写真:Hiroko Oji
地図を見るドイツの大都会フランクフルトからフルダ方面へ列車で30分ほど移動しただけで、一気に長閑な風景にかわり、キンツィヒタール(キンツィヒ川の谷)という森が広がっています。その森の南端に位置するのが、今回ご紹介するゲルンハウゼン(Gelnhausen)の町。ドイツの「木組みの家街道」に属しており、シュタウファー王朝のババロッサ皇帝が、皇帝直轄の帝国都市に指定した町です。
駅から旧市街へ向かう途中で渡るキンツィヒ川は、かつては水路輸送に使われていました。届いた荷物は、町の入り口ともなるツィーゲル塔(Ziegelturm)の門をくぐって出入りしていたと言います。この塔には町の紋章である鷲のマークが施されていて、帝国都市であったことがうかがえます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るツィーゲル塔の門をくぐると、もうそこは中世の世界!車の姿さえなければタイムスリップしたかと思うほど。さらに石畳の坂道を上って行けばいくほど、ワクワクドキドキの町並みへ。旧市街には、二つの広場があり、旧市街を囲むように残る市壁の塔や門、石畳の路地、軒を並べる木組みの家屋が、もの静かな町並みをつくり上げています。ゲルンハウゼンは、小さな町だったため、第二次世界大戦の戦禍を免れ、古い町並みが残されているのです。
坂の上に見えるのはマリエン教会(Marienkirche)。12世紀後期に建設が始まり、時代ごとに異なる様式で増築や改修が施されてきました。町中や遠くからでも教会の尖塔が目立つ存在です。
写真:Hiroko Oji
地図を見る丘の斜面に木組みの家が建ち並ぶゲルンハウゼンの旧市街。その旧市街を取り囲む城壁の所々には石造りの塔や門が残されています。
城壁は1220年頃から建設され、正方形の平面図を持つ門で護られていました。外側は写真のインネレス・ホルツ門のように石造りですが、内側の面は資金不足から木造となっています。
また円錐形の煉瓦造りの魔女の塔は、15世紀中頃の原型のまま保存されている砲塔。もともとは火薬庫でしたが、魔女狩りが盛んな時代には、魔女裁判にかけられた人の牢屋として使われていたそうです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るゲルンハウゼンの木組み家屋は、白い漆喰壁が基礎となって、美しいデザインの色とりどりの木枠組みが組み合わさり、石畳の広場や路地沿いには素敵な家並みが続きます。特にオーバーマルクトの広場に面して建ち並ぶお家は豪華そのもの。斜面になった広場をぐるりと取り囲んでいます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るゲルンハウゼンのクリスマスマーケットは、期間が短く、第三アドベント(※)を迎える週末から開かれます。石畳の上に小屋が組み立てられ、中央噴水を取り囲む植え込みには、クリスマスならではのデコレーションが取り付けられて彩りを添えます。
※アドベントとはクリスマスマーケットが開催される期間のこと。又よく耳にするかと思うのですが、アドベントカレンダーは、1日に1個ずつカレンダーの窓を開け、24個ある全ての窓を開け終わると、クリスマスを迎えたことになるというものです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るオーバーマルクトの市庁舎前に立つのは、ガス灯をともす男性の銅像。残念ながら、今はもうガス灯は姿を消し、普通の電気で灯る街灯になってしまっていますが、今も中世のほのぼのとした雰囲気が残されている一コマです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るウンターマルクトも素敵な木組みが取り囲む広場。白い漆喰壁が基礎となって、美しいデザインのパステルカラーの木枠組みが壁面を飾り、素敵なお家が軒を並べています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る斜面に建つ家屋が多いので、その段差も奥行きを深める眺めです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るこの広場の一角には、胸像が立っています。これは、Phillip Reis(フィリップ・ライス)という方で、この町の出身。1860年、人類最初の電話機を作った人だそうです。音やメロディーはかなり正確に伝えられたけれど、残念ながら、人の声までは聞き取れなかったとのこと。私たちがよく知っているのは、グラハム・ベルが発明した電話機のほうではないでしょうか。ライス氏の16年後に発表されたのが、ベル氏のものなんだそうです。
この広場から近い路地には、赤い窓枠と水色の木枠が組み合わさったお家が建っています。それが、彼の生家です。
写真:Hiroko Oji
地図を見る町中を縦横に延びる路地沿いは、日常生活溢れる雰囲気で落ち着いた散策ができます。その路地でもクリスマスのデコレーションやイルミネーションが取り付けられて、彩りを添えるようになるのは12月後半になってから。11月末から飾られる町が多いドイツでは、少し遅めのアドベントです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る広場だけでなく路地にも屋台が並びます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るまた、オーバーマルクトの北側に面した建物の窓がアドベントカレンダーとなっており、毎日一つずつ開けられて、可愛らしい絵が登場する仕組みになっています。この町では、子どもたちが描いた絵が採用されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る年中通して楽しめるのは、木組み家屋を飾る凝ったデザインの看板。ワインの生産でも有名な地方だけあって、葡萄をデザインしたものも多い。
写真:Hiroko Oji
地図を見る看板は文字を読めない人にも、何屋さんなのかがわかるように造られたもので、看板を探して見て歩くのも楽しみの一つと言えるでしょう。
ゲルンハウゼンの町は、日本ではあまり聞き慣れない名前の町で、ガイドブックに載ることもありませんが、フランクフルトからわずか30分。ステキな町並みを楽しめる所です。ホテルやレストランも充実しており、一日ここでゆっくりするだけでも、和やかな気分に浸れます。
ここでご紹介した見所のほかに、郷土博物館(オーバーマルクトの北側にある古いアウグスタ・シューレの建物)や、ロマニシェス・ハウス(ウンターマルクトに面した、シュタウフェン時代の建築要素を遺す表側に豊かな装飾が施された建物)、皇帝の宮殿、カトリックの聖ペーター教会、バロック様式のトーラの櫃がある旧シナゴーク、ゴシックハウス(14世紀建築、この地方で現存する最古の木組み)などもあります。ゆっくり散策しながら訪れてみて下さいね。
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(2024/5/2更新)
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