“神の庭”笹倉湿原と“日本一の水質”面河川源流滝(愛媛県石鎚山系)

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“神の庭”笹倉湿原と“日本一の水質”面河川源流滝(愛媛県石鎚山系)

“神の庭”笹倉湿原と“日本一の水質”面河川源流滝(愛媛県石鎚山系)

更新日:2017/09/07 19:10

春野 公比呂のプロフィール写真 春野 公比呂 学芸員資格

NHKが1950年代に「幻の湿原」、2010年代に「神の庭」として放送した笹倉湿原。石鎚山系の標高1390m地点にあるウマスギゴケの湿原で、モコモコッとした緑のビロードが神秘的。その登山口に近い展望所からは愛媛県第三位の102mの落差を誇る御来光の滝が遠望できますが、その滝は日本一の水質「面河川(仁淀川)」の源流域に懸かっています。エメラルドグリーンに輝く面河川と神が造った湿原を是非ご探勝下さい。

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山上に突如出現する別天地

山上に突如出現する別天地

写真:春野 公比呂

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笹倉(さぞう)湿原の登山口は久万高原町の石鎚スカイライン沿いにありますが、道標が小さいので、右手側を注意しながら車を運転して行きます。このスカイラインを走る期間限定の路線バスは終点の土小屋にしか停車しないため、マイカーやレンタカー、タクシーを利用するほかありません。

道標は面河川支流の金山谷沿いを走る金山林道(車の進入禁止)入口に設置されています。スカイライン起点から六個目のトンネルを過ぎて300mほど行った地点です。駐車場は金山橋を渡った所の左急カーブ内側にありますが、案内表示は出ていません。休日は午前の遅い時間帯以降に行くと満車になっている可能性もあります。

林道を800mほど行った所に登山口があります。そこの標高が1070mなので、1時間少々で湿原に登れる訳ですが、何割かは急坂で、道は笹に覆われ気味の踏み跡程度です。
道沿いにはブナ、ヒメシャラ、ツガ等の自然林が豊富ですが、写真のように大木が折れて道に倒れ掛かっている箇所もあり、下をくぐって行きます。

山上に突如出現する別天地

写真:春野 公比呂

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初夏から夏場、オオミズアオという蝶のように白く美しい蛾に出くわすことがあります。開張10cmほどで、胴体はモコモコッとした白い毛に覆われています。
笹の背が低くなってしばらくすると、いきなり別天地が現れます。これまでの道程では想像できないような異空間で、数十メートル四方のそこだけ空が開けているのです。

山上に突如出現する別天地

写真:春野 公比呂

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笹倉湿原は昭和33年の石鎚山系総合学術調査時に発見されました。当時は周辺山域の立ち入りが制限されていたため、長らく人の目に触れることがなかったのです。
湿原は晴天日が続くと干上がることもありますが、雨後に訪れると神秘度が増します。

様相が異なる晴天日の湿原

様相が異なる晴天日の湿原

写真:春野 公比呂

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晴天が続く日の湿原は雨後の雲天日とは様相が異なります。

様相が異なる晴天日の湿原

写真:春野 公比呂

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晴天日でも多少の水が残っていることもあります。また夏場、ウマスギゴケは2〜3ミリほどの黄色い花のような(さく)をつけます。

様相が異なる晴天日の湿原

写真:春野 公比呂

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湿原背後も笹原ですが、強靭な健脚家は湿原から南に道なき斜面を上がって県境尾根に出て、筒上山から岩黒山を縦走して土小屋に泊まり、翌日、石鎚山面河コースの愛大小屋から御来光の滝に下り、面河川を下流の砂防ダムまで進み、スカイラインに戻ってくるルートも選択肢の一つに入るでしょう。それ以外の方は別の日に御来光の滝を探訪することになります。車で土小屋まで上ってそこの宿泊施設に泊まり、翌日探勝するといいでしょう。

七つの甌穴が連続する景勝地

七つの甌穴が連続する景勝地

写真:春野 公比呂

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面河(おもご)川は石鎚山西方の西ノ冠岳(1894m)に源を発し、面河渓を経て高知県境のやや手前で「仁淀(によど)川」と名を変え、高知市から土佐湾に注ぎこむ四国屈指の大河で、国の水質検査により、日本一の水質とされています。
一般観光客が探勝できる面河川の最上流は面河渓ですが、登山愛好家なら石鎚スカイライン沿いの「御来光の滝展望所」下方から川を遡り、御来光の滝まで行くことができます。

