期間限定!冬の金沢は「加能ガニ」「寒ブリ」など美味の玉手箱

期間限定!冬の金沢は「加能ガニ」「寒ブリ」など美味の玉手箱

更新日:2014/01/09 13:14

四宮 うららのプロフィール写真 四宮 うらら 旅とグルメの案内人
城下町の風情を色濃く残し、芸術や工芸など多面的な魅力を持つ金沢。
銀色の空に覆われる日が多い冬は、《雪吊り》を施した「兼六園」、《こも》がかけられた土塀が続く「長町武家屋敷跡」など、しっとりとした風情に包まれ、見どころにことかきません。

それに加え、冬の味覚もまた格別。
今回は金沢・冬限定の美味をご紹介します。

近江町市場でタグ付き「加能ガニ」を目利きする!

近江町市場でタグ付き「加能ガニ」を目利きする!

写真:四宮 うらら

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金沢で何を食べる?
この地の食事情を把握するには、まず市場に行くのがおすすめだ。
江戸時代から続く「近江町市場」は、地元では「おみちょ」と呼ばれ、プロの料理人から主婦までが通う金沢市民の台所だ。
魚介、青果、精肉など約170店が軒を連ね、この地の食材の充実ぶりが体感できる。

場内は通りが迷路のように交錯し、一度では把握しきれないが、目を引くのは日本海の幸を集めた鮮魚店。冬期はブリやカニが店先を埋め、活気に満ちている。

日本海で揚がるズワイガニは、11月初旬〜3月中旬が漁期。北海道産、ロシア産など各所のカニが並んでいるが、石川県で揚がるものは「加能ガニ」と呼ばれ、青いタグが目印だ。

生のものはカニみそが流れないように、腹側を上にして並べられている。
さて、宅配便で送るなら、どのカニを選ぶか。
じっくり見定めたいものだ。

甘エビやカキは、その場でカラをむいて、立ち食いできる店もあり、気楽に味わうことができる。

●近江町市場商店街振興組合
076-231-1462
石川県金沢市上近江町50

郷土料理の「かぶら寿し」は四十萬谷本舗がおすすめ!

郷土料理の「かぶら寿し」は四十萬谷本舗がおすすめ!

写真:四宮 うらら

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金沢の冬の味覚のひとつに「かぶら寿し」なるものがある。
寒ブリの塩漬けを特産のかぶらで挟み、細く切ったニンジンや昆布とともに米麹で漬けこんだ、北陸特有のなれずし=B
伝統的な発酵食品だ。

「かぶら寿し」の老舗として有名なのが、創業明治8年の「四十萬谷本舗(しじまやほんぽ)」。

中に挟むブリは10キログラム前後の天然ブリ。これを塩漬けにして10ヵ月余り寝かせてから使用する。カブラは契約農家で栽培する「百万石青首カブラ」を使用。このカブラに、塩漬けのブリを挟み、麹で5〜10日間漬ける。

カブラのサクサクした食感と、脂がのったブリのうまみ、そして麹の酸味が絶妙で、奥深い味わいに。ご飯にも酒にも合う。

ブリの代わりにニシンを、カブの代わりにダイコンを使った「大根寿し」もあり、こちらはやや庶民的で素朴な味わいだ。

かぶら寿しの販売は3月末頃まで。


●四十萬谷本舗(本店)
076-241-4173
石川県金沢市弥生1-17-28

「酒と人情料理 いたる」の珍味《酔っ払い蟹》を食す

「酒と人情料理 いたる」の珍味《酔っ払い蟹》を食す

写真:四宮 うらら

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ズワイガニの親ガニ(メス)を香箱ガニ、セコガニ、セイコガニ、コッぺガニなどと呼ぶ。
こちらの方はオスに比べて小ぶりだが、甲羅の中に内子(未成熟卵)、腹側に外子(卵)、さらに濃厚なカニ味噌も併せ持ち、オスガニとはまたひと味違ったおいしさが魅力だ。

