広島市は1993年、爆心地から5km以内に残されている被爆建造物を「被爆建物」、「被爆樹木」、「被爆橋梁」の3つに分類して登録し、積極的に保存することを始めました。広島市のホームページによると、現在「被爆建物」として登録されているのは、原爆ドームをはじめ87の建造物だということです。
今回はこの中でも、原爆ドームから比較的近い場所にある被爆建物を紹介します。
まずは、平和記念公園内にある「レストハウス」です。
この建物は爆心地から約170メートルの距離にあり、戦前は大阪に本店を持つ大正屋呉服店として使用されていました。
被爆の日、この建物には37人が勤務していましたが、たまたま地下室で作業をしていた1名の方を除き、全員が亡くなったということです。
現在は土産物なども扱い、公園内の憩いの場として機能しているこのレストハウスですが、こんな場所にもさまざまな悲しい物語が秘められているのです。
<基本情報>
住所:〒730-0811 広島市中区中島町1-1
電話番号:082-247-6738
アクセス:広島駅から広島電鉄電車「原爆ドーム前」下車、徒歩5分
原爆ドームやレストハウスをはさんだ対岸、本川(旧太田川)沿いの河岸緑地に建つ、本川公衆便所。2015年に登録されたばかりの新しい被爆建物です。窓や壁面のタイルなどは戦後に改修されていますが、基本的な形状などは当時のままであることが近年判明し、新たに被爆建物として登録されたということです。
町の中に何気なく建っているこのような建物も、たしかな歴史の証人です。
<基本情報>
住所:〒730-0854 広島市中区土橋町
アクセス:広島電鉄電車「土橋」電停から徒歩6分
爆心地から最も近い場所にある小学校が、平和記念公園の西側に位置する、広島市立本川小学校です。漫画『はだしのゲン』に登場する「本川国民学校」とはこの小学校であり、当時の校舎の一部が現在「平和資料館」として活用されています。
原爆による爆風はこの校舎を一瞬のうちに破壊し、400人あまりの子どもたち、10人あまりの教職員が亡くなったとされています。
平和資料館内には当時の校舎の壁や窓、扉のほか、被爆したガラス瓶や着物、三八式歩兵銃などが展示されています。
<基本情報>
住所:広島市中区本川町1-5-39
電話番号:082-232-3431
アクセス:広島電鉄「本川町」から徒歩約2分
本川小学校から再び川をはさんで原爆ドーム側に渡ると、本通り沿いに旧日本銀行広島支店があります。日銀の所有していた建物でもあってかなり頑丈に造られていて、爆心地から380メートルという近距離で被ばくしたにもかかわらず、現在でも良好な状態で保存されています。
モダンなつくりの館内は一般公開されていて、イベントスペースでは定期的にさまざまなイベントが催されています。
<基本情報>
住所:広島市中区袋町5-21
電話番号:082-504-2500
アクセス:広島電鉄「袋町」電停前
旧日本銀行広島支店の裏手、袋町停留所の東側に位置するのが、広島市立袋町小学校です。本川小学校と同じく、爆心地から非常に近い場所に位置する小学校。被爆したのは、当時地方に疎開せずに登校していた生徒たちで、そのほとんどは低学年である1、2年生であったということです。かろうじて倒壊を免れた旧校舎の一部は、現在平和資料館として運営されています。
この資料館には、被爆直後に校舎が救護所として利用されていた際、人々が家族や知人にあてた伝言を記した壁や黒板が、そのまま保存されています。当時の状況を物語る、このような貴重な資料を目にすると、改めて戦争の悲惨さが生々しく感じられることでしょう。
<基本情報>
住所:広島市中区袋町6-36
電話番号:082-541-5345
アクセス:広島電鉄「袋町」電停徒歩5分
いかがだったでしょうか?
今回ご紹介したのは、平和記念公園からほど近い場所にあるものばかり。比較的短時間で回ることもできますが、是非とも、ある程度の時間をかけてじっくりと歩き、平和について、世界について、さまざまな思索にふけりながらご覧いただければと思います。
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索