写真:麻生 のりこ
地図を見る静岡県西部に位置し、数多くの入り江や4つの枝湾を持つ浜名湖。その枝湾の1つ・奥浜名湖(引佐細江湖とも)の北側湖岸一帯は奥浜名湖地域と呼ばれています。
「長楽寺」はその奥浜名湖を見下ろす山の中腹に、弘法大師によって今から1200年ほど前の平安時代初期に開かれた古刹です。
参道の石段左手には所どころ崩れかけた土塀が。この土塀は日干し煉瓦を用い室町時代に作られました。山門は江戸時代に建てられたものなんですよ。
写真:麻生 のりこ
地図を見る山門をくぐると客殿が姿を見せます。長楽寺の本殿は老朽化により昭和58年(1983年)に解体され、以来この客殿が主な建物となりました。
実は本殿が解体される前から住職不在期間が長く続いていた同寺。平成28年(2016年)1月からは尼僧の吉田真誉さんが住み込みの管理人として守っています。客殿内には彼女が描く仏画が掛けられ、落ち着いた中にも華やかさを醸し出しています。
写真:麻生 のりこ
地図を見る長楽寺のドウダンツツジは客殿最奥にある上段「殿さまの間」からの眺めがお勧め。この付近一帯は江戸時代には旗本の気賀近藤家が治め、同寺は気賀近藤家の祈願所として崇敬されていました。
気賀近藤家の祖は、大河ドラマ『おんな城主直虎』に登場する井伊谷三人衆の一人・近藤康用の孫にあたる用可(よしあり)です。
窓辺に置かれた椅子に腰かければ北山を借景とした庭が一望。遠くには山号ともなった光岩(ひかりいわ)も。
真っ赤に色づき築山を紅く染めるドウダンツツジ。池に放たれた鯉の跳ねる水音や、周囲の木立ちを渡る風の音。鳥のさえずり…。時が経つのも忘れてしまいそうな穏やかで静寂な空間です。
写真:麻生 のりこ
地図を見る小堀遠州作と伝えられる庭は井伊谷の龍潭寺とともに遠州三名園に数えられています。
紅葉の見頃は毎年11月中旬から12月初旬にかけて。池泉回遊式庭園で植え込みの間は散策自由。一幅の絵画のような庭園は奥行きがあり、丸く刈り込まれたドウダンツツジの紅葉を間近に鑑賞できると好評です。
庭園内に配置されている石は、この地方ではよく見られるチャート岩。岩と植え込みとの調和を実際に散策して体感してくださいね。なお、光岩も巨大なチャート岩です。
写真:麻生 のりこ
地図を見る「満天星」とも表記されることがあるドウダンツツジは、4月中旬ともなれば株全体に白くて釣り鐘形をした小さい花をつけます。葉が開ききらないうちに花が咲くので、一見するとパステルグリーンの庭に!
写真:麻生 のりこ
地図を見る5つの築山で構成されている庭園は中央が一番高く三尊石が据えられています。十三重の層塔は戦後に置かれたものですが庭全体のバランスを崩すことなく、庭園のほど良いアクセントとなっています。
頂上から客殿の屋根越しには浜名湖が見えるので、ぜひご覧くださいね。
写真:麻生 のりこ
地図を見る境内には鎌倉時代に制作された本尊の馬頭観音を安置した護摩堂や、静岡県内で二番目に古い梵鐘を納めた鐘楼も。鐘楼は総ケヤキ作りで解体された本堂の建材を再利用しています。
こちらの大木は「海を越えてポルトガルよりやって来た」と伝えられている「ホルトの木」。すぐ傍のナギの木とともに枝を広げ、境内を見守っているかのようです。
ドウダンツツジ以外にも春の訪れを告げる梅や桜、初夏にはサツキやシャガが。夏になればサルスベリのピンクの花が境内に彩りを添えます。
秋には彼岸花や参道の紅葉が、そして冬にはツワブキの黄色が参拝客の目を楽しませてくれます。四季折々に異なる風情が感じられる庭園と言えましょう。
境内の北側には本堂跡地まで続く梅の並木も。この梅の並木は住職不在の時期を含め、現在でも地域の人々が手入れをしてくれています。
静寂さを感じながら愛でる庭園。ドウダンツツジの紅葉に会いに長楽寺へどうぞ。
住所:静岡県浜松市北区細江町気賀7953-1
電話番号:053-522-0478
アクセス:
・天竜浜名湖鉄道「気賀」駅から北東へ約2キロ
・東名高速道路「三ヶ日」I.Cから国道362号線経由で約9キロ
駐車場:完備(無料)・ 参道入り口付近および境内の東側(石段を上るのが不安な方は境内東側の駐車場がお勧め)
2019年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/20更新)
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