写真:和山 光一
地図を見る標高684mの鳳来寺を訪れるためには二つのルートがあります。東照宮脇の専用駐車場まで鳳来寺山パークウェイを通る「車ルート」が手軽で一般的になってきていますが、開山以来多くの修行者や参拝者が登った石段を通る「徒歩ルート」が正統な参拝順路でしょう。
先ずは車を「三の門」横、駐車場に車を停めて、向かいの観来館(みにこんかん)でコース地図をもらいます。ここから鳳来寺山石段まで1200mの表参道が始まりますが、道沿いには観来館横の「子の碑 石段まで1200m」から順に十二干支と100mごとに石段までの距離が示された碑が立っていますので探しながら歩いてみてください。
写真:和山 光一
地図を見る鳳来寺の門前町である門谷の表参道を「歴史が歩いた坂道」というテーマで、門・彫像が整備されていて、平成2年には「ふるさとの坂道30選」にも指定されています。門は杉木立と常夜燈をイメージし、彫像は鳳来寺に詣でた著名人などに因むモニュメントです。
参道入口から三の門、二の門、一の門と並び、「卯の碑 石段まで900m」の所にあるのが写真の二の門です。江戸時代にはここに木戸が設けられ、代官配下の者が詰めて通行人を監視していました。旧鳳来寺門前町はここから始まっていたといいます。
写真:和山 光一
地図を見る表参道沿いにある彫像は全部で6体あり、どれも鳳来寺にゆかりのある人物や鳥をモチーフにしています。鳳来寺のお薬師様に祈願して生まれた浄瑠璃の主人公「浄瑠璃姫と義経」、同じくお薬師様に祈願して生まれた「徳川家康」、鳳来寺に参詣した「松尾芭蕉」「若山牧水」、鳳来寺山でよく鳴く「仏法僧(コノハズク)」そして石段入口に鳳来寺を開山した写真の「利修仙人」像があります。
利修仙人は、655年頃百済に渡って修行し、帰朝の際、鳳凰に乗ったとも言われます。文武天皇の病気平癒の祈りにより病気の治った天皇は、仙人の願いを聞き入れ鳳来寺を建てられました。
写真:和山 光一
地図を見る表参道から先は、源頼朝の寄進とされる1425段もの長い石段が待ち受けています。擦り減って微妙に湾曲したり傾いたりしながら続く石段は1300年の時の流れを感じさせるほどの迫力があります。参道は手つかずの大自然の宝庫が残り、その昔は唯一の登頂手段だった石段を歴史に名を残す僧侶たちも通ったのであろうと想いを馳せてみましょう。両側には天台・真言両宗の、城塞のような院坊跡が点在します。
写真:和山 光一
地図を見る赤い橋を渡った先を登ったところに仁王像が睨みをきかせる存在感抜群の「仁王門」があります。現存するこの門は慶安4年(1648)に再建されたもで「鳳来寺」の額は、光明皇后の筆によるものです。国指定重要文化財に昭和28年(1953)指定されています。
写真:和山 光一
地図を見る長い道のりを飽きさせない見どころも満載で、秋田県の「きみまち杉」と並ぶ日本一の樹高を誇る大杉「傘杉」は樹高約60m、枝下約31m、樹齢は推定800年になります。新日本名木百選に選ばれるこの杉は、枝が“傘の骨”のように広がっていちことから名付けられました。その昔、樵が斧を入れたところ、切り口より血が吹きだし、切るのを断念したという伝説があります。
写真:和山 光一
地図を見る四季折々に色を変える風景を眺めながら、平均1時間程(下りは40分)で山頂へと到着できます。石段から見える本堂が登頂の目印。台風などの自然災害の影響も強く、現在の本堂は昭和49年(1974)再建の味気ない鉄筋造りです。本尊は薬師如来で特に子授けの功徳があり、徳川家康を授かった松平広忠と於大の方夫妻が有名です。
背後の裏山に聳え立つ岩壁・屏風岩の山頂部は、日本三大分布の松脂岩(ガラス質火山岩)で構成されています。通称鏡岩と呼ばれ、その昔より信仰の対象となっていました。善人も悪人も分け隔てなく映し出す鏡は“平等”の象徴とされ、屏風岩(鏡岩)の信仰もあって、昔は祈願の際に鏡をい持参する人が多かったそうです。それが現在の鏡の付いた絵馬の由来なのです。
写真:和山 光一
