写真:塚本 隆司
地図を見る千代神社の主祭神は天宇受売命(アメノウズメノミコト)。諸芸全般をつかさどる女神といわれている。天岩戸神話に登場する神で、天照大神が岩戸に隠れ暗闇となった際に、岩戸の前で舞い世の中に光を取り戻した女神だからだ。
俳優(わざおぎ)の始祖、芸能の始祖としてあがめられ、歌舞伎能狂言や武芸者、職人、芸術家の崇敬を集めている。
天宇受売命をまつる神社は、京都府京都市右京区にある車折神社(くるまざきじんじゃ)境内の芸能神社や三重県鈴鹿市の椿大神社(つばきおおかみやしろ)などが知られているが、千代神社のように主祭神としてまつられる例は珍しい。
ちなみに東京都新宿区にある花園神社の境内社・芸能浅間神社(げいのうあさまじんじゃ)も芸能の神をまつる神社として知られているが、こちらの主祭神は木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤヒメ)である。
この千代神社、彦根市では神社として最も歴史が古い。社伝によると「人皇第八代孝元天皇の皇女倭迩迩姫の降誕によって勧請」とある。どれほど昔なのかも定かではない遠い遠い昔のことだという。
写真:塚本 隆司
地図を見る本殿は、国の重要文化財で寛永15(1638)年に建立された。檜皮(ひわだ)ぶきの三間社流造で朱色の漆が塗られている。桃山時代の様式を残す極彩色の見事な彫刻が印象的だ。普段は非公開だが、社務所で希望すれば特別に近くで見せていただける。
写真:塚本 隆司
地図を見る話題となっている「扇おみくじ」とは、どんなものなのか気になるところだろう。
扇を広げるとハガキくらいの大きさ。美しいミニチュア扇だ。絵柄は9種類。裏を返せば、おみくじになっている。内容は芸能上達に関すること。日々鍛錬を積んでいる人にとって指針となる教えが記されている。
写真:塚本 隆司
地図を見るミニチュアといっても本格的。京都の扇子専門店「舞扇堂」の特注品だ。飾り物としても十分通用する。扇は「末広がり」ともいわれる縁起物。お守りとして神棚や稽古場に飾るもよし、専用の「御守袋」に入れて持ち歩くのもよし。
「扇おみくじ」800円、「御守袋」200円。
写真:塚本 隆司
地図を見るちなみに、おみくじは自分で引くだけではなく代理で引いても構わない。その人に変わって引くことを神様に報告し、願いをこめて引いたら開封せずに渡すと効力があるとか。お土産やプレゼントにもいいかもしれない。
写真:塚本 隆司
地図を見る写真:塚本 隆司
地図を見る彦根城下の百石町(現、彦根市京町)と呼ばれていた武家屋敷跡に建つ千代神社。
その昔、「千代宮」と呼ばれていた頃は佐和山の麓にあった。石田三成が佐和山城築城時に「見下ろすのは失礼にあたる」と彦根山に移したが、彦根城築城時に元の場所に戻され、寛永15(1638)年に現在の立派な本殿が建立された。明治2(1869)年になって「千代神社」に改称、明治16(1883)年には県社に指定されている。
昭和30年代になって近隣のコンクリート工場からの公害に悩まされ、昭和41(1966)年に現在の場所へ解体移築された。時の権力者や地域の人に大切に守られてきた千代神社。五穀豊穣、家業繁栄などを祈願する氏神様として親しまれ、多くの年中行事が執り行われている。
写真:塚本 隆司
地図を見るなかでも、5月3日から5日(本宮)に行われる春季例大祭では、氏子と共に3基の神輿や神馬が街中を練り歩く。彦根城下が観光客でにぎわうGWだけに、目にした人にも御利益があることだろう。
千代神社があるのは、JR彦根駅から徒歩15分のところ。国宝彦根城の観光後に多くの人が向かう「夢京橋キャッスルロード」や「四番町スクエア」からなら徒歩10分ほどだ。駅への帰り道に城下町を散策がてらに立ち寄れる。
周辺は、土塁跡や城下町の面影が残っているので散策にはぴったりだ。車なら境内に10台ほど駐車可能。周辺も散策したいなら向かいの外馬場公園となりに市営駐車場(有料)がある。
キレイでかわいい扇のおみくじ&お守りが得られる珍しい神社。芸能の神にあやかりたい人、日々頑張っているあの人を応援したい人には、気になる神社ではありませんか。
<基本情報>
住所 :滋賀県彦根市京町2丁目9-33
電話番号:0749-22-1237
アクセス:JR彦根駅から徒歩15分
参拝時間:社務所9時〜17時、参拝自由
(2017年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。)
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(2024/5/8更新)
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