お大師様に会える島へ。『ミニ四国霊場』えひめ大島・島四国八十八ヶ所巡拝の旅。

お大師様に会える島へ。『ミニ四国霊場』えひめ大島・島四国八十八ヶ所巡拝の旅。

更新日:2014/03/25 15:26

今治から「しまなみ海道」を渡って最初に降りる島・大島。この島には昔から四国八十八ヶ所霊場を模したミニ四国霊場があります。その歴史は古く約200年前に開創され、今でも巡拝者が絶えることなく続いています。
島四国八十八ヶ所の人気は、単純に本四国八十八ヶ所と比べて「手軽に巡拝できる」という理由だけではありません。毎年のご縁日には近隣だけでなく遠方からの巡拝者で賑わう霊場の魅力に迫ってみましょう!

大島准四国霊場の由来

大島准四国霊場の由来
地図を見る

この霊場は今から約200年前の文化4年(1807年)に島民の有志三人により開創されました。開創時、本四国に模すために島内の地理・地形に合わせて札所を開設。開創とともに本四国霊場に比べて手軽に巡拝できる事も手伝い、多くの巡拝者を迎える事となります。

当時の今治藩は多くの民衆が集まることを危惧し、霊場巡拝を禁止、開創者の三人を流罪に処します。
しかし民衆の信仰は篤く巡拝者は絶えることなく、文化7年(1810年)に当時の門跡寺院筆頭だった真言宗総本山・仁和寺(京都)から「准四国八十八ヶ所霊場」の称号と仁和寺紋章の使用が許され、晴れて自由に巡拝できるようになり、現在に至っています。

島四国の魅力はその青い空と澄みきった海、新緑の山、昔なつかしい人里の風景にあります。
最近ではしまなみ海道の開通により、来島海峡大橋を見渡せるお寺もあり、すばらしい風景が巡拝者を待っています。

歩いて巡拝するも良し、車で巡拝するのも良し。

歩いて巡拝するも良し、車で巡拝するのも良し。
地図を見る

霊場の総延長は63キロメートル。

本来は2泊3日で歩いて巡拝するコースとして設定されていましたが、今では車遍路が多数を占め、1日半あればすべてを巡拝できます。縁日(3日間)の期間中は各札所で様々なお接待を受ける事ができます。
縁日でのお接待は島民にとって「お遍路さんがお大師様と一緒に来られる」ことを意味し、『お遍路さん=お大師さん』と古くから言い伝えられています。お大師様を通じて島の人々とのご縁を楽しみましょう!

なお島には宿泊所が限られていますので、通常は今治市内(松山市内)のホテルに宿を予約します。

写真のように札所は小さなお堂が多く、僧侶は常住せず、地域の有志により管理されています。大島の中で僧侶が在住するのは4ヶ寺のみ。しかしここがポイント!ご本尊と巡拝者の距離が近いので、間近でご縁を結ぶことができます。願いが叶う確率が高いのかも知れませんね!!

弘法大師を間近で感じよう!

弘法大師を間近で感じよう!
地図を見る

島四国霊場には様々な霊蹟があります。

写真は弘法大師空海が遺したとされる「足あと」(83番永楽庵)です。
江戸時代に島民がお堂を改築する際、榎の木がお堂の屋根に掛かり危険な状態になっていた所、いつの間にかその榎が起き上がって地上7尺の所にワラジの足あとが現れます。人々は御大師様のお蔭としてその足あとを信仰するようになったそうです。
しかしその榎は明治に入って台風で倒れ、右足は失われ、現在は残った左足を大切にお大師様の足として保存、縁日にのみ公開されています。

しかもなんと!!
この足あとは直接、触れることができるのです。
足腰の弱い方はぜひお大師様のお蔭をいただきましょう。

その他、9番札所大聖庵にある「せりわり」。
不浄の人は石穴に入れないという言い伝えが残されています。

お堂のご本尊と間近でご縁を結ぶ。

お堂のご本尊と間近でご縁を結ぶ。
地図を見る

島四国第70番番札所 車南(しゃなん)庵。

交通手段が発達していない頃、吉海港に面したこの札所が島四国の起点となっていました。本四国霊場でも78番札所郷照寺が八十八ヶ所の起点となっていた理由と同じです。
さてこのお堂のご本尊は本四国70番札所本山寺と同じ馬頭(ばとう)観音。本四国の馬頭観音は秘仏であり、どんなお顔をしているのかは不明です。しかし島四国の馬頭観音は肉眼でハッキリ見えるだけでなく「写真撮影」も可能です!この観音様をベースに本山寺の観音様に思いを馳せる事ができるのです。

この様に大多数の島四国の札所本尊は至近距離からお顔を拝むことができます。

(*ご本尊の写真撮影は必ずお堂関係者に許可をいただきましょう)

風光明媚な島の景色を十二分に楽しむ。

風光明媚な島の景色を十二分に楽しむ。

提供元:鴨井智峯(島四国第33番高龍寺住職)

地図を見る

島四国のへんろ道にはたくさんの絶景が待っています。

村上水軍発祥地や菩提寺跡などの旧跡が普通にあったり、潮の流れの速い宮窪(みやくぼ)瀬戸、船折(ふねおり)瀬戸がすぐそばで見る事ができます。
また、しまなみ海道を一望できる亀老山展望台、カレイ山展望台があり山の上から見下ろす風景に言葉は不要です!

写真はまるで川の流れを見ているような感じの船折瀬戸の風景。
名前の由来とされる船が折れたと言われるほどの潮流が、手が届きそうなほど近くを流れています。渦を巻く潮流は、思わず目を見張るほどの大自然の神秘的な光景となるでしょう。潮流に逆らって一生懸命がんばって走る船も見ていて楽しい光景です。

心のふるさと「島四国」にお参りください。

例年4月に行われるご縁日。
2014年のご縁日は、4月19日(金)20日(土)21日(月)の3日間です。

初日の午前中は現在の起点(44番札所)となる下田水(しただみ)港の仮設案内所で納経帳やガイドブックなどの遍路用品を買う事ができます。その他ご住職在住の4ヶ寺(8番札所海南寺、33番札所高龍寺、47番札所法南寺、79番札所福蔵寺)でも手に入ります。詳細は関連メモにある「伊予大島准四国霊場会公式HP」をご覧ください。

毎年へんろご縁日の行われる春頃にはたくさんのうぐいすの鳴き声と共に桜、山ツツジ、山ふじなども見頃となりハイキングを兼ねたお参りにはもっともおすすめの季節です。

この機会にぜひ「心のふるさと」を訪ねてみませんか?



掲載内容は執筆時点のものです。 2013/04/28−2013/04/30 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -