写真:小々石 曲允子
地図を見る今や、大阪のレトロ喫茶を代表する存在となっている「マヅラ」。ここ数年で、レトロファン、喫茶店ファンの間ではかなり有名なお店となっており、噂を知った外国人観光客が訪れることもあるそうです。
現在の「マヅラ」がオープンしたのは、1970(昭和45)年。戦後間もない1947(昭和22)年に闇市の一角に喫茶店を開業したのが最初で、その後、大阪駅前ビルに移転して現在のお店になりました。
「マヅラ」が大阪駅前第一ビルに開店した1970年は大阪万博が開催された年で、まさしくその時代の最先端でもあったスペーシー(宇宙的)なイメージをふんだんに取り入れたお店であったことが現在のお店の内装からもうかがえます。
写真:小々石 曲允子
地図を見るしかし、単に流行を取り入れたということではなく、梅田界隈で働くサラリーマンに仕事の事を一時忘れられるような安らぎの空間を提供したいという思いの下でイメージされたのが、「宇宙」というコンセプトであったということ。 創業者であり、御年96才になるオーナーの温かい思いとロマンが詰まったお店であり、長らく値上げされていないという1杯250円のコーヒーにもそうした思いが表れている気がします。
宇宙空間の星に見立てた無数の電球やミラーボールばりの照明、ソファ席を取り囲むように張り巡らされた鏡張りの壁面はレトロフューチャー(昭和の時代に思い描かれていた近未来世界)な趣もありつつ、どこかファンタジックでゴージャス。 100坪のフロアをぐるりと見渡しながら、都会の真ん中で50年近くの時を越えて存在し続けるこの喫茶店自体が、時代の移ろいにも動じることのない宇宙的なスケールを体現した存在のようにも思えてきます。
テーブルに置かれる伝票も、昭和当時のものが現在でも使用されています。
写真:小々石 曲允子
地図を見る大阪市の「生きた建築ミュージアム」50件の内の1件に選出されたということで、取材時には、お店の外のガラスに開店当時の写真が何枚か展示されていました。当時のブルーを基調とした内装も、一段とスペーシーで素敵ですので、訪れた際に展示されていましたら是非ご覧くださいね!
<基本情報>
住所:大阪府大阪市北区梅田1丁目3−1 大阪駅前第1ビルB1
電話番号:06-6345-3400
営業時間:9:00〜21:00(土曜日は9:00〜18:00) 日祝休
写真:小々石 曲允子
地図を見る先程ご紹介した「マヅラ」の店舗のすぐ近くにある喫茶店が「King of Kings」。「マヅラ」と同じオーナーが経営する姉妹店で1971(昭和46)年にオープン、バーカウンターのスペースも併設されている喫茶ラウンジです。
店内に入ると、70年代初頭当時のゴージャス感、レトロフューチャーな趣がそのまま残された内装、インテリアに驚かされます。
カラフルで美しいモザイク柄のステンドグラス、ミッドセンチュリーとスペーシーな雰囲気を併せ持つチェアー、そしてフロアに置かれているグランドピアノ。
写真:小々石 曲允子
地図を見るピアノは飾り物ではなく、今でも月、水〜金曜日の夜19:00〜21:00頃になると生演奏が行われ、月曜日にはなんとお昼頃にも演奏が行われているとのこと。 コーヒーやお酒を嗜みながらピアノの音色に耳を傾けていると、そこはまるで慌ただしい日常から隔離された癒しの異空間。 普通の喫茶店とはひと味もふた味も違う、優雅で大人なムードに浸ることができます。
写真にはありませんが、もうひとつ、レトロファンの方にチェックしていただきたいのが、お会計の時に目にするレジ。開店当初から使用されているというレジは、オレンジのカラーリングやデザインから海外製かと思いきや実は日本製です。おそらくこのお店ぐらいでしか現役使用されている様子を見かけることができない、貴重なレジと思われます。
写真:小々石 曲允子
地図を見るこのように半世紀近く前のインテリアやムードがディテールに至るまでそのままの状態で現存しているという非常に稀少でディープなお店ではありますが、この界隈のサラリーマンやOBビジネスマンらによって、昭和の時代と変わらず「紳士の社交場」としてのサロン的な利用が時折なされているのが素敵なところでもあります。
当時ならではのクール&ゴージャスなセンスと、大人が集う喫茶店の趣を味わいに訪れてみてください! お昼間からお酒も飲めますよ。
<基本情報>
住所:大阪府大阪市北区梅田1丁目3−1 大阪駅前第1ビルB1
電話番号:06-6345-3100
営業時間:12:00〜23:00 日祝休
写真:小々石 曲允子
地図を見る梅田の中心部から少し東に歩くと、飲食店や昭和の頃から営業しているホテル、風俗店などが建ち並ぶ兎我野町界隈に出ます。
その一角にある喫茶店が「アリア(aria)」。ビルの地下へと続く赤い階段を下りて行くと、サイケデリックなムードを漂わせたオレンジ色のドアが現れ、扉の向こうにはそのまんま昭和からワープして来たかのような異空間が広がっています。
ミッドセンチュリー風のキャメルのチェアーに、座り心地が抜群に良いカリモク風の黒いソファーチェアー、玉暖簾(たまのれん)、間接照明を効かせたやや暗めのムーディーなライティング。 60年代末〜70年代に人気を博した「プレイガール」や「キイハンター」といったカッコいいスパイアクション系のドラマにそのまま出て来そうな、クールモダンな「イカした」インテリアに驚くと共に魅せられてしまいます。
写真:小々石 曲允子
地図を見る先代の店主が1968(昭和43)年にオープンさせた喫茶店で、店名は、バッハの名曲「G線上のアリア」に由来しています。
周辺は歓楽街ですが、ひとつ大通りを挟むと昔から大手新聞社や広告会社などがあり、かつてはそこで働く人々が打ち合わせや休憩時に利用されていてかなり賑わっていたようです。開業当時はこのような雰囲気の喫茶店はまだ珍しかったらしく、人気を博した様子は想像に難くありません。
天井に取り付けられている黒い球状のスピーカーも、当時としてはかなり高価でクオリティーの高いものだったらしく、コストがかかっても良いものを置いてお客さんに楽しんでもらいたいという、あの時代ならではの贅沢なこだわりが垣間見える空間でもあります。
写真:小々石 曲允子
地図を見るメンテナンスの行き届いた新品のように綺麗な状態のチェアーに腰掛けて、丁寧に入れられた美味しいコーヒーや紅茶をいただくと、先代から引き継いで長年お店を守ってきた店主ご夫妻の喫茶店への思いも伝わってくる気がします。
レトロファン、喫茶店ファンには是非おすすめしたい穴場の隠れ家的なお店です!
<基本情報>
住所:大阪府大阪市北区兎我野町5-17
電話番号:06-6361-4770
営業時間:8:00〜17:00 土日祝休
「レトロ」あるいは「昭和レトロ」と一括りな形容で表現されがちな喫茶店ですが、そこには様々な「レトロ」の部類があります。
今回ご紹介したお店はどこも、スペーシーやサイケデリック、モダンデザインに彩られた、1960年代末〜70年代初頭(昭和40年代)には時代の最先端を行くクールなお店ばかりであったというところがポイント。その頃のオシャレ感覚が、1周回って今また再評価されているのが面白いところでもありますし、コストは二の次で細部にまでこだわり抜くことが出来た時代の、デザイン遺産とも呼べるものを目撃出来る場所でもあります。
一見ディープなお店ばかりですが、慌ただしい浮き世とは別次元に存在するかのようなそのゆったりとした居心地の良さにハマってしまうこと請け合い!
煙草に関しても「昭和仕様」のままで、全テーブルに灰皿が置かれてあったりしますが、どこもお店自体が広いこともあってか、思った以上に匂いは気になりませんよ。
大阪駅、梅田駅からも近く便利な場所にありますので、ぜひ、昭和のビジネスマン、OL気分でゆっくりとした時間を過ごしに行ってみてくださいね!
(2017年8月現在の情報です。最新の情報はお電話などでお店の方にご確認ください。)
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(2024/4/20更新)
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