写真:万葉 りえ
地図を見る日本海の絶景が眺められる空の駅があるのは、JRの山陰本線の輸送を担っていた余部(餘部・あまるべ)鉄橋です。
日本各地に鉄道網が整備されていく中で、餘部に41・5メートルもの高さまで鋼材をくみ上げて鉄道の橋ができたのは明治45年のことでした。材料にはアメリカから運ばれてきた鋼材まで使われており、トレッスル式という鋼材をやぐら状に組んだ鉄橋としては日本一の規模を誇るものだったのです。
この餘部の地はもともと三方を山で囲まれ、開けたほうは海という陸の孤島でした。そこに当時の技術の粋を集めて美しいデザインの赤い鉄橋が完成したのです。
写真:万葉 りえ
地図を見るところが、当時の餘部には駅がなく、なんと汽車は通過していくだけだったのです。外部へ行こうとすると昔と変わらず車も通らない山道を越えいくしかありませんでした。そして、もし汽車に乗ろうと思うなら、一番近い鎧(よろい)駅まで高く長い鉄橋を歩いて渡り、4つものトンネルを抜けて行くしかなかったのです。
「駅を作ってほしい!」
そんな地域の人々の悲願がかなったのは鉄橋完成から47年も過ぎた昭和34年のことでした。高い場所を通る線路に合わせて駅を作るために、当時は地元の子どもたちまでもが岩石を海岸から運び上げる手伝いをしたというのですから、どんなに熱い思いだったのかが想像できますよね。
写真:万葉 りえ
地図を見るしかしこの地の冬の厳しさはかなりのもの。強風は列車の運行に頻繁に支障をきたし、ついには事故まで起きてしまったのです。
歴史ある鉄橋を残したかったのですが、安全を最優先して、JRは余部鉄橋を新しいコンクリートの橋に架け替えることを選択します。
写真:万葉 りえ
地図を見るしかし、人々の思いがこもった鉄橋です。明治の完成から約100年の余部鉄橋は、JR余部駅側の3本の橋脚を保存し、「空の駅」という展望施設に生まれ変わったのです。新しくオープンしたのが2013年。数年たった今も多くの人が訪れる施設になっています。
写真:万葉 りえ
地図を見る実際に列車が通っている余部駅側の線路ではできませんが、鉄橋につながっていた側の線路ではこんなことも可能。
坂道を約10分登れば、待っているのは地上から約40メートルの眺め。ここで日本海の雄大な景色を楽しんだり、美しい海岸線と列車をからめた写真を撮影するなど、ここは、ここでなければ体感できないものがある駅なのです。
写真:万葉 りえ
地図を見る写真:万葉 りえ
地図を見るこの「空の駅」の真下にあるのが「道の駅」です。こちらに車を停めて「空の駅」を楽しんだ後は、ぜひ「道の駅」へ。地元の漁港にあがった魚や地元農家の野菜が買える産地直売コーナーがあるだけでなく、地元食材で作る食事コーナーもあります。
写真:万葉 りえ
地図を見るさらにこちらの「道の駅」には、余部鉄橋の歴史を伝える展示もあります。コンクリートの橋に架け替えた際の記録映像も見ることができるので、鉄橋を残しながら作業を行うというこの工事がいかに困難を極めたかを知ることができます。
ベンチも置かれているので、先ほど見てきた鋼鉄の赤い橋脚と新しいコンクリートの橋を思い出しながら、ゆっくりとこの地の時間の流れを感じてください。
住所:兵庫県美方郡香美町香住区余部字ナワテ1861番地2
電話番号:0796-20-3617
アクセス:兵庫県香美町、国道178号線沿い
駐車場:18台
営業時間:9:00〜18:00(夏期19:00まで)
※空の駅は、道の駅あまるべの真上にあります。
※2017年8月現在、エレベーター設備 設置工事中です。
日本海の雄大な景色を楽しみながらのドライブも、美味しいものも、そしていくつもの温泉も楽しめる兵庫県の但馬。ほかにはない「空の駅」の歴史も含めて、ぐるっと周ってみませんか。
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(2024/4/20更新)
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