写真:浦賀 太一郎
地図を見る鹿児島市から車で約1時間30分。新幹線駅の川内駅、高速道路の横川ICからは約1時間。県北部、いわゆる「北薩(ほくさつ)」に、曽木発電所遺構と、曽木の滝はあります。整備された走りやすい国道で、薩摩の穏やかな郷土風景を愛でながらのアクセスです。
駐車場が整備された曽木発電所遺構展望公園からは、天空の城ラピュタ、あるいは欧州の遺跡のような遺構を眺めることができます。夏から秋にかけて、曽木発電所遺構は湖面からその姿を現します。初夏や中秋の頃は水面に浮かぶ遺構が美しく、晩秋から春は屋根の部分が辛うじて見えるくらいまで水位が上がります。
写真の様に、全体像を観ることのできる時期(盛夏から初秋)は、1年間に2〜3ヶ月と、とても短い期間なんですよ!詳しい水位の情報は関連MEMO欄の「鶴田ダム管理所 曽木発電所遺構」を確認して下さいね。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る曽木発電所遺構は、明治42(1909)年、牛尾大口金山の電源供給のために建造された、水力発電所の跡です。ドイツ・シーメンス社の発電機の導入や、レンガ造りの洋風建築など当時最先端の技術を集めた一大事業で、集落は活気に溢れ、湧きました。
曽木発電所は、余剰電力を水俣に送電し、漁船などの点灯燃料を製造するカーバイト工場を建設します。後に日本窒素肥料株式会社となり、戦後の財閥解体でチッソ・旭化成・積水化学といった、日本の近代科学工業をリードする企業を輩出します。
高度経済成長の頃には、工業排水の影響で水俣病という公害病を引き起こしてしまいますが、そうした歴史の部分を心に留めて、この曽木発電所遺構を眺めれば、この遺構の存在の意味を、より深く噛みしめることができるでしょう。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る曽木発電所遺構から車で10分ほど、整備された公園内に「曽木の滝」はあります。最大落差は12m、滝幅は日本一を誇る210m。日本でも有数の壮大な規模である曽木の滝は、「東洋のナイアガラ」と讃えられています。春は桜、秋は紅葉が美しく、梅雨や夏の時期の水量は爽快の一言!
写真:浦賀 太一郎
地図を見る曽木発電所は、昭和40(1965)年に鶴田ダムの完成に伴い、ダム湖に水没しましたが、今はこの曽木の滝の落差と勢いを利用した、新曽木発電所が、滝の景観を損ねないように稼働していて、施設の見学もできます。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る戦国時代の天下人・豊臣秀吉もこの地を訪れています。九州征伐で薩摩(鹿児島県)を治めていた島津氏を降伏させた後、曽木の滝に立ち寄り、その雄姿に感嘆したと言います。
その際、島津氏の家臣である新納忠元(にいろただもと)が随行していましたが、実は忠元は隙あらば秀吉を観音渕(滝壺)に突き落として殺してしまおうと目論んでいました。秀吉はその殺気を察知し、忠元の裾をつかまえ、片時も放そうとはしなかったと伝わっています。
また、NHKの連続テレビ小説「花子とアン」で話題になった柳原白蓮もこの地を訪れ、「もののふの 昔がたりを曽木の滝 水のしぶきに 濡れつつぞ聞く」と詠み、その歌碑が滝を望む遊歩道に建っています。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る曽木の滝公園には、北薩のグルメを頂けるお店が軒を連ねています。写真は、「花むしろ」のそばじゅい御膳。そばじゅい(写真右上)とは、北薩産のそば粉を使用し、地鶏や柚子、三つ葉などの厳選された食材を豊富に盛り込んだ、手打ち煮込みそばのこと。
山梨の郷土料理である「ほうとう」を彷彿とさせる見た目ですが、そばじゅいのそばの味わいは、まさに蕎麦そのものの味です。じっくり煮込まれた郷土の味を存分に楽しむことができますよ!
他にも、地元産の黒豚を使った黒豚重、清流で育った鯉やニジマスの料理、お米は鹿児島随一の米どころである伊佐産米を厳選。和スイーツの「かっぱどら」は、沖縄のアイス・ブルーシールとのコラボ商品を開発!どの店舗でも貪欲に地元グルメを追求し提供してくれるので、どのお店に入ろうか迷ってしまう程です。
「北薩」。あまり聞き慣れないかもしれないですが、明治維新150年を迎え、2018年大河ドラマ「西郷どん」に沸く県南部に負けない、素晴らしい遺構や景観が待っています!さぁ皆さん。「北薩」という言葉を覚えて、曽木へ遊びに行くがぁ(行こうよ)!
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(2024/3/19更新)
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