北アルプスの秘境・信州大町「高瀬渓谷」とダムめぐりを楽しむ!

北アルプスの秘境・信州大町「高瀬渓谷」とダムめぐりを楽しむ!

更新日:2017/09/11 19:14

和山 光一のプロフィール写真 和山 光一 ブロガー
槍ケ岳を源流として流れ下る高瀬川には、上流から順に堀削の際に出た自然石を積み上げた“ロックフィルダム”の高瀬ダム、七倉ダムが立ち、高瀬渓谷は紅葉の美しさで県内有数の景勝地として知られ、不動沢、濁沢周辺も絶景です。また下流の重力式の大町ダムには広大なダム湖・龍神湖があり、展望台やトレッキングルートが設置され自然散策が楽しめます。一般車両の入れない高瀬渓谷へ特定タクシー(または徒歩)で向かいましょう。

犀龍と小太郎伝説の里高瀬渓谷「大町ダム」

犀龍と小太郎伝説の里高瀬渓谷「大町ダム」

写真:和山 光一

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JR大糸線信濃大町駅から県道45号で黒部ダムの長野側の拠点「扇沢」に向かう途中、県道326号で「大町ダム」に向かいます。信濃川水系高瀬川に位置し、1969年8月に発生した大洪水を契機に1986年に完成した重力式の多目的ダムです。

ダム湖は地元に伝わる伝説「犀龍と泉小太郎」にちなんで「龍神湖」と名付けられました。

犀龍と小太郎伝説の里高瀬渓谷「大町ダム」

写真:和山 光一

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大町ダム脇にある展望広場から東側に目を向けると、大町市街を眼下に見下ろし、遠くに鷹狩山や霊松寺山等の山並みが見渡せるビューポイントです。

龍神湖右岸には遊歩道があり、特に紅葉の時期は素晴らしく、二の沢まで約1.5km、往復約1時間の静かな湖畔の自然散策が楽しめます。

犀龍と小太郎伝説の里高瀬渓谷「大町ダム」

写真:和山 光一

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高瀬トンネル(430m)手前右手から見る「北葛沢」の渓谷の紅葉は絶景です。駐車できるスペースも数台分しかありませんが車を停めて是非50m程トンネル方向に歩く価値ありです。写真愛好家も狙うポイントですが、車がよく通るので気をつけましょう。

水量が少ないものの綺麗な水の流れの両側に色とりどりの紅葉が素敵なお手軽紅葉スポットです。

高瀬ダムと着工、竣工同時の兄弟ダム「七倉ダム」

高瀬ダムと着工、竣工同時の兄弟ダム「七倉ダム」

写真:和山 光一

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高瀬トンネルを抜けた先は葛温泉エリアです。「葛温泉」は300年余り前に開湯されたという湯量豊富な温泉で、飢饉のときに人々が葛の根を堀りに渓谷へ分け入り見つけたことが葛温泉の由来といわれています。現在高瀬川沿いに手前から「仙人閣」「湯宿かじか」「高瀬館」の3軒の温泉宿があり、それぞれ日帰り入浴ができますよ。

葛温泉から七倉にかけての高瀬川沿いも紅葉の名所です。

高瀬ダムと着工、竣工同時の兄弟ダム「七倉ダム」

写真:和山 光一

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「七倉ダム」は堀削の際に出た自然石を組み上げた“ロックフィルダム”です。高さは125m、ダム体積738万平方mで、1971年着工、1979年に完成しました。一般車両はダム直下の堤体下の駐車場までしか行けませんが、そこからダムに沿って伸びる階段で天端まで登ることはできます。しかし、かなり体力が必要ですのでエメラルドグリーンの湖水と紅葉の競演は素晴らしいのですが、その景色は車中、七倉隧道から垣間見るだけです。

誰も知らない黒部ダムに次ぐ高さ日本2位の「高瀬ダム」

誰も知らない黒部ダムに次ぐ高さ日本2位の「高瀬ダム」

写真:和山 光一

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七倉ゲート〜高瀬ダム間はマイカー通行禁止です。車は「七倉山荘」の前の駐車場(約50台)に停め、ここからは、特定タクシー(一台2200円)で15分か、約6km、90分の徒歩で「高瀬ダム」の堰堤まで上ります。タクシーは1台4人まで乗り合わせができますが順番待ちになることもあります。東京電力管理用ゲートから先、山ノ神トンネルを通って高瀬ダムにむかいますが、徒歩の方はトンネルの手前を右に入っていくと登山口になります。

