韓ドラ&歴史ファン必訪!世界遺産・百済の歴史遺跡地区で古代ロマンを満喫!

韓ドラ&歴史ファン必訪!世界遺産・百済の歴史遺跡地区で古代ロマンを満喫!

更新日:2017/08/29 10:11

泉 グルンのプロフィール写真 泉 グルン フリーランスライター
2015年に世界遺産に登録された韓国の「百済の歴史遺跡地区」。そこは、韓流ドラマ『薯童謡(ソドンヨ)』や『階伯(ケベク)』といった物語の舞台となった地域です。華麗な韓流時代劇ドラマは、韓流ファンだけでなく多くの歴史愛好者にも大人気。本国でも大ヒットした、それらの韓ドラをひもときながら見どころをご紹介しましょう。

あのヒロインの父・武寧王が眠る宋山里古墳群

あのヒロインの父・武寧王が眠る宋山里古墳群

写真:泉 グルン

地図を見る

「百済の歴史遺跡地区」は、韓国の12番目のユネスコ世界遺産として登録されました。そこは韓国南西部の忠清南道にある公州市と扶餘郡、全羅北道の益山市にまたがる8件の遺跡群です。百済は紀元前1世紀から7世紀前半まで続いた王国で、高句麗、新羅とともに古代朝鮮の三国のひとつに数えられます。

まずはソウルから南へ120kmのところにある公州市の宋山里古墳群へ。ここは韓ドラ『帝王の娘スベクヒャン』にまつわる登場人物が眠るお墓です。現在7基の墳墓が見つかっていますが、誰の墓であるかわかっているのは、主人公スベクヒャンの実の父である武寧王の墳墓だけです。

ドラマは、百済の王の娘であることを知らずに育った主人公がさまざまな困難と陰謀に立ち向かいながら生きて行く純愛ストーリー。ほかの登場人物も、もしかしたらこの古墳群のどれかに眠っていたかもしれません。

あのヒロインの父・武寧王が眠る宋山里古墳群

写真:泉 グルン

地図を見る

武陵王の墓は1971年に偶然発見されました。墓誌石に死亡や埋葬の年月が刻まれていたことから、百済第25代武寧王の墓だと判明したのです。墓の内部は公開されていませんが、代わりに実物大のレプリカを見学することができます。蓮花模様が刻まれた美しい玄室の内部は必見です。

当時の百済は日本と密接な関係にありました。日本に仏教を伝えたのは武寧王の息子の聖王であると『日本書紀』に記されています。聖王は『帝王の娘スベクヒャン』でヒロインの悲恋の相手であるミョンノンにあたります。イケメン俳優チョ・ヒョンジェさんが演じたミョンノンは心やさしく賢い王子で、メロメロになった女性も多いのではないでしょうか。

あのヒロインの父・武寧王が眠る宋山里古墳群

写真:泉 グルン

地図を見る

武寧王陵は朝鮮三国時代の王で唯一発見された墓ですが、盗掘の形跡がなく、完全な形でみつかりました。そこには王と王妃の棺のほか首飾りや腕輪など2万906点もの副葬品も収められていました。そのうちの17点が国宝に指定されています。

現在、副葬品のほとんどは国立公州博物館に展示されていますが、武寧王陵の模型展示館でも一部のレプリカを見ることができます。日本の飛鳥時代にも影響を与えた百済美術の精巧さに驚きます。

宋山里古墳群へのアクセス/ソウルから高速バスで公州へ行き(所要約2時間)、公州高速バスターミナルからタクシーで約10分

パワースポット!?百済滅亡の物語が詰まった扶余・扶蘇山城

パワースポット!?百済滅亡の物語が詰まった扶余・扶蘇山城

写真:泉 グルン

地図を見る

百済を舞台にした韓ドラにはほかに『薯童謡(ソドンヨ)』と『階伯(ケベク)』があります。どちらも王朝末期の時代を描いていて、当時の都は現在の扶余郡にあたります。そこには世界遺産のひとつ扶蘇山城があり、百済王宮の関連遺跡が多数点在しています。

韓ドラ『階伯』の主人公ケベク将軍は滅びゆく百済に忠誠を誓い、死闘の果てに敗れました。俳優イ・ソジンさんが演じる名将ケベクの最期に涙した人も多かったはず。ケベクは実在し、百済の三忠臣と呼ばれて後世まで語りつがれました。彼らを祀った三忠祠もこの扶蘇山にあります。

山中は石段で整備され、すべてまわると2時間ほどかかります。運動靴など歩きやすい服装がおすすめ。

パワースポット!?百済滅亡の物語が詰まった扶余・扶蘇山城

写真:泉 グルン

地図を見る

扶蘇山には、ひとくち飲むと3歳若返ると言われる薬水があります。北側の中腹にたつ皐蘭寺(コランサ)というお寺の後方に湧く天然水で、百済の王たちは1日に1回はこの湧水を飲んでいたそうです。

今でもそこは皐蘭亭と名付けられて、訪れた人は誰でも水を汲んで飲むことができます。1400年以上前から絶えることなく清水が湧き出ているのですから、まさにパワースポットですね。

皐蘭寺の近くには、百済が唐に陥落した際に約3000人の宮廷女官が身投げをしたという「落花岩」があります。岩の上には眺望のいい東屋が設けられていて、女官たちが花のような姿で舞い降りたと伝えられる白馬江(錦江)を眺めることができます。

