写真:中山 久美子
地図を見るヴィーヴォ・ドルチャは、世界遺産「オルチャ渓谷」のゾーンにある小さな村。普段は静かな村ですが、このお祭りの日だけは一気に賑やかになります。地元・周辺の住民はもちろん、ローマやフィレンツェから、また最近では外国人観光客も見かけるほど。
そんなお祭りのメイン会場は、公民館とその広場。広場の一角には地元の特産物市が立ち、祭り特設のテーブルとイスが設置されます。
写真:中山 久美子
地図を見る広場に近づくといい匂いが漂っているので、それを頼りに会場までたどり着けるかも?このように、専用の大きな鍋で栗が焼かれているんです。
この村があるアミアータ山は栗の木が多く、少し森に入るだけで籠いっぱいに収穫できるほどの栗の産地。焼きたての香ばしい栗は、赤ワインにもよく合います。
写真:中山 久美子
地図を見る屋台では焼き栗などその場で食べるものの他、生のポルチーニや栗も販売されています。ペーストやオイル漬などの加工品も販売されているので、お土産もここで調達できますよ。
特設食堂は、広場から下った公民館の1階。メニューはもちろん、ポルチーニをメインとしたキノコと栗のお料理がずらりと揃っています。毎年予約で満席になるので、どうしてもここでランチを食べたい方は、下記リンクのヴィーヴォ・ドルチャ観光協会で予約がベターです。
祭りのスタッフ、そして厨房で腕を振るうのは、地元のボランティア。熟練のおばちゃんたちが切り盛りして、大鍋で大量の料理をしています。一方、給士はおじさんや若者が多く、時には小学生くらいの子供も手伝っていて、とても微笑ましいんですよ。
気になるメニューは、キノコスープ、ポルチーニ茸のグリルやフライ、モンブランなど、まさにキノコと栗づくし。写真は地味ですが、このポルチーニ茸のフライは超絶品。サクサクの衣から、とろーりとポルチーニが口の中に広がります。こんな贅沢な食べ方ができるのは、やはりイベントならでは!
まだまだ小腹がすく、あるいは甘いものは別腹という方は、食堂から出てすぐの屋台へ。栗ベースのスイーツやご当地スイーツが数種類販売されています。ここでもスタッフはもちろん地元のボランティア、スイーツも地元の人たちの手作りで、素朴な味が楽しめます。
写真:中山 久美子
地図を見るトスカーナの秋の名物スイーツといえば、写真左のカスタニャッチョ。栗の粉で作った生地に、レーズン、松の実やクルミ、ローズマリーがのっています。栗の甘みだけで砂糖は不使用、イーストも入っていないので、もっちり・しっかりとした食感です。右は同じく栗の粉で作ったパウンドケーキで、リコッタチーズが添えてあります。
写真:中山 久美子
地図を見るそしてこの地域のみで食べられる、超レアなスイーツも。全てのお皿にのっているのが、このアミアータ山の村でしか食べられない、リッチョリーナというお菓子。サクサクとした生地にヘーゼルナッツペーストがたっぷり挟んであり、上もメレンゲとヘーゼルナッツペーストでデコレーションしてあります。こってりと甘いので、食べ過ぎは非常にキケンです!
その他、栗ペーストを挟んだスポンジケーキ、イタリアで定番のフルーツジャムのタルトなど、食べ比べも楽しいですよ。
写真:中山 久美子
地図を見る祭り最終日の10月第三日曜には、味覚以外のお楽しみイベントも。公民館の広場がざわつき、鼓笛隊や昔の農民の恰好をした人々が集まってくると、それが開始間際のサインです。
世界的に有名なシエナの騎馬レースのように、イタリアでは「パリオ」と呼ばれる地区対抗レースがあちこちで行われています。ヴィーヴォ・ドルチャの場合は2地区が競う木こりのレース。木を切る速さと正確さを競う、森に囲まれて生きてきたこの地ならではのものです。
鼓笛隊を先頭としたパレードは、公民館広場からレース会場に向かいますが、レースを間近に見たい方は、先に会場に向かいましょう。
写真:中山 久美子
地図を見る会場は「エレモ」と呼ばれる古の集落で、公民館広場から徒歩5分ほど。写真のような城壁が見えたら、この中に入ってください。入口に掲げられているのは、対戦する2地区の旗です。
写真:中山 久美子
地図を見る古の集落は、かつて村の中心だった場所。ここの領主であり、ローマ教皇も輩出したチェルヴィーニ家の屋敷や、教会とかつての家屋が並んでいます。現在は教会は閉鎖され、家屋には定住者もおらず普段はひっそりとしていますが、この日はここにも市が出て賑わっています。
周りを一通り見学したら、パリオが行われる教会前の広場に戻りましょう。ロープが張ってあるので、ベストポジションをゲットして下さい。
写真:中山 久美子
地図を見るプログラム上の開始時刻は17時。時間が近づくとわらわらと人が集まってきて、パレードが来る頃になると、この写真のように熱気ムンムンになります。
鼓笛隊を先頭に、その年の優勝旗、昔の農民の装束パレード、レース参加者と続きます。
写真:中山 久美子
地図を見るパレード終了後、主催者からの挨拶やルール説明が行われます。過去に少しづつルールは変わっていますが、現在ではレースはニ種類。第一レースは太い丸太を5cmに5枚に切り、第二レースは細い丸太を40cmに5本に切る。それぞれのレースで早かった方に有利なポイントが与えられます。しかし、早いだけではなく正確さも重要!第一レースは±2cmまで、第二レース板は±3cmまでが許容範囲で、それ以上誤差あったらマイナスポイント。タイムだけではなく正確さも重要となるレースは、その合計ポイントで勝負が決定します。
レース中、地元民は自分や親戚が住む地区を応援して大興奮。大歓声が響き渡り、先に切り終わったチームは歓喜で抱き合い、誤差の発表にも一喜一憂して盛り上がります。最終日にしかないパリオですが、味覚を楽しむだけなく、この観戦のために村に残る価値アリですよ。
2017年の日程は10月8・14・15日、木こりのパリオは15日の17時から開催予定。10月8日は、シエナ駅発の機関車「自然列車」でのツアーも出ています。
ヴィーヴォ・ドルチャは、2004年に世界文化遺産に登録された「オルチャ渓谷」にあります。公共交通手段は乏しいですが、単独でも世界遺産のピエンツァ、高級赤ワイン・ブルネッロの産地のモンタルチーノも車で40分、写真集やCMなどにもよく使用される絶景や糸杉の道など、見所があちこちに散らばっています。お祭りだけに日帰りで行くのはもったいないので、数泊してオルチャ渓谷の魅力にどっぷりと浸ってくださいね。
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(2024/4/25更新)
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