タクシーの運転手さんが気を利かせてくれて、ダム直下の広場に車を停めてくれます。

誰も知らない黒部ダムに次ぐ高さ日本2位の「高瀬ダム」

写真:和山 光一

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新高瀬川発電所の上部ダムとなる高瀬ダムは、日本で黒部ダムに次ぐ2位の高さ176m、堤体積1140万平方mの規模の国内有数の自然石を積み上げたロックフィルダムです。七倉ダムと同じく1971年着工、1979年に完成しています。ロックフィルダムとしては日本一高く、前田建設の施工ですが、ひとりの職人が6年かけて8万個もの石を積み上げたその迫力に脱帽です。

その積み上げられた石の中の九十九折の道をタクシーが登って行きます。車窓からは石の大きさと白い石に映える紅葉とのコントラストに目を奪われます。

誰も知らない黒部ダムに次ぐ高さ日本2位の「高瀬ダム」

写真:和山 光一

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2005年にダム湖100選にも選ばれているダム湖に向かって左の高瀬トンネルが北アルプスの秘湯・湯俣温泉方面で、写真の右の不動沢トンネルが烏帽子岳方面への登山口になっています。トンネル入口の上部は「槍見台」があり、天気が良いと槍ヶ岳の穂先が遠望できます。

ロックフィルダムからの景色は、トンネルの上、紅葉の山の奥に少し雪をかぶった不動岳(2601m)や湖の奥、砂地に見える不動沢から山の稜線に目を向けると山頂の尖った形状が烏帽子に似ていることに由来する烏帽子岳(2628m)が見れます。

少し足を伸ばして高瀬川左岸側「不動沢・濁沢」へ

少し足を伸ばして高瀬川左岸側「不動沢・濁沢」へ

写真:和山 光一

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槍見台下の不動トンネル(約400m)を抜け、ブナ立尾根・烏帽子岳方面に歩いていくのですが、途中にある「濁沢の滝」までのトレッキングコースは往復で約1時間半の距離です。トンネルを出てすぐに、長さ約170m不動沢吊橋を渡ります

少し足を伸ばして高瀬川左岸側「不動沢・濁沢」へ

写真:和山 光一

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左から不動、七倉、針ノ木岳といった、北アルプスを望む吊橋からの景色は圧巻であり、この日は駄目でしたが反対側には美しいエメラルドグリーンの色をした高瀬ダム湖の姿が目に映ります。花崗岩が歳月を経て風化して崩れ、そこに含まれている長石の結晶が粘土化したものと、高瀬川上流から流れてくる硫黄の細かな粒子が混じり合う水だからといわれています。

ここより烏帽子岳から野口五郎岳を経て槍ヶ岳に至る裏銀座縦走コースの入口なのです。

少し足を伸ばして高瀬川左岸側「不動沢・濁沢」へ

写真:和山 光一

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橋を渡って20分ほど歩くと、ブナ立尾根を登り始める右側奥に「濁沢の滝」が見えてきます。土砂の堆積が多くなってきているため、川沿いの道は50mから100mも幅のある砂の道で、少し硬い沙漠の上を歩いているような気持ちになります。

高瀬ダムえん堤より徒歩35分。落差約50mの滝は岩場を滑るように流れ落ち、水しぶきをあげています。岩場を色どる秋の紅葉とともに素晴らしい景観です。

高瀬ダムの拠点「七倉山荘」で一息

高瀬ダムの拠点「七倉山荘」で一息

写真:和山 光一

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帰路もタクシーで七倉山荘まで戻ることになります。七倉山荘では日帰り入浴や昼食をとることができます。売店のようなお店に入って券売機で食券を購入するシステムです。おすすめは一日20食の「炊き込みごはんときのこたっぷりのトン汁定食」。冷えた身体に温かいトン汁は、きのこもたっぷり入って美味しさをより感じさせてくれるはずです。

高瀬ダムの拠点「七倉山荘」で一息

写真:和山 光一

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食事は店奥の明るいテラス席でいただくことができます。ウッド調のインテリアは緑に映えて気持ちよく解放感もあります。温泉卵に野沢菜、旬のりんごもついて信州の味覚満載ですよ。

まだまだ楽しめる「高瀬渓谷」

高瀬川右岸側のトレッキングは、高瀬ダム湖に向かって左手の高瀬トンネルから始まります。湯俣川と水俣川出合から始まる、高瀬川のほとんど始まりといってよい地点にある高瀬渓谷最深の温泉の湯俣温泉(晴嵐荘)まで約10km、徒歩で約2時間半の距離です。ダムから湯俣、墳湯丘へ向かう登山道は、ほとんど上り下りがなく素晴らしい眺望を眺めながらのトレッキングが楽しめます。自分の体力と相談しながら所要時間を計算して高瀬渓谷の眺めを楽しんで下さい。

ダムめぐりではダムカード集めが今ちょっとしたブームになっています。以前は大町ダムカードしかありませんでしたが、現在七倉山荘で食事や入浴または買い物をすれば、非公式ながら七倉ダムカードと高瀬ダムカードを希望すれば貰えますよ。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/10/23 訪問

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