サッポロピリカコタンの展示は、屋内の展示室以外は無料で見学ができます。まずは、屋外の庭園展示をご紹介します。北海道の先住民であるアイヌの人々が大自然のなかで暮らしていたころを想像させるような体験ができます。
ピリカコタンの敷地内に入り、左手へ行くと古式民家であるチセが並ぶ「歴史の里」があらわれます。民家のほかプと呼ばれる倉も当時のように再現されており、中に入ることができます。家屋に入ると炭の匂いがすることがあります。家を維持していくために、時々囲炉裏で火をおこして炭を炊いているためです。タイミングが合えば、炭で家屋をいぶしているところを見学できます。これらの建物は、建てる前の儀式であるカムイノミ、新築の儀式であるアシリチセノミをアイヌ民族伝統の方法で行っています。
「歴史の里」の奥には、アイヌと水との関わりをあらわした「自然の里」があります。イユタプという水の力を利用した精米用具や池が再現されています。周囲にはゴザを編む蒲など湿地に生える植物が茂っています。
庭園「歴史の里」の様子です。
建物の正面玄関外には、村の守り神であるシマフクロウ像があります。
ピリカコタンの展示室の魅力は、なんといっても直接手に取って展示物を見られることです。どんなふうに使うのかがわからないときは、スタッフに尋ねると教えてもらえます。
展示室に入ってすぐ右手に映像コーナーがあります。アイヌの伝統儀式であるカムイノミなどの映像を見ることができます。室内にひろがる展示コーナーは、男の仕事や女の仕事、といったようにテーマ別に区切られており、どんなふうにアイヌの人々が暮らしていたか想像しながら見ることができます。
オヒョウというニレの木の樹皮で編まれた衣服は、アットゥシと呼ばれています。木の皮をはぎとることからはじまり、繊維を柔らかくして一本の長い糸にして織り上げます。作り上げるまでに1年から1年半かかります。袖口や裾などに縫い付けられた刺繍の模様は家によって異なり、母から子へと代々伝わるものです。様々な模様があり、同じように見えながらひとつひとつ違っています。どんな模様がつけられているかじっくり見てみるのも面白いですね。
アイヌ文様は、直線と曲線の組み合わせで作られています。直線は心の正しさや正直さ、真心をあらわし、曲線は平和や円満、豊かさの意味が含まれるといわれています。衣服だけでなく、日常で使う道具にも文様がたくさん刻まれています。美しさを求めただけではなく、魔除けや祈りが込められているとされ、地域によっても意味はさまざまです。館内には文様の意味がいくつか解説されていますので、展示物と照らし合わせながら見ることができます。
展示室内には、昔のくらしや歴史、文化についてを画像で学べるタッチパネルが数台設置してあります。バーコードリーダーを使って展示品のデータを呼び出すこともできます。展示品を見ながら、もっと詳しく知りたくなったらぜひこのパネルを利用してみてくださいね。
昔話のデジタル紙芝居コーナーでは、聞きたい昔話を選択すると紙芝居が上映されます。子供でも楽しくアイヌ文化に触れることができます。
アイヌ語クイズコーナーでは、モニターから流れる絵付きクイズにタッチパネルで答えて楽しめるようになっています。
アイヌの子供たちが遊んだ輪投げなども用意されています。展示物に触れられるだけでなく、耳や目からもアイヌ文化を体感できるコーナーが充実しています。
ブドウのツルの輪投げができるコーナーです。カリプ遊びといって、男の子の遊びです。遊びを通して、狩りなど生きるための技術を学んでいきました。
ピリカコタンを出て、道路をはさんで向かいに樹齢700年のカツラの木があります。この地域の鎮守として大切にされています。あるとき、巡錫に訪れた和尚がこの老樹の根本で一晩を過ごしたとき、夢枕に樹霊があらわれ、衆生済度の霊泉の湧源をしめされたといわれています。
サッポロピリカコタンへは、札幌駅からはバスで約50分。車では約40分です。小金湯温泉郷のなかにあり、帰りにはぜひ小金湯で疲れを癒やしてくださいね。2軒の温泉場があります。まつの湯の露天風呂からは、豊平川を眺めることができます。
サッポロピリカコタンでは展示のほか、定期的にアイヌ文化の体験講座が開かれています。詳しくは施設へお問い合わせください。
施設内には、展示室のほか、書籍やビデオ映像などを閲覧できる情報コーナーや交流ホール、休憩がとれるレストコーナーがあります。一日ゆっくりと楽しめる場所です。食事をするには、温泉場内の食堂が便利です。
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(2024/4/19更新)
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