鉄オタよ踏切を渡れ!日本で唯一3種の幅の線路が並ぶ「西桑名第二号踏切」

鉄オタよ踏切を渡れ!日本で唯一3種の幅の線路が並ぶ「西桑名第二号踏切」

更新日:2018/03/06 15:35

陽月 よつかのプロフィール写真 陽月 よつか フリーライター、星空準案内人
三重県桑名市に、鉄道オタクが立ち止まる踏切があることをご存知でしょうか。一見ごく普通のその踏切は、実は3種類の線路幅を一続きに歩いて渡ることができる日本で唯一の場所。線路なんてどれも同じ?いやいやこれがだいぶ違うんです。しかも線路幅ごとに踏切の名前まで違うんですよ。その踏切は桑名駅から歩いてすぐ。あなたも歩いて渡って驚いてみませんか?

3種の線路幅がコンプリートできる踏切は全国でもここだけ!

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写真:陽月 よつか

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その踏切があるのは三重県・桑名市。三岐鉄道北勢線の西桑名駅から最も近い踏切で、道が細いために自動車は通ることができませんが、生活の足として人通りの絶えることのない踏切です。

一件何の変哲もないように見えるごく普通の踏切ですが、ここには意外な日本記録が。実はこちら、日本で唯一3種類の線路を歩いて渡れる踏切なのです。3種類の線路の違いとはずばり線路の幅。線路なんてどれも同じと思うなかれ、一番幅の広い線路と一番幅の狭い線路とでは、その幅が倍近くも違うのです。

こちらの踏切では3種類の幅の線路を一続きに渡ることができますが、詳しく見ると線路幅ごとに踏切がそれぞれ区切られています。これは管轄する鉄道会社が違うため。踏切の名前もそれぞれ異なるので、ここには3つの名前があるのです。

「スタンド・バイ・ミ―」の名シーンを思い出す!国際標準の標準軌

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写真:陽月 よつか

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3種類の線路のうち、まずは線路幅の一番広いものからご紹介しましょう。それがこちらの標準軌、線路幅は1435mm(4フィート8.5インチ)。日本で一般営業している鉄道路線の中では最も幅の広い線路で、新幹線や関西圏の私鉄の多くに用いられています。「標準」軌というのはこの線路幅が世界標準とされているためで、ヨーロッパや北アメリカを主流に、世界の半分以上の鉄道がこの幅の線路を採用しています。

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写真:陽月 よつか

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こちらの標準軌の線路は近鉄名古屋線、2本の線路が通っており、踏切の名前は益生第4号踏切です。こちらの線路は踏切の中でも一番西側、近鉄名古屋線の路線図で言うと桑名駅と益生駅の間に位置します。

なおこの線路幅は、名作映画「スタンド・バイ・ミー」で少年4人が歩いた線路とほぼ同じ(当時の世界標準は4フィート8インチ(1422mm)だったため、7mmだけ誤差があります)。もちろんこの線路は営業している路線なので上を歩いてはいけませんが、あの名場面を思うと見ているだけでもドキドキしますね。

これが日本のスタンダード!国内で一番オーソドックスな狭軌線路

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写真:陽月 よつか

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1種類目の標準軌は世界標準でしたが、日本で現在最も多いのがこちらの幅の線路。こちらは狭軌、線路幅は1067mm(3フィート6インチ)です。またフィートの長さから三六軌間、サブロクとも呼ばれます。先の標準軌の写真と比べて見て下さい、結構しっかりと線路幅が違いますよね。(厳密には狭軌とは標準軌以下の幅の線路のことですが、現在日本で狭軌と言えば一般的にこの線路のことを言います)

JR在来線を始めとし、私鉄も多くが狭軌を採用。この狭軌と標準軌の2種類が日本の鉄道線路のほぼ全てを占めています。でも乗車する分には線路の違いなんてよくわかりませんよね。それもそのはず、狭軌と標準軌では線路幅は違っても、車両の横幅は両方ともほぼ同じになるように作られるのです。乗客は線路幅の違いによる違和感を感じることなく乗車できるようになっているのですね。

これが日本のスタンダード!国内で一番オーソドックスな狭軌線路

写真:陽月 よつか

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この路線はJR関西本線。3本の線路が通っている、桑名駅の構内踏切です。駅からは少し離れていますが、敷地内なので構内の扱いなのですね。路線はこの踏切を越え、朝日駅へと続きます。写真はもちろん先の標準軌と同じ条件で撮影したもの、線路幅が狭くなると目の錯覚で線路も長く見えますね。

こんなに細くて大丈夫?最後の線路幅はほんの約3/4メートル

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写真:陽月 よつか

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最後の線路がこちら。ちいさっ!と思わず言いたくなりますね。これは特殊狭軌、線路の幅は762mm(2フィート6インチ)で、ナローゲージとも呼ばれます。

こちらのナローゲージは日本ではわずか3路線しかない貴重な路線。この三岐鉄道北勢線の他は、四日市あすなろう鉄道内部線・八王子線と黒部峡谷鉄道のトロッコ列車だけしかありません。標準軌1435mmと比べてみると、約半分という線路幅の狭さは驚くほど。その分車体も小さく、まるでおもちゃのように可愛らしい電車が走ります。

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写真:陽月 よつか

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走る線路は1本、三岐鉄道北勢線です。そしてこちらの踏切の名前が西桑名第2号踏切。路線図的には西桑名駅と馬道駅の途中にあたります。こちらの踏切が日本で唯一なのは、まさにこのナローゲージ線路がレアなことが大きな理由。「益生第4号踏切」「桑名駅構内踏切」「西桑名第2号踏切」と名前こそ分かれますが、この踏切は日本で唯一3種の線路が渡れる踏切である上に、日本で唯一ナローゲージが狭軌や標準軌と並んでいる踏切でもあるのです。

もっと踏切を楽しむには?「三崎跨線橋」の展望がおすすめ!

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写真:陽月 よつか

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この踏切はそれぞれ別の線路幅の線路が通る3つの踏切がつながった形。ということはその分踏切の距離が長いので、一度に見通すのはちょっとたいへんです。そこでおすすめなのが三崎跨線橋。踏切から桑名、西桑名の両駅と反対方面へ線路沿いに100m弱ほどのところにある橋で、線路や踏切を一度に見渡すことができますよ。

こちらの跨線橋を越えるとナローゲージの三岐鉄道の線路が反れていってしまうため、こちらの橋が唯一3種類の線路全てを上から見下ろすことのできるスポットなのです。

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写真:陽月 よつか

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なお当踏切へは桑名駅(JR関西本線、近鉄名古屋線、養老線)か、西桑名駅(三岐鉄道北勢線)から徒歩がおすすめ。特に西桑名駅は停車中の電車が踏切から見えるほどの近さなので、踏切を通る鉄道車両の写真も撮りやすいのです。ぜひカメラ持参で訪れてみてくださいね。

西桑名第二号踏切の基本情報

住所:〒511-0068 三重県桑名市中央町1丁目266−2
アクセス:三岐鉄道北勢線「西桑名」駅より徒歩1分

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/02/03 訪問

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