大阪の寺内町が誇る町屋建築〜富田林・旧杉山家住宅〜

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大阪の寺内町が誇る町屋建築〜富田林・旧杉山家住宅〜

大阪の寺内町が誇る町屋建築〜富田林・旧杉山家住宅〜

更新日:2017/08/18 10:57

小谷 結城のプロフィール写真 小谷 結城 国内旅行業務取扱管理者、京都検定2級、温泉ソムリエ、日本城郭検定2級、国内旅行地理検定2級

大阪府の中南部。富田林には一向宗の寺院を領主とする自治都市・寺内町が存在しました。この寺内町はきれいに保存され、現在は府下唯一の重要伝統的建造物群保存地区となっています。そして、残る多数の町屋の中で最も古いものが旧杉山家住宅です。寺内町の創立に関わった八人衆の筆頭の住居であり、寛永21(1644)年には存在したとされます。高い格式は今も伝わっています。それでは旧杉山家住宅をご紹介します。

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まずは外観

まずは外観

写真:小谷 結城

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まずは外観です。旧杉山家住宅の大きな特徴は、4層の妻を重ねた重厚な大屋根です。瓦は本瓦葺き、壁は白漆喰で上品に仕上がっています。また、塀の焼き板張りも魅力的ですが、その屋根の上には物騒な柵が廻らされています。忍返しと呼ばれるもので、泥棒の侵入防止が目的です。柵の先端は鋭く尖り、侵入者を阻みます。

上品なぜいたく「大床の間」

上品なぜいたく「大床の間」

写真:小谷 結城

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中へ入ると土間があり、この右手に現在は受付になっている商売を行う下店の部分があり、仕切りを隔ててその奥に台所にあたる釜屋があります。左手前には、格子の間と呼ばれる表通りに面して格子窓が付いたみせのまがあり、分かりやすく帳場台が置かれています。大床の間はこの格子の間から部屋ひとつ隔てたさらに奥になります。

大床には、能舞台をイメージして狩野派による老松が豪快に描かれています。贅沢な空間ですが、この障壁画と襖絵以外はさっぱりとした装い。淡い橙色ほどの土壁や竿縁天井、欄間装飾も落ち着いており、趣味の良い上品な空間づくりがなされているのが好印象です。

上品なぜいたく「大床の間」

写真:小谷 結城

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大床の間には、千鳥の襖絵もあります。岩に波が打ち付ける海の上を、千鳥が弧を描きながら子供のような無邪気さで楽しそうに群れ遊んでいる姿です。大床の能舞台を意識した老松とはまた趣向の異なった襖絵で、この2つがここで同居していることにある種の面白さを感じます。ひょっとしたら、こういったところに豪商の遊び心が潜んでいるのかもしれません。

奥座敷の欄間と庭園

奥座敷の欄間と庭園

写真:小谷 結城

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大床の間からさらに奥へ。座敷を経て至る奥座敷が主屋の最奥部になります。座敷と奥座敷の間の欄間は必見。薩摩杉を使用して元文2(1737)年に製作された菊の透かし彫りです。こちらは旧杉山家住宅でも屈指の技芸が光る場所でしょう。竹樋の遠近感を平面で表現したデザインの妙も光ります。

奥座敷の欄間と庭園

写真:小谷 結城

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奥座敷は床、違い棚、天袋、付書院、いずれも絵も無ければ装飾も少ない簡素な造りをしており、老松などが描かれた大床の間や金箔をあしらった絵で床や天袋を装飾した座敷とは一線を画す清浄な装いです。また、ここから眺める庭園もなかなか良いです。

日本家屋は珍しい「螺旋階段」

日本家屋は珍しい「螺旋階段」

写真:小谷 結城

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主屋の中央には明治後期に取り付けられたという螺旋階段があります。手摺りはきれいな曲線を描き、旋盤加工のバラスターや円柱が陽の光を柔らかく受けているところを見ると、よく磨かれ、丁寧に今日まで大切にされてきたことが想像されます。

日本建築の贅をご覧ください

屋根の構造に始まり、障壁画、欄間、そして最後に螺旋階段。贅を凝らした造りだということがお分かりいただけたでしょうか。杉山家は酒造業で財を成し、屋敷地は町割の一区画を占め、最盛期には70人以上が働いていました。そんな家だからこそ優れた技巧を集めることができたのです。富田林で凝らされた日本建築の贅をご覧になってはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/06/27 訪問

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