巨石連なる古の不思議!滋賀・近江アルプスで出会う絶景

巨石連なる古の不思議!滋賀・近江アルプスで出会う絶景

更新日:2014/04/30 17:09

草津市の東南に、気軽に岩山が楽しめることで若者たちに人気の「近江アルプス」と呼ばれる金勝連峰(560m級)が連なっています。花崗岩の巨石が累々と露出する不思議な光景を楽しみながら、黎明期の仏教史蹟をたどる旅に出ましょう。
JR草津駅前でタクシーを拾い金勝寺まで行き、そこから山道を徒歩でゆっくりと南西に上桐生まで下る、約5kmのおすすめルートをご紹介します。

山岳密教寺院・金勝(きんしょう)寺

山岳密教寺院・金勝(きんしょう)寺
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天平期に若草山の裾野にあり、拡張して現・東大寺となった小坊(金勝寺)と同じ名前を持つこの寺は、天平5(733)年、聖武天皇の勅願により東大寺の良弁(687〜773)が開山したと伝えられています。
参道奥の仁王門をくぐると釈迦如来像を本尊とする本堂、その左手に虚空蔵菩薩半跏像を安置する虚空蔵堂、右手には二月堂が建っています。
まずはこの閑寂きわまりない寺院をゆっくり散策しましょう。
東大寺とこの山域との深い縁が、思いがけない形で透けて見えてくるかもしれません。

茶わかし観音

茶わかし観音
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行者の山にふさわしい風化花崗岩の尾根道を登り下りして西へ辿ると、茶わかし観音と呼ばれる石仏に出会います。大きな岩塊に57cmのアーチ形石龕を彫りくぼめ、二重蓮華座に立つ像高32cmの如来像を半肉彫りしたもので平安期の作とされています。
茶わかし観音の名称は、かってここを通る旅人を湯茶でもてなしたことによると言われています。

近江アルプスのシンボル・重岩(かさねいわ)

近江アルプスのシンボル・重岩(かさねいわ)
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茶わかし観音の先には、この近江アルプスのシンボルともいえる巨岩が重なる重岩(かさねいわ)がみえてきます。微妙なバランスで往古よりこの地にたちつくしてきた巨石モニュメント。その岩肌にも、風化に耐えて線刻の仏が刻まれています。

奇岩累々たる鷄冠山へいざ

奇岩累々たる鷄冠山へいざ
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重岩あたりの眺望は抜群で、晴れた日には三上山越しに草津・守山の町々と田園風景、さらにその彼方には琵琶湖の水面がキラキラと日を返しているのが望めます。
もし余力があれば、重岩あたりから案内に従って支峰に入り鷄冠山まで行ってみましょう。歩くほどにどんどん風景は変化していき、まさに湖東の一大パノラマが楽しめます。

金勝寺別院・狛坂寺

金勝寺別院・狛坂寺
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さらに巨岩のすき間をくぐったり急勾配の岩溝を下っていくと、やがて狛坂寺址に出ます。
金勝寺が女人禁制であったことから、一般庶民の信仰の場としてここに大規模の寺院が建てられていたことが、幾重にも築かれた堅固な石垣から伝わってきます。

ここの境内跡地には大小さまざまな石仏も見受けられますが、なんといっても圧巻は磨崖仏でしょう。高さ6.2m、幅6mの岩肌に頂部を山形の浅い彫り込みをし、その中央に座高3m余りの如来像と左右に像高2.3mの菩薩立像を配しています。
この三尊の上部には、さらに2組の三尊像と3体の菩薩立像、また脇の別石には三尊仏1組が置かれていて壮観です。
とりわけ本尊の左右の菩薩像は、おおらかな微笑みと腰をひねった妖艶で肉感的な姿態を呈していて、観る者を魅了してやみません。
おそらくこの霊山全体を、当時優勢だった弥勒下生信仰の浄土として具象化されたものと思われます。

ここからは渓流に沿って広くなだらかな道をひたすら歩き、途中案内板をみかけたら、川向うの巨岩に高所からずり落ちて逆さのまま放置されている半肉彫りの阿弥陀三尊像を訪ねましょう。大きさは140cmほど、「逆さ観音」と呼ばれています。
そこからは30分余りで「桐生の辻」の金勝の里バンガロー村に到着します。金勝寺を出てから約5時間余りの道のりです。

おわりに

草津駅から金勝寺付近までは、以前はバスの便がありましたが、今は運行していません。
桐生の辻からのバスも本数は限られていますので、出発時刻をあらかじめ調べておくとロスが省けます。
狛坂廃寺の磨崖仏は新羅の仏像彫刻との類似が見られ、百済からの仏教公伝のはるか以前に私家仏教として伝えられていた新羅仏教様式を伝える貴重な資料となっています。
マイカーで来られるなら、この磨崖仏と寺院址を見学するだけでも十分に価値があります。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/06/06 訪問

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