写真:六三四
地図を見るまず諏訪之瀬島へのアプローチについて。一般の方が十島村に向かうには週2便(7〜9月は3便)の村営定期船「フェリーとしま」を利用しなければなりません。鹿児島市鹿児島港からの下り便、もしくは奄美大島名瀬市名瀬港からの上り便で諏訪之瀬島へ向かいます。
鹿児島港からは23時に出港し8時間30分、名瀬港からは2時に出港し7時間15分。何れも通常運行時のもので、波や風の影響で遅延も想定内。何れにしても長い船旅を覚悟しなければなりません。
「フェリーとしま」は旅客定員200名、総トン数1,391t、全長85.80m、全幅14.60mの比較的大きな船ではありますが海上が時化の場合、かなりの揺れがありますので不安な方は酔い止めの準備をおすすめします。
次に、平成25年度の「フェリーとしま」就航状況をみてみます。計画航海数115回に対し実績航海数は104回で就航率90%となっています。但し、欠航により出航延期した航海数は26回にも及び、これは全体の約25%と非常に高い数値となっています。この就航実績からもわかるように十島航路は、気象条件の影響を強く受け、旅行計画の変更を余儀なくされる場合が往々にしてある事は承知しておくべきでしょう。
作地温泉到達への第一関門を突破しても安心は禁物。諏訪之瀬島に着いてまず確認しなければならないのが島の天候、そして、注視すべきは波打ち際。仮に快晴であったとしても海岸沿いに高い波しぶきがあがっていれば、到達は十中八九諦めなければなりません。
写真:六三四
地図を見る作地温泉は諏訪之瀬島の東、作地鼻と呼ばれる岬近くの海岸沿いにあります。但しココは周回道路のない未開の地。また、島の中央にそびえる御岳(799m)は現在も活発な火山活動をしており、半径2km圏内は立ち入り禁止というダブルの壁が。その為、陸路で行く事が出来ませんので漁船をチャーターするしか道はありません。
写真:六三四
地図を見る幸いにして島は天気が良く、一見波も穏やかであれば到達の可能性もアップします。しかし、天候を味方につけて運良く漁船に乗る事が出来たとしても作地温泉はそう安々受け入れてはくれません。港から20分ほどで目的の作地温泉に到着するものの、ココで最後の関門が待ち受けます。
写真:六三四
地図を見る作地温泉最後の関所は船を接岸させる岩場。岸壁や桟橋などはない為、岸にあがるには岩場に飛び移らなければなりません。目指す作地温泉はこの岩場の裏手に位置しています。海が穏やかで、尚且つ潮のタイミングが合えば容易に移動できますが、条件が揃わなければ、ベテランの船頭さんでも到達は厳しいと言います。
かろうじて入れるタイミングで到着出来たとしても、潮が満ちすぎると海を泳ぐほか手だてがないことも。ライフベストの用意はありますが、ある程度の泳力は必要かもしれません。
ただ、泳いで渡るという選択は必ずしもベストではありません。泳げる程度の波の状況が作地温泉入湯ギリギリのラインとお考え下さい。例え、岩場前まで来れたとしても波にうねりがあれば、或いは潮位が上陸に適していない場合は引き返さざるを得ません。大げさに思われるかもしれませんが命の危険もある為、船頭さんの指示には必ず従って下さい。
写真:六三四
地図を見る天の時、地の利、人の和。この全てを制すれば超S級秘湯の作地温泉に入る事を許されます。これこそがホンモノの秘湯。1週間、諏訪之瀬島に滞在しても入れなかった、目前の岩場まで行けたが入れなった。そんな温泉マニアの切なる声は全てがホンモノの声です。それだけ到達が難しい温泉なのです。
苦難の末に眼前に現れる、ターコイズブルーの温泉。御岳を源にする作地温泉群から流れ込む大量の源泉かけ流し湯壺。わずかに流れ入る海水と融和する美しい温泉に、ココまでたどり着くまでの長い行程の疲労や困難は一瞬で消し飛んでしまいます。
写真:六三四
地図を見るこの日の作地温泉の泉温は40℃〜42℃と適温。海岸沿いの温泉にありながら塩味はほとんどありません。温泉成分分析はこれまで行われておらず正確な泉質名はわからないものの、山肌を縫って流れてくる大量の湯は極上の温泉に違わないでしょう。
湯に浸かると眼前に広がる大海原、振り返り仰ぎ見ると迫りくるかの如き御岳の最高のロケーション。ひしひしと込み上げる入湯の達成感は他の温泉では決して味わう事は出来ません。
容易くはありませんが、その存在はまさに至宝。この素晴らしき温泉を多くの方に知って頂ければ幸いです。意を決して鹿児島県十島村諏訪之瀬島、超S級の作地温泉へぜひ!
到達難度は全国トップクラスと言って間違いない作地温泉ですが、過去の状況をみるとゴールデンウィークと梅雨明けが気候が安定しており比較的入る事が可能な時期とされています。しかし、ここ数年は気候変動が激しく、現地の方も「いつくらいなら入りやすい」とは言えない状況になっているのも確か。運も味方につけなければ難しいでしょう。
また、マリンスポーツ用のシューズ、もしくは地下足袋、そして手袋は必須です。飛び移る岩場の状態によっては非常に危険です。岩場には多数の貝類が付着しており、かすっただけでもザックリ皮膚が切れてしまいますので手袋は必ず着用して下さい。また、入浴の際にも怪我の恐れがありますので、マリンスポーツで使用するシューズなどは必ずご準備下さい。
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(2024/4/26更新)
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