滋賀・豊郷小学校!ヴォーリズ建築の白亜の殿堂で聖地巡礼?

滋賀・豊郷小学校!ヴォーリズ建築の白亜の殿堂で聖地巡礼?

更新日:2017/10/16 18:35

けいたろうのプロフィール写真 けいたろう 旅するグルメライター
琵琶湖の東に位置し滋賀で最も小さい町である豊郷町に、豊郷小学校旧校舎群という多くの人が訪れるスポットがあります。
明治から昭和にかけ多くの西洋建築を手懸けた建築家のヴォーリズによって昭和12年に設計された豊郷小学校。「白亜の殿堂」や「東洋一の小学校」とも呼ばれる町を代表する名所は、有名音楽アニメや映画の聖地にもなっており、ヴォーリズ建築のファン以外にも多くの人々が訪れています。

ヴォーリズの手による東洋一の小学校

ヴォーリズの手による東洋一の小学校

写真:けいたろう

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今回紹介する豊郷小学校旧校舎群は、今もなお多くのファンが存在する近代建築家のW.M.ヴォーリズの特徴がよく現れている建物で、簡潔で実用に沿った機能性と、温かみが見事に融合しています。

こちらの施設は、昭和12年に建築され、平成14年まで実際に使用されていた小学校を町内の公共施設として平成21年に改築。一般公開され多くの観光客が訪れる施設となっています。

ヴォーリズの手による東洋一の小学校

写真:けいたろう

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外観を一見すると直線的なコンクリート建築ですが、建物内に足を踏み入れると、ぬくもりを感じる木材や丸みのあるデザインがふんだんに使われ、木造建築のようでもあり昔懐かしい小学校時代にタイムスリップしたような感覚が味わえます。

ヴォーリズの手による東洋一の小学校

写真:けいたろう

多くの教育機関の建築を手掛けたヴォーリズですが、小学校は日本でここだけ。モダンで美しい建築様式から「白亜の殿堂」や「東洋一の小学校」と呼ばれています。たっぷりと光を取り入れるための開口部が大きな廊下をすみからすみまで歩き回って、ヴォーリズ建築の内部をたっぷり探検しましょう。

ヴォーリズと古川鉄治郎

ヴォーリズと古川鉄治郎

写真:けいたろう

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建築家として有名なヴォーリズは英語教師としてアメリカから来日。宣教師でもあったので自主的にバイブルクラスを開催しつつ、教鞭を執っていました。先進的なアメリカ文化と相まって、あまりにヴォーリズの講義に人気が集中しすぎ戦前の日本では容認されず、それを理由に教職を解任となりました。

その後もヴォーリズは、滋賀を拠点にキリスト教の社会貢献の精神から、医療福祉、教育分野などに加え、製薬会社などを設立。実業家としての側面もあり「青い目の近江商人」とも呼ばれました。また少年時代からの夢であった建設設計も数多く手がけ、現在は建築家としての側面が有名になっています。

ヴォーリズと古川鉄治郎

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そんなヴォーリズに、豊郷小学校の建築を依頼したのが古川鉄治郎。豊郷町は小さな町ですが、町の中央を五街道の一つである中山道(なかせんどう)が貫き、昔から人々の往来が多く、商業も盛んで近江商人の多く住んでいました。明治時代以降は日本経済の近代化に貢献した実業家たちを輩出。丸紅の専務を務めた人物である古川鉄治郎もその一人で、校舎入り口近くに、銅像が建てられています。

古川は近江商人の理念である『売り手よし、買い手よし、世間よし』という商人と顧客に加え、社会にも利益をもたらす考えから私財の2/3を投じて建築を依頼。

キリスト教の社会貢献の理念があったヴォーリズは古川の依頼を受け、小学校を建築しました。これらのヴォーリズと古川鉄治郎の記録は、小学校1階の展示室に、校舎設計図などと共に展示されています。

ヴォーリズと古川鉄治郎

写真:けいたろう

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また、豊郷小学校の階段の手すりには、ちょっと変わったウサギとカメの像が配置されています。この像は、丸紅の専務にまで登りつめた古川鉄治郎が小さいころ不器用で、コツコツ努力した自身の体験とウサギとカメのイソップ童話とを重ね合わせたことに由来。

ヴォーリズは、そのエピソードを聞いて気に入り、階段の手すりをすべる子どものイタズラ防止の役割も兼ねたオブジェとして設置。今では豊郷小学校のシンボルにもなっています。

