壁画古墳の謎に迫る!奈良・キトラ古墳壁画体験館「四神の館」

壁画古墳の謎に迫る!奈良・キトラ古墳壁画体験館「四神の館」

更新日:2017/08/08 14:51

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
奈良県明日香村を代表する三大古墳といえば、蘇我馬子の墓ともいわれる石舞台古墳、女子群像などの壁画で知られる高松塚古墳、そして、東アジア最古ともいわれる天文図を残すキトラ古墳を挙げることが出来るでしょう。なかでも、キトラ古墳には、近年、資料館が併設され、天文図をはじめとするキトラ古墳の数々の壁画の魅力を多角的に伝えてくれています。今回はキトラ古墳壁画体験館「四神の館」をご紹介しましょう。

近年、復元整備されたキトラ古墳

近年、復元整備されたキトラ古墳

写真:乾口 達司

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キトラ古墳(キトラこふん)は、奈良県明日香村の南西部に位置する古墳。二段から成る円墳で、上段の直径は9.4メートル、下段の直径は13.8メートル。被葬者を安置する内部には横口式石槨が組まれており、7世紀末から8世紀初頭にかけて築造されたと推定されています。大半の古墳の例に漏れず、被葬者は特定されていませんが、学界では天武天皇の皇子である高市皇子(たけちのみこ)や阿倍御主人(あべのみうし)などの名が挙がっています。

発掘調査後は盗掘のために破壊された石槨も修復された上で埋め戻され、ご覧のように綺麗に整備されています。

近年、復元整備されたキトラ古墳

写真:乾口 達司

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古墳の構造については、墳丘の下に設置された案内板により詳しく記されています。ご覧のように、視覚的にもわかりやすく解説されているため、そちらをご覧下さい。

キトラ古墳の全容を学ぼう!キトラ古墳壁画体験館「四神の館」

キトラ古墳の全容を学ぼう!キトラ古墳壁画体験館「四神の館」

写真:乾口 達司

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キトラ古墳を学ぶためには、併設されているキトラ古墳壁画体験館「四神の館」を訪れましょう。キトラ古墳壁画体験館「四神の館」は2016年の秋にオープンした資料館。無料の駐車場も備わっているため、お車でのアクセスも快適ですよ。

キトラ古墳の全容を学ぼう!キトラ古墳壁画体験館「四神の館」

写真:乾口 達司

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キトラ古墳といえば、石槨の内部に描かれた壁画について語らないわけにはまいりません。キトラ古墳壁画体験館「四神の館」には、そんなキトラ古墳の壁画について解説したコーナーもあります。

写真はキトラ古墳の内部に置かれた原寸大の横口式石槨を復元したもの。壁画は内部に塗り込まれた漆喰の上に描かれており、発見当時の壁画の状況まで正確に再現されています。ちなみに、奥の壁に描かれているのは、東西南北、四方をそれぞれ守る神(四神)の一つで、北の方角をつかさどる「玄武」(げんぶ)です。

現存する東アジア最古の天文図!その解説コーナー

現存する東アジア最古の天文図!その解説コーナー

写真:乾口 達司

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四神と並び、キトラ古墳を代表する壁画といえば、石室内の天井に描かれた天文図!「内規」「赤道」「外規」といった同心円や黄道が線として描かれ、その周辺にはさまざまな星が配置されています。現存する東アジア最古の天文図とされており、キトラ古墳がいかに貴重な古墳であるか、うかがえるでしょう。

写真はそんなキトラ古墳の天文図をモチーフにしたコーナー。天井には石室の天井に描かれた天文図を幻想的に再現したものも展示されています。

現存する東アジア最古の天文図!その解説コーナー

写真:乾口 達司

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再現された天文図をじっくり眺めてみましょう。良く見ると、現代人の我々にも馴染みのある北極星や北斗七星などが描かれています。その数、277個!学界では、この天文図がいつの時代のどこで眺められたものなのかが研究されていますが、その年代や観測場所を特定することは数々の謎に包まれたキトラ古墳を解明する大きな手掛かりとなるもの。皆さんも天文図の謎に挑んでみてはいかがでしょうか。

現存する東アジア最古の天文図!その解説コーナー

写真:乾口 達司

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壁画に描かれているのは、四神だけではありません。四神の下部には、石室内をとりかこむように十二支も描かれていました。四神に比べると劣化が著しい上、石室内に流れ込んだ土砂などの汚れにより、その大半を目視することが難しくなっていますが、そんな十二支についても詳しく解説されています。

キトラ古墳発掘調査の経緯を示す器具の数々

キトラ古墳発掘調査の経緯を示す器具の数々

写真:乾口 達司

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館内には、他にもキトラ古墳の発掘調査の過程を解説したコーナーもあります。パネルには整備以前の状態のキトラ古墳を撮影したものもありますが、上で紹介した古墳の現状を先に見ておくと、当時といまとでキトラ古墳の扱いが大きく異なっていることをおわかりいただけるでしょう。

キトラ古墳発掘調査の経緯を示す器具の数々

写真:乾口 達司

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もちろん、その違いは、高松塚古墳に匹敵する素晴らしい壁画の発見という歴史的事実によっています。そして、館内にはそんな壁画の発見やその剥ぎ取り作業で活躍した器具類も展示されており、そういった作業があったからこそ壁画をいまでも目にすることが出来るということを認識させられるでしょう。

キトラ古墳の壁画鑑賞!定期的にもよおされる定員制の壁画公開

キトラ古墳の壁画鑑賞!定期的にもよおされる定員制の壁画公開

写真:乾口 達司

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このように見て来ると、キトラ古墳の壁画の実物を見たいという気持ちになって来ませんか?実はキトラ古墳の壁画は、ここ、キトラ古墳壁画体験館「四神の館」で定期的に公開されているのです。

写真はその受付場所を撮影したものですが、注意していただきたいのは、公開が定員制で事前の申し込みが必要ということ。申し込み者が多数の場合は抽選で選ばれることになりますが、壁画の実物をぜひ見たい!という方は、壁画公開日にあわせて訪れることをお勧めします。公開日はホームページにも記されるので、チェックしてみてください。

キトラ古墳の壁画鑑賞!定期的にもよおされる定員制の壁画公開

写真:乾口 達司

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館内では、キトラ古墳の壁画を使ったオリジナル商品も多数販売されています。旅の記念にぜひオリジナル商品をお求めになって下さい。

おわりに

キトラ古墳とキトラ古墳壁画体験館「四神の館」とがいかに魅力的な施設か、おわかりいただけたでしょうか。高松塚古墳と並び、キトラ古墳は国内屈指の壁画古墳。その希少価値を、ここ、キトラ古墳壁画体験館「四神の館」でご堪能ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/02/12 訪問

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