パワースポット!?百済滅亡の物語が詰まった扶余・扶蘇山城

写真:泉 グルン

地図を見る

扶蘇山の眼下を流れる白馬江(錦江)は、日本の教科書にも書かれている「白村江の戦い」が繰り広げられた大河です。西暦663年8月、倭国(日本)と百済の連合軍が、唐と新羅の連合軍と戦って大敗しました。その後、多くの百済人が日本に亡命し、現在も九州には百済王族の末裔が住んでいるといわれています。

扶蘇山の北側には皐蘭寺船着場があり、山の西側のクドレ公園まで約10分強の白馬江遊覧を楽しむことができます。当時の軍船を模した黄布帆壱船は情緒たっぷり!途中、女官たちが舞い降りた「落花岩」も見られますよ。いにしえの歴史を感じられるクルーズです。

扶蘇山城へのアクセス/ソウルから高速バスで扶余へ行き(所要約2時間)、扶余市外バスターミナルから徒歩約15分

韓国版ロミジュリの「愛の池」は毎晩ライトアップ!

韓国版ロミジュリの「愛の池」は毎晩ライトアップ!

写真:泉 グルン

地図を見る

扶余と聞けば、韓ドラファンには『薯童謡(ソドンヨ)』を抜きには語れません。百済の王子と敵国だった新羅の王女ソンファとの恋物語で、韓国版ロミオとジュリエットと言われているドラマです。主人公のチャンを演じたのは『帝王の娘スベクヒャン』でのちに聖王となるミョンノンを演じたチョ・ヒョンジェさんです。『薯童謡』はチョ・ヒョンジェさんを一躍スターにした作品で、日本でも多くの女性ファンを獲得しました。

『薯童謡』では主人公チャンはのちの百済第30代武王になります。武王は宮殿の南の離宮に広大な人口池を造って愛するソンファ妃と船に乗って楽しみました。それが現在の宮南池(クンナムジ)です。史記をもとに約3分の1の大きさで復元されていますが、夜はライトアップされてとってもロマンチック!

韓国版ロミジュリの「愛の池」は毎晩ライトアップ!

写真:泉 グルン

地図を見る

宮南池は武王とソンファ妃にちなむ「愛の池」とも呼ばれているだけに、イルミネーションにもハートが多く用いられています。当然、訪れるカップルも多く、デートスポットとしても大人気。SNS映えするステキな旅写真が撮れそうですよ。

宮南池へのアクセス/扶余市外バスターミナルから徒歩約20分

ヨン様も感動!?王と王妃のロマンあふれる益山・弥勒寺址

ヨン様も感動!?王と王妃のロマンあふれる益山・弥勒寺址

写真:泉 グルン

地図を見る

『薯童謡』の主人公である武王とソンファ妃にまつわる寺院が扶余の南に位置する益山市にあります。ある日、ふたりそろって弥勒山にある獅子寺に向う途中、池の中から弥勒三尊が現れました。その後、ソンファ妃の願いでその池を埋め立てて弥勒寺を建立したという記述が『三國遺事』という史書にあります。そこが世界遺産のひとつ弥勒寺址です。

弥勒寺は百済最大の寺で、東西260m×南北640mという広大な敷地に東西二つの石塔と、その中央に九層からなる高い木塔がたっていました。現在は復元された東塔がたっていますが、この塔を見たらヨン様ファンならピンとくるでしょう。大人気俳優ペ・ヨンジュンさんの著書『韓国の美をたどる旅』で、ヨン様はこの塔を「武王が王妃に贈ったタージマハール」と絶賛、自身が撮った美しい東塔の写真も収められていますね。

ヨン様も感動!?王と王妃のロマンあふれる益山・弥勒寺址

写真:泉 グルン

地図を見る

実は西塔の方は崩れかけながらも現存していて国宝に指定されていますが、現在は補修工事が行なわれていて完成は2017年末の予定です。2009年、この解体工事の途中で歴史的な発見がありました。石塔の心柱石の中から仏舎利をおさめた壺や宝物などが発見されたのです。

仏舎利は、当時は貴重だったガラス製の舎利瓶におさめられ、さらに金銅製の内壺と外壺に入れられてすき間にガラスビーズが詰められていました。それは同時代に建てられた奈良法隆寺の仏舎利と同じ方法であることがわかっています。

弥勒寺址からはほかに5,100もの百済時代の遺物が出土していますが、それらの一部や舎利壺は、敷地内にある弥勒寺址遺物展示館でみることができます。

弥勒時へのアクセス/ソウルから高速バスで益山へ行き(所要約3時間)、益山バスターミナルからタクシーで約20分

百済を体感できる「百済文化祭」も面白い!

日本の飛鳥文化に大きな影響を及ぼした百済ですが、古代朝鮮三国のなかでもっとも史跡や資料が少ない王朝といわれます。それだけに「百済の歴史遺跡地区」の遺跡や遺物はとっても貴重で、いっそう人々のロマンを誘うのかもしれません。

毎年秋に「百済文化祭」が公州市と扶余郡で行われています。百済歴史文化パレードや伝統文化体験、芝居やコンサート、花火大会など連日、華やかな催しが行われます。2017年は9月28日〜10月5日の開催です。

韓流ドラマや歴史ファンでなくとも、百済の魅力にとりつかれることでしょう。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/07/27−2017/08/29 訪問

- PR -

旅行プランをさがそう!

このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -