途轍もなく心高ぶる地上の十字架、目白「東京カテドラル関口教会 聖マリア大聖堂」

途轍もなく心高ぶる地上の十字架、目白「東京カテドラル関口教会 聖マリア大聖堂」

更新日:2017/08/14 12:19

建築家丹下健三の設計で有名な、目白「東京カテドラル関口教会」聖マリア大聖堂。鉄筋コンクリート構造、建物全体が一大十字架を象る圧倒的スケールの建築です。ユーミンの「翳りゆく部屋」に使われたあの荘厳な音源は、ここの初代パイプオルガン。見学者にはオープンでありながら、祈りの場である大聖堂の中はもちろん撮影厳禁の聖域。行かなければ分り得ない、信仰疎くとも心高ぶる感覚、その入り口までをご案内します。

いつまでもそこに居たい地上の十字架

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JR山手線目白駅から都営バスで8分程、「ホテル椿山荘東京」目の前に、この教会はあります。正式名称は「カトリック東京大司教区 カテドラル関口教会」。16の教区に分かれた日本のカトリック教会の中でも、司教の紋章がつく赤い椅子「カテドラ」を持つ教会に司教座聖堂を意味する「カテドラル」と名付けられます。

前身は遡って明治32年に建てられた聖堂から始まり、大正9年に東京大司教座聖堂となった当時は木造ゴシック式の教会でした。第二次世界大戦の空襲によって消失後、ドイツのケルン教区の支援により現在のように再建されました。これが、あの世界的建築家ル・コルビュジエにも認められた日本の誇る「世界のタンゲ」、建築家丹下健三の設計によるもの。丹下健三自身の葬儀もここで行われ、遺骨もここに眠っています。

東京都庁舎、国立代々木競技場を始め数多くの有名な建築作品に見られるように、西洋近代建築にインスパイアされながらも、丹下健三独自の世界観の建物は幾何学の中に重厚感があり荘厳。この関口教会もその代表作として、入口からすぐにこの雄々しい姿を見せます。

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大スケールなステンレス張り外装に、石張りの重厚な土台。四方にそびえ立つ明かり取りの開口部分がその高さを感じさせます。大聖堂の最高部、39.41mの圧巻。
現地配布のパンフレットに掲載された空撮写真では、十字架を形づくるその全景がよく分りますが、正面・両脇・裏手と回り、各側面を見ると、その十字の形やスケールを想像することができます(写真は、大聖堂入り口側の側面)。

大聖堂は祈りの場、見学者は静かにそのマナーを守り立ち入る場所で撮影することも勿論、叶いません(聖堂内部は関連MEMOリンクの公式ページをご参考に)。このナビゲーション記事では表現にも表しきれないその最大の魅力と、大きな驚きの空間に、是非とも足を進めてください。

まず、受付がありますが見学は無料、そのまま静かに立ち入りましょう。まず息を呑むのは、ピラミッドの内部の如く高く引き上げられた天井。見上げると十字架型の天井から降り注ぐ優しい光。振り返れば天に向かって伸びる日本最大のパイプオルガン。
このパイプオルガンは、2004年にイタリアで制作された新しいもの。ユーミン(荒井由実)の「翳りゆく部屋」でそのグロリアスな音を奏でているのは、ここの初代パイプオルガンであることも驚きのエピソードです。

他にも高さ16mの祭壇と十字架、モダンアートのような洗礼室など歴史と芸術的見どころは多い大聖堂内。この聖マリア大聖堂の中は、特別な式が行われていない限り見学することができ、ミサにも自由に参加することもできます(時間など詳細は、関連MEMOリンクのページをご参考に)。
信仰に疎くとも思わず椅子に掛け、心静かに目を瞑り祈らずにはいられない、いつまでもこの十字架の光の下に居たくなる感覚を覚えるでしょう。

聖句からのメッセージを頂こう!

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聖マリア大聖堂で祈りや見学を終えたら、是非、受付前の教会維持費のための献金(いくらでも構いません)に協力を。そして、献金箱の横に置かれた小さな巻紙を一つ受け取りましょう。巻紙を解けばそこには聖句が一つ書かれています。
神社のおみくじのように、聖書の言葉から一つメッセージが書かれています。思い当たるところに気付いて力を与えられたり、これからの歩む道の道しるべになったり…。

信仰心や宗教に対する考えは人それぞれですが、“言葉”から与えられる力は全ての人に共通し得るもの。是非、インスピレーションで一つ開いてみましょう。

見どころは大聖堂の外にも。

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大聖堂の横にそびえ立つ、高さ61.68mの鐘塔。鐘は西ドイツから輸入されたもので、日本的な音色を出すために日本各地の鐘の音を研究して制作したものです(現在、鐘は留められています)。
ねじれながら天に伸び、天を指す塔は見上げるほどに神々しいもの。

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駐車場の奥手にある「ルルドの洞窟」。フランス郊外ルルドにある洞窟に聖母マリアが現れ、その湧き出た泉を飲むと病気が治ったという奇跡のエピソードから、そこが世界的巡礼地となり、世界各地でそれを模した洞窟を作り祈りの場としてきました。

日本でもルルドの洞窟は数ヶ所存在しますが、この教会にあるものは明治44年にフランス人宣教師の神父が、実物の洞窟を忠実に再現し建てたものです。それ以降、多くの人がここで祈りを捧げ、聖地として神聖な力を宿した場所。パワースポットとしてもよく挙げられるこのルルドの洞窟で、是非スピリチュアルなパワーに包まれましょう。

見どころは大聖堂の外にも。
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ルルドの洞窟の横に架けられた「ジョセフィーヌの鐘」も、その歴史に濃厚なエピソードを持つ鐘です。この鐘はもともと大小対で、築地教会が明治10年献堂の際に、“日本近代法の父”と呼ばれるボアソナードが寄贈したもの。
司教座が築地教会から関口教会へ移される際に大きな鐘「アドレード・ジョセフィーヌ」もここに移されました。もう一方の小さい鐘「ジャンヌ・ルイーズ」は今もなお築地教会に現存しています。

このジョセフィーヌの鐘も数多くの試練を乗り越え、この関口教会にこの姿を残しています。太平洋戦争中の金属供出命令で鐘塔から降ろされるものの、その重さと明治政府法律顧問ボアソナードの銘の入った鐘ということで免れます。昭和20年の大空襲で聖堂が焼け落ち、その際にひびが入ったこの鐘も改鋳され原型通りに復元。現在のドイツ製の4つの鐘が設置されるまでの間、「ルルドの鐘」としてその歴史と美しい音を響かせていた…そんな鐘です。

江戸時代からの「拷問廃止」を訴えたのも、彼、ボアソナード。正式な拷問廃止は、彼の訴えから数年の歳月が経った後ですが、人道的な国内法の整備に尽力し、法学教育にも寄与した彼の歴史はまだまだ興味深いもので、この鐘を起点に紐解いてみるのも一興です。

信仰と歴史、そしてアートな魅力「東京カテドラル関口教会」

東京目白にある「東京カテドラル関口教会」の魅力は、その歴史と信仰心に導かれたもの、そして今の時代にさえ新しいアートを感じさせる意匠性の建築にあります。その魅力は、テレビ東京「美の巨人たち」を始め数多くのメディアで取り上げられ、アーティストが心惹かれ、著名人はここで結婚式を挙げ…多くの信者や見学者が魅了されるこの聖地。口は黙しても心高ぶるこの祈りの場所に、是非足を運んでください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/08/03 訪問

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