風光明媚!台湾最初の総統官邸「草山行館」で癒やしのひととき

風光明媚!台湾最初の総統官邸「草山行館」で癒やしのひととき

更新日:2018/07/24 11:29

吉川 なおのプロフィール写真 吉川 なお 台湾在住ライター、元旅行会社勤務の旅行マニア
台北市の北部に広がる陽明山国家公園は、豊かな自然に触れられる憩いのスポット。温泉やお花見、ハイキングなど1年通して楽しめる絶好の行楽地です。
そんな山間にひっそりたたずむ「草山行館」は台湾最初の総統官邸で、士林官邸ができるまで蒋介石元総統夫妻が住居としていました。レンガ建築と純和風建築で構成された建物は懐かしさ漂う空間。台北にいながら日本情緒をたっぷり感じることができる穴場スポットです。

第一次総統府官邸

第一次総統府官邸

写真:吉川 なお

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台北市内からバスで気軽にアクセスできる陽明山国家公園は、台湾に9つある国家公園のひとつで、「台湾の箱根」と称される人気の行楽地です。大屯山、七星山、紗帽山などの複数の火山群から形勢され、古くは「草山」と呼ばれていましたが、1950年に明代の儒学者王陽明を記念して「陽明山」と改名され現在に至ります。

草山行館はMRT淡水線石牌駅または新北投駅からバスで約20分の山地にあり、昭和天皇が皇太子時代に行幸された際の休憩所として1923年に建てられました。その後、台湾製糖の宿泊施設として使用されていましたが、1949年に国民党政府が台湾に移転すると最初の総統官邸となり、翌年に士林官邸が完成した後は夏の別荘や賓客の接待に利用されていました。

第一次総統府官邸

写真:吉川 なお

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蒋介石没後は放置され荒れ果てていましたが、文化資産価値が再認識され2002年に台北市が古跡に認定したことを機に「草山国際芸術村」として整備されました。しかし2008年に火災が起こり、レンガ造りの3割を残してほぼ全焼という憂き目に。翌年、台北市政府によって往時の姿を再現すべく修復工事が始められ、陽明山のヒノキや杉の木を使って日本家屋の部分が完全復元され、2011年7月から再び一般公開されています。

こうして蘇った草山行館は各種展示会が開催される文化サロンとして再生され、ここで暮らした蒋介石夫妻の生活ぶりが垣間見られるほか、台北市内が遠望できる付設レストランで官邸に招かれた客人のように優雅な時を過ごすことができます。

情緒漂う日本式家屋

情緒漂う日本式家屋

写真:吉川 なお

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草山行館の建物面積は584平方メートルで、現在受付になっているロビー、文化サロンに開放されている「美廬(メイルー)」と呼ばれる大広間からなる洋館と住居スペースである和館が隣接しています。

和館は1920年代の典型的な日本式家屋で、応接室、書斎、寝室、主寝室、居間、客間、台所などが長屋風に並び、ところどころに夫妻の写真や夫人が描いた絵(複製)などが飾られています。中庭を囲む木の廊下、木枠の格子の窓などどこか懐かしさを覚える造りで、思わず外国にいることを忘れてしまいます。

情緒漂う日本式家屋

写真:吉川 なお

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館内には4つの大きな部屋があり、写真の「大雅堂(ダーヤータン)」は夫人の宋美齡が絵を描いたり休憩した部屋。現在は小さな展覧会場となっています。

隣接する「萃英堂(ツェイインタン)」は蒋介石の書斎兼寝室だった部屋で、かつて政治の議論の場だった部屋はレストランの個室として使われています。

情緒漂う日本式家屋

写真:吉川 なお

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当時、浴室として使用されていた部屋は少人数用の会席場に。このように小さいながらも趣ある部屋も点在しています。

かつての特別な部屋にも入場可能

かつての特別な部屋にも入場可能

写真:吉川 なお

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一番奥にある大きな部屋は夫妻のリビングとして使われていた「介寿堂(ジェショウタン)」で、親族やごく親しい人しか入れなかったという特別な部屋です。2面をガラス窓で囲まれた明るい部屋には蒋介石の胸像が置かれ、当時そこに置かれていたインテリアとともに結婚式に着用した衣装などを見ることができます。

レトロな雰囲気でティータイム

レトロな雰囲気でティータイム

写真:吉川 なお

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当時、応接室として使用されていた中庭に面した部屋「飲和堂(インフータン)」はレストランに変身。木の天井や床がクラシカルな雰囲気を醸し出し、おしゃれな照明がやさしく室内を照らしています。木漏れ日が差し込むガラス窓の向こうには台北盆地が広がり、喧騒から離れた静かな時間を過ごすことができます。

レトロな雰囲気でティータイム

写真:吉川 なお

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営業時間は11:30〜19:00で、ランチ、ディナー用に食事メニューも充実しています。油琳酔鶏(冷製鶏)や蜜汁拝骨(スペアリブのハニーロースト味)など中華主菜1選と前菜、スープ、デザート、飲料がセットになった「草山新風味コース(488元)」が人気です。

14:30〜17:30は下午茶(アフタヌーンティー)タイム。宋美齢が好んだデザートを盛り合わせた「美齢懐古午茶(320元)」は180元の飲料つきで、いろいろな中華菓子が味わえます。

レトロな雰囲気でティータイム

写真:吉川 なお

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飲料も種類豊富で、コーヒー、紅茶類の他に阿里山烏龍茶、南投不知春などの台湾茶や宋美齢の名前を冠したオリジナルティー、草山行館特製のハーブティーもあります。サービスでポットのお湯足しもしてくれるので、こころゆくまで堪能できます。

※休日は90分の時間制限あり。別途サービス料10%が加算されます。

懐かしき日本の原風景がそこに

懐かしき日本の原風景がそこに

写真:吉川 なお

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蒋介石が暮らした総統官邸は士林官邸がよく知られていますが、山間にたたずむ草山行館はガイドブックにも載っていない穴場スポット。台湾の歴史の一部に触れられるだけでなく、古き良き日本の原風景にも出会える癒やしの場所です。

台北市内からちょっと足を延ばして、異国で日本情緒という台湾ならではの体験をしてみてはいかがでしょうか。

草山行館の基本情報

住所:台北市北投区湖底路89号
電話番号:+886-2-2862ー2404
アクセス:MRT淡水線石牌駅下車、小8バス陽明山立体停車場下車、徒歩約5分 
MRT淡水線新北投駅下車、小9バス陽明山立体停車場下車、徒歩約5分
展示時間:9:00〜18:00 (入場料30元)
食事時間:11:30〜19:00
定休日:月曜日

2017年9月現在の情報となります。変更となる場合がありますので、公式サイトなどで最新情報を必ずご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/20 訪問

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