるかのような力強さだ。
神社全体が厳かな雰囲気に包まれている天河神社のなかで、ここだけは異彩を放っている。
写真:津田 泰輔
地図を見るこのレーザービームのような水流に不用意に手を出すと、案の定、水が飛び散る大惨事に。あまりの水の激しさに柄杓が飛ばされてしまいそう。
神聖なものに手を出すと祟りに合うという戒めか何かだろうか。どう頑張っても、直接水を汲むことはできそうにない。
ここは大人しく溜まっている水をそっと汲んで、身を清めよう。
天川村は大峰山を初めとする険しい山々に囲まれ、谷は川の水によって深くえぐられて渓谷となり、人々が近寄れないような厳しい自然の真っ只中にある村である。
厳しい自然は同時に美しい景観も造りだし、それがやがて人々の信仰を集める源になったのかもしれない。
天河神社は手水舎の水流もさることながら、不思議な音色の五十鈴、雰囲気のある拝殿、杉の巨木など雰囲気のある場所がたくさんある。訪れた人たちの中には、不思議なパワーを感じたと言う人も多い。
実際にご利益があるのかどうか、一度実際に参拝して確かめてみてはいかがだろう。
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(2024/3/19更新)
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