初夏の鎌倉を撮る〜歴史的遺産と紫陽花や涼しげな竹林を求めて〜

初夏の鎌倉を撮る〜歴史的遺産と紫陽花や涼しげな竹林を求めて〜

更新日:2014/04/17 19:23

神奈川県鎌倉市。約1000年前、源氏によって鎌倉幕府が開かれ、その後北条氏により、武家文化の醸成がなされた街です。

街の歴史と、地場の植物や近代文学など美的な側面が融合した時、その街は一層の魅力を見せてくれます。今回は鎌倉にある臨済宗とゆかりの深い寺院と、そこで楽しめる初夏の花をご紹介し、撮影に関するワンポイントアドバイスも織り交ぜた散策をご案内しましょう。

最初の話題は堅い歴史話より綺麗な紫陽花!(笑) 成就院での紫陽花見物のポイントを紹介

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最初は成就院。まずは歴史的背景より、少し柔らかめの話題、紫陽花見物と洒落込みましょう(笑)。この寺院は臨済宗では無く、真言宗の寺院で、正式には普明山法立寺成就院(しんめいざんほうりゅうじじょうじゅいん)といいます。本尊は不動明王です。ここへのアクセスは江ノ電極楽寺駅下車、徒歩7分程。極楽寺切り通しの途中に位置しています。成就院自体は大きなお寺ではないので、あじさいは境内よりもその外側に多く咲いています。特に山門の手前を東におりる坂からの紫陽花見物がお勧めで、ここにはいろいろな種類、色の紫陽花が寺の周りにビッシリ植えられています。しかしながら、やや険しく狭いアプローチに多くの見物人が殺到するので、写真を撮ると、肝心の紫陽花より見物人の方が目立ってしまいます。そこで撮り方に一工夫しましょう。 
広角レンズを使って、出来るだけ紫陽花に近づいて取ると、一房ずつ紫陽花の遠近感が誇張されて、広い範囲に咲いているように撮れます。特に魚眼レンズを使って思いっきり寄ると、一層密生感がでます(写真)。是非最盛期の紫陽花を自分で見て楽しんで、人に見せて自慢して、2度満足しましょう(笑)。

鎌倉武家文化の一角に触れる、閑静な佇まいの浄妙寺。武家の宗派、臨済宗の文化を味わおう

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ここからは少し堅い話題をおつきあい下さい。
鎌倉幕府を源氏から引き継いだ北条氏が、武家の宗派として手厚く保護をした臨済宗。その宗派の中で、鎌倉五山(五山とは簡単に言うと5つのメジャーなお寺という意味)の一角をなす、浄妙寺の開山は1188年とされ、ちょうど鎌倉幕府が誕生した時期と一致しています。開山当時は広大な寺地を有していたお寺です。正式名は稲荷山浄妙広利禅寺(とうかさんじょうみょうこうりぜんじ)と言い、本尊は釈迦如来が安置されています。ここへのアクセスは、鎌倉駅から京急バス金沢八景、太刀洗方面行き(5番)に乗車、浄妙寺前でおりて徒歩3分。閑静な場所に位置しています。
ここは過去何度かの火災で境内にある施設の大半が焼失し、現在は本堂、山門を中心としたエリアが残っています。写真は本堂左側にある「喜泉庵」の枯山水。ここでお茶を頂きながら、武家文化に浸ってみませんか?

浄妙寺拝観料 100円

「竹寺」の別名で知られる報国寺。境内の竹林を抜ける初夏の涼風で心洗われてみよう。

「竹寺」の別名で知られる報国寺。境内の竹林を抜ける初夏の涼風で心洗われてみよう。
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前述の浄妙寺から金沢街道を隔てた反対側に位置する報国寺。正式名は「功臣山報国寺」(こうしんざんほうこくじ)、臨済宗の寺院で本尊は釈迦三尊です。開山は1334年とされ、前述の浄妙寺の創建から約150年後です。こちらはまさに鎌倉幕府が滅びた時期と一致しており、なにか因縁を感じます。さて、そんな歴史を感じながら、山門をくぐり抜けて行くと、境内には勇壮な竹林(写真)が有り、初夏の時期は青竹の香りを含んだ薫風がそよぎます。そんな竹林を見ながらお茶も味わうのも風流ですね。
さて、竹は林立する天を付く姿に清涼感を感じることでしょう。撮影時はカメラをしっかり支えてまっすぐな竹を撮って下さい。

報国寺拝観料 200円

小腹が空いたら、お洒落なカフェへ。TVドラマの舞台になった、鎌倉らしいレトロなオアシス!

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さて、ここでちょっとお洒落なカフェを紹介しましょう。江ノ電長谷駅下車、徒歩10分程。大通りから海岸に出る路地にある「カフェ 坂の下」です。大通りから路地に入った後の最後の数十メートルが、ちょっとわかりにくいのが難点ですが、一昨年、フジテレビ系列のドラマ「最後から二番目の恋」に登場したところです。店内はややレトロな造りで、30-40代女性に大変人気があります。私のお勧めメニューはシラスのピザ(写真)。適度な塩味が効いていて、さっぱりとヘルシーです。

今年もこの「最後から二番目の恋」の続編が同じ設定で放映されますので、また多くのファンが押しかけるでしょう。ちょっとミーハー気分になりたい貴女にお勧めです(笑)。紫陽花や寺社見物の一休みに是非ご利用ください。

鎌倉の初夏の花は紫陽花だけではない。東慶寺に可憐な紫色の「いわたばこ」を見に行こう

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東慶寺は正式名「松岡山東慶総持禅寺」(しょうこうざんとうけいそうじぜんじ)で、本尊は釈迦如来の臨済宗のお寺です。開山は鎌倉後期の1285年。開山当時から明治まで尼寺であったため、江戸時代には幕府公認の「縁切寺」としてもよく知られたお寺です。アクセスは北鎌倉駅下車、道路沿いに鎌倉方向に歩いて15分程。
鎌倉で、いわたばこ(写真)の花をみるなら「東慶寺」というくらい、ここのいわたばこの群落は見事です。いわたばこは、葉が煙草に似ているのでその名が付いていますが、喫煙用に育てられている煙草とは全く種類が異なります。この植物は湿り気のある岩肌一面に群落を成しており、5-6月になると紫色の可憐な花を付けます。東慶寺では奥の方にある、はけの水がしみ出す岩肌に咲いています。人の背より高い処まで花が咲いているので、多客シーズンでも上方の花を狙えば、人影が入らずに写真が撮れます。そして望遠レンズを使った、テレマクロ(近距離の被写体を望遠レンズで拡大して撮る方法)的手法がお勧めです。尚、やや暗いので手ぶれに気をつけて撮ってください。

東慶寺拝観料 200円

終わりに

鎌倉の魅力はここだけでは語り尽くせませんが、今回は鎌倉文化と臨済宗の関わりを、歴史的背景を少し交えてご紹介しました。

季節の花という空間的な魅力と、歴足的背景という時間的な魅力を併せて感じられるのもここ鎌倉の特色です。

初夏の鎌倉にはここで挙げた以外にも多くのシャッターチャンスがあります。散策の際にこの記事を思い出して、写真も楽しんで頂ければ幸いです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2008/06/16−2012/06/20 訪問

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