スカイラインからの下り口は、展望所駐車場から200mほど北東のカーブミラーの建つ箇所です。高度に於いて300m急下降した後、川を遡行して行きます。何度も左右岸に渡渉して行きますが、最初に現れる景勝地が「七釜」。これは七つの甌穴が滝状の流れで連結された地。各釜の水はエメラルドグリーン。

七つの甌穴が連続する景勝地

写真:春野 公比呂

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七釜を過ぎるとまた対岸に渡り直し、川面から10m以上高い所を並行して行きます。ほどなく木の間越しに犬吠谷との出合の犬吠谷側に懸かる通称「犬吠谷出合の滝」が見えてきます。WEBではこれを上流に懸かる「犬吠の滝」と混同している者が大半です。
それからすぐ面河川本流に「魚止ノ滝」が現れますが、こちらも木々が邪魔になり、登山道から全景を拝むことはできません。

七つの甌穴が連続する景勝地

写真:春野 公比呂

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コースが川面より高所を進む箇所は所々崖になっており、丸太橋や梯子が架けられています。

ミストシャワーが気持ちいい御来光の滝

ミストシャワーが気持ちいい御来光の滝

写真:春野 公比呂

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面河渓ほどではありませんが、こちらの上流部にもそそり立つ絶壁があり、小さな滝が渕へと落ち込んでいます。

ミストシャワーが気持ちいい御来光の滝

写真:春野 公比呂

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南沢との出合の南沢側に懸かる小滝を過ぎると最後の渡渉地に到りますが、その上流は両岸が絶壁のV字峡になっており、「石門」と通称されています。

ミストシャワーが気持ちいい御来光の滝

写真:春野 公比呂

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御来光の滝展望所から弁当やドリンク休憩時間を入れて約3時間で探勝路の終点、巨瀑・御来光の滝に達します。滝は安山岩の柱状節理の岩盤に懸かっていますが、下から見えるのは下段の滝のみで、上段の滝は拝むことができません。水量は少なく、下部には大小の石が折り重なっているため、滝壺は形成されていませんが、夏場はミストシャワーを浴びることができるので爽快です。但し、梅雨や秋雨時期は水量が倍増します。

自然が豊富で神秘性のある湿原と滝

四国で一番有名な湿原は観光地となっている徳島県の黒沢湿原ですが、神秘性と自然の豊かさ、探訪のし甲斐、という点では笹倉湿原の方が優れています。周辺の笹原も美しいもの。雨後、雲天日、晴天日と、天気によって表情が変わるのも魅力です。
御来光の滝は昭和期、面河渓から探勝路で繋がっており、訪れる人は今よりはるかに多かったのですが、逆に登山や沢登り愛好家しか探訪しない現在、自然が踏圧等で荒らされることもなく、また、面河川が日本一の水質に認定されたこと等により、御来光の滝の神秘性も高まっています。ただ帰路、最後に高度差300mを登ることになるので、一定の体力は要します。

このような急登時は「振り子式登山法」を行えば疲労を軽減できます。膝を支点として振り子のように足を前に出すのですが、足裏全体で接地し、ゆっくり登ることで疲れにくくなるのです。
石鎚スカイラインにはゲート閉門時間があるので、御来光の滝探訪時は、弁当休憩や滝その他景勝地の鑑賞時間も加味し、余裕をもって登行して下さい。ゲート開閉時間は季節によって変わるため、お出かけの際は「関連MEMO」リンクでご確認下さい。

一般行楽客の方は体力的に笹倉湿原しか探訪できないかも知れませんが、スカイライン起点近くには面河渓、終点の土小屋には西日本最高峰である石鎚山の最短コース登山口、土小屋の東方には西日本最高所(車道に於いて)を通る山岳道路「UFOライン」等、周辺には多くの山岳観光地があるので、土小屋の宿泊施設(二軒)に宿泊して山岳観光を楽しむことができます。詳しくは「関連MEMO」リンクの記事をご参照下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2004/06/27−2017/09/02 訪問

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