そのルーツは包丁侍!?映画『武士の献立』料理監修、金沢の老舗料亭で加賀料理を!

そのルーツは包丁侍!?映画『武士の献立』料理監修、金沢の老舗料亭で加賀料理を!

更新日:2014/02/14 14:44

きんぎょ 美歩のプロフィール写真 きんぎょ 美歩 温泉と歴史旅 Walker
映画『武士の献立』で気になるのは映画の中にでてくるその料理。金沢の老舗料亭「大友楼」のご当主は映画『武士の献立』の料理の監修者です。
「大友楼」は代々加賀藩の御膳所で料理方を務め現在に至るという、創業180年余の長い歴史をもつ老舗料亭。ルーツはまさに包丁侍!
金沢観光にきたら、一度は味わってみたいと思う本場の加賀料理。
名実ともに金沢を代表する老舗料亭と映画『武士の献立』の料理話をご紹介します。

大友楼の店構えは まさに金沢情緒たっぷり

大友楼の店構えは まさに金沢情緒たっぷり

写真:きんぎょ 美歩

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まず大友楼の場所ですが、金沢観光で訪れる観光スポット、近江町市場と尾山神社の中間あたり、南町というバス停そばの小路沿いにあります。
近江町市場から歩いても、尾山神社から歩いても10分足らずの場所。
南町は銀行や証券会社の続く通り。その通りを少しそれただけで車も少なく、町並みを眺めながらのそぞろ歩きにはピッタリ。
大友楼は金沢情緒たっぷりの店構えなので、外観を見るだけでも一見の価値あり!特に夕方はその軒先に提灯が灯り、その景観は周囲に威厳を放つ独特の風情。これもオススメ!

お店の中に入ると、庭に沿って石打された土間が続きます。さすが老舗料亭の貫録!
金沢の料亭には、お部屋から眺められるような立派な庭があります。松や梅、椿、花々等、四季を感じる風情。特に冬の季節は木々の隅々にいたるまで雪吊や雪除けが施され、その光景は金沢の風物詩。兼六園でなくてもしっかり堪能できるでしょう。
老舗料亭の最初の観賞ポイントはお庭。
庭を眺めながら部屋に案内される時の雰囲気は、楽しい心弾むひとときとなることでしょう。

映画にでてくるレシピの原本が、当時のまま実在!

映画にでてくるレシピの原本が、当時のまま実在!

写真:きんぎょ 美歩

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この大友楼は、映画では上戸彩さんの嫁ぎ先、加賀藩に実在した包丁侍の舟木家が代々師事したという儀式料理(四條流)を今に受け継ぐ、格式ある料亭です。鯛の唐蒸しや治部で代表される伝統的な加賀料理が、映画『武士の献立』では数々紹介されていますが、大友楼の磨き抜かれた料理の伝統と技は、映画の要所要所にふんだんに取り入れられています。

大友楼には、包丁の使い方や食材の切り方等、細かなところまで描かれた伝書の数々が当時のままに存在!包丁侍の舟木伝内が、将来料理人となって困らないようにと子のために料理の作り方を書いたという「ちから草」、食材を求めて旅して得た食材のことをまとめた「料理無言抄」全9巻などがそのままに。
驚くのは、なんと大友楼を利用するお客様にはサービスとしてお見せしているということ!
ぜひご覧くださいね。詳細に墨や色絵筆で描かれた図説は、まさに必見の価値有り!

『武士の献立』饗応御膳

『武士の献立』饗応御膳

写真:きんぎょ 美歩

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お料理をいただく前に、大友楼の二階の一角に用意された資料部屋へ。ここには『武士の献立』の映画で、舟木伝内をはじめ包丁侍の方々が腕を振るった饗応料理の御膳シーンを再現したいくつもの御膳が展示されています。一の膳、二の膳、三の膳… 映画(パンフレットにもある)の器もそのままに…。圧巻は映画で見た雉子の羽盛り!!
映画の饗応の宴の前に主人公の舟木安信が、右手に包丁刀、左手にまな箸を握って行う、四條流の立ち振る舞いの“食の儀式”も、大友楼のご当主が俳優高良さんを指導。実際作られた映画の中の饗応料理は、この大友楼で20数人分を支度して撮影に臨んだそうです。

それでは、加賀料理の原点、老舗大友楼のお料理の一品をご紹介しましょう。

映画そのままの鯛の唐蒸しと治部煮!

映画そのままの鯛の唐蒸しと治部煮!

写真:きんぎょ 美歩

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写真は鯛の唐蒸し。鯛のお腹の中に、味付けした美味しいおからが詰まっています。これを仲居さんがほぐして、小皿に盛り分け。鯛の身と一緒にいただきます。
加賀料理の代表格といえば、鯛の唐蒸しと治部。鯛の唐蒸しの歴史は本当は明治頃から婚礼で使用されるようになったとか。『武士の献立』映画に鯛の唐蒸しが出ていますが「その時代にはありませんので、実はあれは映画としての演出なんですよ。」ということでした。
また、治部煮は"治部"が正式名称。治部のために作られた輪島塗の浅めの"治部椀"を使用して盛り付けるのが正式だそうです。そして肉は「鴨」肉が一般的と思われていますが、本来の治部は「鴨」だけでなく「ツグミ」や季節により牡蠣などの海鮮物も使用したそう。

加賀料理の懐石や、老舗の料亭料理はまだまだ敷居が高いけれど、治部煮は最近では「鶏肉」を代用等、料亭以外でも和食の店で気軽にいただけるようになったので、金沢観光の土産話に「治部煮」をぜひ味わってみましょう!

今回はお昼に食事をしたのですが、映画「武士の献立」に登場したお料理も、器そのままに幾品かいただきました。幾品も出される料理には、九谷焼、輪島塗、山中漆器等々、石川県を代表する焼き物や漆器の器、料亭の歴史ある器が惜しげもなく使用されています。これらの器も料亭ならではの鑑賞ポイント!もちろん料理の味付けや盛り、器との調和も楽しみましょう。

美味しい味はもちろん、その食材の仕様、シンプルながらも美しさ、配膳の中に何気なく伝統を感じるのはさすが大友楼、老舗の風格です!
もうひとつ、料亭鑑賞の大事なポイントは、客へのおもてなし。さりげない皿の引き加減、次のお料理の出し加減、仲居さんの立ち振る舞い、気配りもバッチリです。

大友楼 七草がゆの儀式

大友楼 七草がゆの儀式

写真:きんぎょ 美歩

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大友楼では今も四季折々の料理の儀式があります。写真は「七草がゆ」の儀式。大友楼のご子息によるもの。
これはお正月の7日の朝、1年に1回行われる儀式で、まな板の上に七草を順番に「なんなん七草なずな、唐土の鳥が…」と歌いながら食材を、火箸、すりこぎ等七つの道具で叩いていきます。歌の意味は、唐国から病気をもった悪い鳥がやってくるので日本に渡ってこないようにというような、今年一年間の無病息災を祈願する儀式。昔は城中の各家庭で行われたとか。
儀式の後で加賀藩独自のお餅の入った七草がゆをいただくという流れです。
歌の最後は「…ぼぉとぼと…」で終わる歌でした(笑)

四條流儀式、神事奉納等の折は、大友楼のご当主が烏帽子・直垂をまとい、映画の饗応の宴さながら、巧みな包丁さばきを披露されます。

ぜひ味わってほしい 加賀料理!

せっかくの金沢旅行、ぜひ味わってほしい加賀料理。
金沢駅構内や兼六園周辺などには、お昼のランチコースで味わえるお店がいろいろあります。
また、料理とともに器として使用される九谷焼や輪島塗。手ごろな価格のものや小物もあるので、こちらも旅の思い出、お土産にオススメ!
加賀百万石は食材が豊富です。
鰤、鮟肝は当然、魚汁、麩、柚餅子など美味しい幸が山のよう!!美食家・芸術として著名な北大路魯山人も、金沢の料亭に魅了された一人とか。
金沢の老舗料亭は必ず予約してくださいね。お腹も心も納得、大満足、間違いなし!
器を愛でながら金沢の情緒漂う座敷で、加賀料理をぜひご堪能ください!

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/02/11 訪問

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