この親ガニ、塩ゆでで食べるのが一般的だが、「酒と人情料理 いたる」では、《酔っ払い蟹》として供する。
日本酒(天狗舞)、赤酒、もろみ醤油をブレンドした漬け汁に、生の親ガニを漬け込み、1週間〜3週間ほどねかせてある。

食べやすくさばいて出してくれるのだが、鮮やかな朱色の内子も、カニの身も、ゆでたものとはまったく異なり、とろり、ねっとり。箸でつまんで口に入れると、口腔をぐるぐる回って、濃厚な旨みを広げる。これをぬる燗の「天狗舞」とともに、のどを滑らせる。

メスの漁期はオスより早い1月初旬には禁漁になる。
となると、これを食べられるのも例年2月中旬頃までか……。

この時期を逃さずに!!

●酒と人情料理 いたる 本店
076-221-4194
金沢市柿木畠3-8
※予約が望ましい(酔っ払い蟹が目当ての場合はお確かめください)

金沢のお土産を求めて加賀麩の老舗「不室屋」へ

金沢のお土産を求めて加賀麩の老舗「不室屋」へ

写真:四宮 うらら

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加賀百万石の城下町として知られる金沢は、京都と並んで生麩、飾り麩の産地である。生麩は元々中国から京都に伝来したが、金沢は古くから寺の多い土地柄で精進料理の食材として盛んに用いられ、時代とともに金沢を代表する食文化のひとつとして発展してきた。

「不室屋」は、慶応元年(1865年)創業の加賀麩の老舗。昔ながらの製法で加賀麩を伝承しながら、新商品の開発にも力を入れ、現代の生活の中で新しい伝承を紡いでいる。

風情ある佇まいの「不室屋本店」は尾張町にあり、近江町市場のほど近く。さまざまな麩を販売するとともに、蔵を改装した落ち着いたたたずまいの中で、彩り豊かな麩料理が楽しめる趣向だ。

そして乾燥している麩は、軽くてお土産にもぴったりだ。

「不室屋」の《ふやき御汁 宝の麩》はお土産にぴったり!!

「不室屋」の《ふやき御汁 宝の麩》はお土産にぴったり!!

写真:四宮 うらら

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数ある「不室屋」の商品のなかで、特にお土産としておすすめなのが《ふやき御汁 宝の麩》だ。
和菓子の最中のようなかわいい形の「ふやき」の中に、乾燥させた具材が詰まっている。「ふやき」に穴をあけ、別添えのだしとともに椀に入れ、お湯を注ぐと、中から次々と具材が出てくるというものだ。

この《ふやき御汁 宝の麩》にはおすまし、味噌汁などの種類があり、通年販売のレギュラー商品と季節限定のおすましがある。

今回ご紹介しているのは11月初旬〜2月に発売される《宝の麩 ふく梅》。
ふっくらかわいい梅の花をかたどった「ふやき」の中に、花麩、ゆず、大根、ほうれん草が入った彩りも美しい華やかなお吸い物。別添えでおぼろ昆布も入っていて、香ばしい「ふやき」とあいまって、はんなりとした味わいが楽しめる。

2月中旬〜4月初旬には、ふやきの中から桜の花びらは浮かびあがる《宝の麩 ひとひら》を発売。

お湯を注ぐだけという手軽さからは想像できない本格的なダシの味と、椀の中で美しい具材が浮かび上がるというサプライズ感を併せ持つ《宝の麩》。最高の金沢土産になること請け合いだ。

●加賀麩 不室屋本店
0120-26-6817
石川県金沢市尾張町2-3-1

冬にしか出会えない味や景色を満喫しよう

年間を通しておいしいものがいっぱいの金沢だが、特に冬の時期はカニ、ブリ、甘エビなど日本海の豊饒がもたらす海の幸の花型が揃い、市場を歩くだけでも心が躍る。
旅の余韻を楽しむお土産にも冬限定の美味がある。
ぜひ、この時期にお出かけください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/02/12−2013/12/14 訪問

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