写真:やた 香歩里
地図を見る天狗倉山は、三重県の紀北町と尾鷲市の境にある山です。登るには、まず世界遺産の熊野古道馬越峠を登らなければなりません。今回は北の紀北町側からのルートをご紹介します。
写真の馬越峠入り口までは、徒歩ならJR相賀駅から40分。車で行くなら、「道の駅 海山」の駐車場に停めるのがおすすめです。そこからなら10分足らずでこの入り口まで着きます。
写真:やた 香歩里
地図を見る歩き始めてすぐ、美しい石畳の道が始まります。馬越峠はポスターなどに取り上げられることも多く、伊勢路随一の美しい石畳と言われます。
石畳は、ところどころ大きな段差もありますが、全体的にはなだらかで、歩きやすい道となっています。世界遺産に指定されているこの石畳は江戸時代に作られたもの。雨の多いこの地域で、雨に容易に土砂が流されないようにと石を敷き詰めたのです。道幅も峠道にしては広く、紀州藩の駕籠の幅(約2.7m)に合わせて作られています。
写真:やた 香歩里
地図を見る峠に入り、1時間ほど登ると、馬越峠の頂上(標高325m)に到着します。ここにはたくさんのベンチがあり、他のハイカーがいても落ち着いて休憩ができるだけのスペースがありますが、残念ながら展望は望めません。写真左の木造の建物は一見お手洗いにも見えますが、中にはベンチがあるだけです。馬越峠は道中にお手洗いはないので、注意してください。
天狗倉山は標高522m。馬越峠から天狗倉山頂上まで、距離は600mほどですが、一気に200mほどを登ることになるので、急な上り道になっています。体力的に不安な方は、ここでしっかり休憩をとったうえで登りましょう。
写真:やた 香歩里
地図を見る馬越峠の石畳道とは打って変わって、木の根が這う山道が始まります。最初は気持ちいい登山道ですが、道はやがて急峻な階段に。
写真:やた 香歩里
地図を見る1つ1つの段差は小さいですが、かなりの急勾配につけられた階段です。馬越峠は比較的登りも緩やかで、足元も安定していて歩きやすいですが、天狗倉山に登るなら、しっかりした靴を履いていってください。登山靴ではなくても、底が厚くて滑らないスニーカー程度は必要です。
写真:やた 香歩里
地図を見る山頂までの道の多くがこのような階段です。馬越峠頂上から天狗倉山の頂までは、ほぼ30分ほどの道のりです。登りは急ですが距離は長くないので、無理せず、適度に休憩を入れながら、登ってください。
写真:やた 香歩里
地図を見る山頂が近づいてくると、目の前に巨大な岩が現れます。大きな地震があれば、転げ落ちてくるのではないか…と恐怖を感じずにはいられません。この岩がずっしりと鎮座していることに、自然の驚異を感じます。
そびえたつ大岩ですが、天狗倉山の頂は、まさにこの岩の上です。なんとこの岩、上に登ることができるのです。もちろん、この凹凸の乏しい岩面をよじ登るなんてことはありません。この岩を回りこんだ向こう側に、はしごがかけられています。
写真:やた 香歩里
地図を見る岩を回りこむと、その先には尾鷲の町を見下ろす展望が開けています。右手には、尾鷲市の市街地が一望できます。
写真:やた 香歩里
地図を見るそして左側に目を転じると、尾鷲湾と、その先に広がる熊野灘が見渡せます。ここまで登ってきた疲れも吹き飛ぶ絶景です。
写真:やた 香歩里
地図を見るそれでは、巨岩の上に登り、天狗倉山の頂上を征服しましょう。岩にはしっかりした金属のはしごがかけられています。手すり代わりの鎖もあるので、しっかり足をかけて、ゆっくりと登ってください。
写真:やた 香歩里
地図を見る岩の上は、下から見上げた時には想像できなかったほど広いスペースがあり、傾斜はしていますが、座って休憩することもできます。
写真:やた 香歩里
地図を見る岩の向こう側には、山間を縫って流れる銚子川と山脈が広がり、その向こうに大台ケ原山があります。この眺望は、岩に登らなければ見ることはできません。前を見れば熊野灘、後ろを見れば大台の山々の雄大な姿。まさに大パノラマです。
ゆっくり景色を楽しみながら休憩したいところですが、ここは遮るもののない吹きっさらし。風が強いと一気に体温を奪われるので、気をつけましょう。
写真:やた 香歩里
地図を見る岩の根本には、小さな祠があります。ここには、修験道の開祖・役行者が祀られています。隣の木にはこの祠の由来書が付けられており、地元の方に大事に守られ、信仰されていることがわかります。
写真:やた 香歩里
地図を見るなお、山頂までの道は、北道と南道の二手に分かれています。登りと下りで別のルートを通るのもいいですね。また少し距離はありますが、時間と体力に余裕があれば、山頂よりもう少し東にある「オチョボ岩」という岩場でも、絶景を楽しむことができます。
馬越峠を越えて尾鷲市側に出るのならぜひ、馬越不動滝も見ていきましょう。峠から尾鷲市側に30分ほど下った、馬越公園の近くにあります。岩肌を滑るように流れる、美しい滝です。滝の下には小さな祠があり、不動明王と役行者が祀られています。
天狗倉山は熊野古道ではなく、世界遺産にも含まれていません。ですから、熊野古道を歩きたいという方には、特に歩く必要のないルートです。ただ天狗倉山頂には馬越峠からは見られない眺望が開けています。往復約1時間、急な上り下りで体力的には消耗しますが、回り道するだけの価値はある絶景です。
気候温暖で雨の多い東紀州は、実は台風の襲来が終わったあとの秋や冬の間が歩きやすいシーズン。空気も澄んで、天気が良ければ遠くまでの眺望も期待できます。ぜひ山頂の大岩の上で大パノラマを楽しんでください!
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(2024/3/29更新)
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