北岳は標高3193mを誇る日本第二位の高山。南アルプス山脈の北部に位置し、北には甲斐駒ヶ岳、北西に仙丈ヶ岳、北東に鳳凰三山が眺望できる希有な場所です。また白根三山縦走の起点とし、日本百名山である間ノ岳、農鳥岳と南北に連ねる山々を踏破するダイナミックな山行も魅力の一つ。
写真は小仙丈ヶ岳より北岳の北西側の山肌。北岳バットレスは左奥です。北岳をピストンした場合の標高差は1700m程度、歩行時間11時間となかなか登り甲斐のある山ですよ。
北岳の入山はマイカーの場合、山梨側だと市営芦安駐車場もしくは奈良田駐車場に駐車し登山バスで広河原に向かうことから始まります。広河原に到着したならばアルペンムード満載の河川敷に架かる橋で対岸に渡り、まずは広河原山荘へ。こちらはテン場もあり入山が遅くなる場合はこちらを利用しましょう。穏やかな人々が出迎えてくれるロケーションの良さは折り紙付きです。建物向かって左脇から北岳登山スタート、白根御池小屋分岐を見送り、まずは大樺沢二俣を目指すことになります。
広河原山荘から大樺沢二俣までは、穏やか沢沿いを歩くことになります。降雨の後は艶やかな森林を楽しむことができますが、ところどころ山道に沢水が溢れかえるので足下を濡らさないように気をつけましょう。
二つほど堰堤を見送り大小様々な滝見を楽しみながら歩くと、いよいよ尾根に取り付くことになります。等高線も狭まってきますのでこの辺りから本腰を入れましょう。
手作り感満載の丸太の橋やアップダウンを繰り返すと、一気に視界が広がる河原に。ここが大樺沢二俣と呼ばれる分岐地点で、簡易トイレも設置されており一休憩も良いでしょう。
ここでは登り方向に二つのルートを分け、雪渓が一年中残る左俣コースと小太郎尾根に至る右俣コースのどちらかからピークに向かいます。コースタイム的には左俣コースの方が速いですが、草すべりと呼ばれる高山植物が豊富に咲く右俣コースをオススメします。何よりも北岳バットレスの黄金色は、こちらの方が見応えのある景観を楽しむことができるからです。簡易トイレ後方の踏み跡から草すべりまで急登が続きますので、心の準備の程を。
広河原山荘・トイレ、水場→(2時間30分)→大樺沢二俣・右俣方面に白い簡易トイレ
右俣の長い急登を超えればようやく草すべり。そして今回のハイライト北岳バットレス近辺の紅葉が見えてくるでしょう。北岳バットレスの岩肌と黄金色に輝く景色はまさに感動もの!尾根登りで疲れた身体も何処吹く風に癒やされてしまいます。鋭利な岩峰が並ぶ北岳の中でも、特に紅葉するオススメのポイントです。
北岳バットレスの遠望を楽しんだところで今度はもっと近くに目を落としてみましょう。写真は朝露に濡れるナナカマドの紅葉姿。高山の紅葉は寒暖の差が激しく地表より鮮やかに色づくことが特徴。秋といえども実に楽しめる植物たちに出合えます。
こちらはホソバトリカブト。鮮やかな紫色とはうって変わりその毒性は人々の知る所ですね。
こちらは秋を彩る野草、ノコンギク。実は出発地点でもある広河原山荘のテン場に群生しているんですよ。秋口とはいえ様々な植物が楽しめるのも北岳の特徴の一つと言えますね。
小太郎尾根分岐からは急坂も緩み、稜線歩きに変わってきます。眺望も一気に開け南アルプスの山々を一望することができるでしょう。再度歩を進め尾根道を辿ると人気の山小屋、肩ノ小屋にたどり着くことができます。北岳登山は一泊二日が順当な登り方ですので、こちらで宿泊するのもオススメです。テン場は稜線で御来光がそのまま見える絶景ポイント。
肩ノ小屋を超えてしばらくすると広場。ここは視界不良時は道迷いを起こしやすい場所なので標識を良く確認してから進みましょう。肩ノ小屋からピークまでは概ね平坦と岩場のミックスを超えて行くことになります。
大樺沢二俣→(2時間)→小太郎尾根分岐→(1時間)→肩ノ小屋・トイレ、水場→(40分)→北岳ピーク
ピーク近辺のハイマツ畑には、なんと鳥類が住んでいる場合も。写真はライチョウでは無く、イワヒバリです。
北岳で一泊した後は概ね逆順を辿りますが、池山吊尾根分岐より高度感のある八本歯のコルを経由、大樺沢左俣コースから帰るのも面白いかと思います。その場合は雪渓通行に必要なものを用意しておきましょう。北岳はなかなかコースタイム通りに行かないかもしれませんが、北岳バットレスの紅葉ともども大いに高所の秋を楽しんじゃいましょう。
北岳で紅葉を楽しんだところで立ち寄って欲しいのが、芦安温泉郷の一角にある桃の木温泉 山和荘。
水も足さない。熱も加えない。循環もしない。かけ流しの温泉をうたい文句にまさに秘湯といった面持ち。泉質は単純アルカリ性温泉で若干の硫黄臭がする良い温泉です。スタッフさんの対応もすごぶる良くオススメの帰り風呂ですよ。
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