地図を見る利修仙人は3匹の鬼神を自在に操ったという伝説があり、利修仙人が878年309歳で亡くなる際、鬼たちも仙人を慕って供をし、本堂下に鬼骨(鬼の首)の入った石櫃が埋められています。その鬼の供養に寺の僧と村人が踊った田楽が今も地元に伝えらえていて毎年正月の3日と14日の二日、本堂前の田楽堂にて田楽を奉仕してその霊を慰めることにしています。
田楽堂の奥は展望台になっていて、遠く山々を望むことができます。ハート型が見えるという偶然できたパワースポットでもあるらしく見つけられるでしょうか。
写真:和山 光一
地図を見る本堂裏手から横道に逸れて帰路の途中に「鐘楼」があります。大晦日は夜11時ごろから108人限定で鐘つき体験ができる鐘楼は、鐘に棟方志功の十二神将版画と藤本賢祐の鐘銘があります。
写真:和山 光一
地図を見る本堂に向かって右手に道をたどっていくと山頂駐車場に向かうのですが、歩いて5分程のところに日本三大東照宮のひとつ「鳳来山東照宮」があります。途中赤い橋を渡り、一対の狛犬の前を過ぎると赤い鳥居があり東照宮の参道へと向かいます。
鳳来山東照宮は徳川家康生誕に由縁があるとされることから、その縁に感銘を受けた3代将軍家光が、慶安元年4月、この地に東照宮の創祀を計画し、4代将軍家綱の時代、慶安4年(1651)9月に社殿が竣成しました。赤、黄色、緑などが鮮やかな“極彩色”は、東照宮に見られる特徴のひとつです。細部まで施された繊細な絵付をじっくり観察してみて下さい。実に鮮やかですよ。
写真:和山 光一
地図を見る鳥居をくぐった正面にあるのが拝殿ですが、ここは石柵横から拝殿の裏、すなわち本殿に近い中門の前に行くことができますのでより近くで参拝しましょう。
写真:和山 光一
地図を見る湯谷という地名からも大昔から湯が湧き出していたことが想像できます。湯谷温泉は利修仙人が発見し、たびたび浴して309歳まで寿命を養ったことから湯治に来る人々の病を治す霊泉として今も肌あたりよく人を癒してくれます。鳳来峡に宇連川が流れ、そのほとりに9軒ほどの宿が並んで静かな温泉街をなしています。宇連川は、川底の岩石層が黄土色の板を敷いたように見えるので板敷川とも呼ばれています。
写真:和山 光一
地図を見る鳳来峡に寄り沿うように建ち並ぶ旅館のひとつに国道151号沿いにある「湯の風 HAZU」があります。川の反対側、湯谷駅前方面にある「はづ別館」や「はづ木」と同じ系列の旅館で、駅からは宇連川の渓谷にかかるつり橋を渡ります。ここで是非とも利用してほしいのが館内利用が11時から14時半までの食事と入浴料がセットになった“湯の風プラン”2700円なのです。食事は食事処で、前菜から水菓子までの前12品の心のこもった見た目にも鮮やかな懐石膳がいただけますよ。
写真:和山 光一
地図を見る温泉は露天風呂と大浴場があり男女入れ替え制で11時から13時まで女性が露天風呂で13時から男性にかわります。ドナドバと流れる源泉溢れる大浴場と川のせせらぎが聞こえる半露天でのんびりと寛げます。檜の露天風呂で、大きな紅葉の木越しに、絹のように流れる清流のところどころに、大小の滝や淵、奇岩が点在している宇連川を眼下に見ることができます。瀬音の響きを聞きながら、土色をした塩化物温泉に身を浸すと、じわじわと疲れが飛んでいきますよ。
鳳来寺の基本情報
住所:愛知県新城市門谷鳳来寺
電話番号:0536-35-1004
アクセス:新東名新城ICから国道151号経由で約15分
湯の風 HAZUの基本情報
住所:愛知県新城市能登瀬上谷平4-1
電話番号:0536-32-1211
アクセス:JR飯田線湯谷温泉駅より徒歩5分
2017年10月現在の情報となります。変更となる場合がありますので、公式サイトなどで最新情報を必ずご確認ください。
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(2024/4/20更新)
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