現役利用される豊郷小学校

現役利用される豊郷小学校

写真:けいたろう

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昭和12年建築の豊郷小学校ですが、今も豊郷町の公共施設として現役利用されています。暮らしながらの保存がなされている校舎群には、町立の図書館や子育て支援センター、教育本部などが入っており、現役の建物として稼働しています。

現役利用される豊郷小学校

写真:けいたろう

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また敷地内の講堂は、宣教師でもあったヴォーリズがキリスト教の教会をイメージし設計。併設されている現行の豊郷小学校の入学式や卒業式などの式典に今でも使用され、町の公会堂の機能も持っています。

現役利用される豊郷小学校

写真:けいたろう

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さらに校舎本館と渡り廊下で繋がった酬徳記念図書館は、豊郷町の観光協会として機能していています。校舎は生徒が利用するため、より機能的なシンプルな造りになっていますが、こちらは手すりや柱には、飾り気のある意匠を使用。

2階に展示されている、現在では珍しい豪華な、御殿飾りのひな人形などと併せて、一見の価値アリ!また、シンボルのウサギとカメの像のストラップなどのグッズ販売も行われています。豊郷小学校を訪れた際には、お見逃しなく。

聖地としての豊郷小学校

聖地としての豊郷小学校

写真:けいたろう

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ヴォーリズ建築や豊郷町の公共施設としても観光客の訪れる「白亜の殿堂」と呼ばれる豊郷小学校ですが、有名音楽アニメに登場する学校のモデルともなり、アニメファンの聖地巡礼コースとなっていて、豊郷小学校を訪れた多くのファンから楽器やグッズなどを寄贈、シーン再現などがされています。

聖地としての豊郷小学校

写真:けいたろう

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校内には劇中にも登場する音楽ステージもあり、土日に限りステージ上で演奏することも可能ということもあり、多くのアニメファンが訪れるようになりました。

聖地としての豊郷小学校

写真:けいたろう

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またアニメ以外にも、2017年に公開された映画「君の膵臓を食べたい」のロケ地にもなり、主人公の通う高校として、教室や図書館のシーンが撮影されました。

施設内には映画の撮影に使用された、小道具や出演者のサインなどが展示されています。

イベントも開催

イベントも開催

提供元:株式会社TMオフィス

http://www.tm-office.co.jp/地図を見る

ヴォーリズ建築、アニメ、映画の聖地として多くの人が訪れる豊郷小学校では、さまざまなイベントが開催されます。

10月最終日曜日には、町の名産品「とよ坊かぼちゃん」にちなんで、「とよさとハロウィン」を開催。カボチャを使ったジャック・オー・ランタンづくりやキッズ仮装コンテスト、校舎群のライトアップなども行われ、ハロウィンを一日中楽しめます。
<開催日時> 2017年10月29日 10:00〜20:00 (雨天決行)

イベントも開催

提供元:豊郷町観光協会

http://toyosato-kanko.jp/地図を見る

また11月には全国の高校生バンドが全国から集まる「とよさと軽音楽甲子園」が開催され、白熱の音楽バトルが開催されます。
<開催日時> 2017年11月05日 開場13時00分 開演13時30分(入場無料)

イベントも開催

提供元:豊郷町観光協会

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さらに冬には、校舎群の敷地一帯を使い、「豊郷小学校旧校舎群ライトアップ&イルミネーション」が行われ、普段とは違う装いに変身します。
<開催日時> 2017年11月25日〜12月27日 日没〜22:00 (雨天決行)

滋賀に来たら豊郷町

いかがだったでしょうか?豊郷小学校。ヴォーリズ建築による校舎にくわえ、アニメ、映画の聖地。さらにイベント開催とさまざまな顔を見せてくれるので、あらゆるジャンルの観光客にオススメのスポットとなっています。

また、豊郷小学校から徒歩圏内には、豊郷から輩出された近江商人や豪商の資料などが展示されている「先人を偲ぶ館」などがあり、滋賀観光にはそちらもオススメです。

<基本情報>
住所:滋賀県犬上郡豊郷町石畑518
電話番号:0749-35-3737
アクセス:近江鉄道豊郷駅より徒歩10分
見学時間:09:00〜17:00
駐車場:有り

2017年09月現在の情報となります。変更となる場合がありますので、公式サイトなどで最新情報を必ずご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/09/25 訪問

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