東京・谷中の鎮守の森「諏方神社」は、いまなお健在!

東京・谷中の鎮守の森「諏方神社」は、いまなお健在!

更新日:2017/08/28 18:15

井伊 たびをのプロフィール写真 井伊 たびを 社寺ナビゲーター、狛犬愛好家
JR山手線・西日暮里のホームから見上げる“諏訪台”に鎮座する「諏方神社」には、創建以来800年あまりの歴史がある。諏訪台は、縄文・弥生時代から人々が生活していた景勝の地としても有名で、安藤広重の「名所江戸100景」にも登場する。江戸時代より四季折々の景色を楽しむ人々で賑わっていた「諏方神社」は、この地域の”総鎮守”として崇敬の的だった。今もなお、地域の人々の総鎮守としての機能は健在である。

参拝するには、三通りのアプローチがある

参拝するには、三通りのアプローチがある

写真:井伊 たびを

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参拝するには、断然!諏訪台通り沿いのこちらの鳥居をくぐりたい。だが、最寄りのJR山手線・西日暮里駅からだと、境内を回り込む恰好になるためか、参拝後にこちらの鳥居の存在に気づく人も少なくない。石碑の「諏訪神社」と鳥居の神額「諏方神社」との表記違いにアレッ!と気づく。

本来は“諏訪”の字ではなく、古来表記である“諏方”の字が使われる。当社所有の元禄時代に描かれた軸に「諏方大明神」と記されていることから、「諏方神社」の社名を続けている。昔は多くの「諏訪神社」がこの“諏方”の字を使っていたが、現在では全国でも数えるほどだ。

参拝するには、三通りのアプローチがある

写真:井伊 たびを

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第二のアプローチは、JR山手線・西日暮里駅を、JRと高架下で交差する国道457号線側(道灌山通り)へ出て左手(西側)にある、「西日暮里公園」脇の上り坂を、クランク状に上りきった道を進めば、「総鎮守」と書かれた神額が、掲げられたこの鳥居を見つける。

参拝するには、三通りのアプローチがある

写真:井伊 たびを

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第三のアプローチは、「地蔵坂」を上って参拝するルート。JRの改札出口を右に進み、駅前の商店街をJRの高架沿いに、南東へ100mほど歩いたところの右手に、駐輪場になっているJRのガードを見つける。そのガード下をくぐり抜けたところが「地蔵坂」の坂下だ。

身と心を清める風格ある「手水舎」

身と心を清める風格ある「手水舎」

写真:井伊 たびを

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拝殿へ通じる階段下の右側にある「手水舎」は、参拝者のほとんどの人を唸らせる、風格と歴史ある建造物である。これから、拝殿へ向かう、身と心を清める場所として申し分ない佇まいである。

身と心を清める風格ある「手水舎」

写真:井伊 たびを

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手水鉢には、天保2年(1831年)3月吉日銘が読み取れる。

身と心を清める風格ある「手水舎」

写真:井伊 たびを

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手水舎の軒下は、すべてすばらしい彫刻で飾られている。その匠の技に魅せられる。気づけば、軒下を見上げながら手水舎を一周してしまっている。

参道を進めば”総鎮守”を実感する!

参道を進めば”総鎮守”を実感する!

写真:井伊 たびを

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この地域の人々から、“おすわさま”として親しまれる「諏方神社(すわじんじゃ)」は、JR山手線・京浜東北線の西日暮里駅と日暮里駅の間の、線路を見下ろす眺めのいい高台(諏訪台)に鎮座する神社だ。

御祭神は建御名方命(タケミナカタノミコト)であり、御利益は、「武運長久」「交通安全」「盛業繁栄」「国土安寧」「五穀豊穣」である。

全国におよそ25,000社あるといわれる「諏訪神社(諏訪大社を本社とする諏訪信仰の神社)」のひとつ。創建は元久2年(1202年)で、鎌倉時代の武将・豊島佐衛門尉泰経によって諏訪大社より勧請されたのが、その始まりとされている。

参道を進めば”総鎮守”を実感する!

写真:井伊 たびを

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境内にある「神楽殿」は、普段は戸が閉まっている。が、お祭のときには、お囃子でお祭を盛上げる。例年8月の末に行われる例大祭では、境内および周辺道路に露店が立ち並び、多くの人々で賑わう。

参道を進めば”総鎮守”を実感する!

写真:井伊 たびを

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お祭の主役”御神輿”が納められている「神輿庫」の前では、“番犬”ではなく“狛犬”が、守りを固めている。その愛くるしくて、癒される表情は必見!である。

境内には、三対の狛犬がいる

境内には、三対の狛犬がいる

写真:井伊 たびを

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一番インパクトのある拝殿前の狛犬は、現代アートのブロンズ製。台座の銘板に刻まれている文字を追うと、文化6年(1809年)石彫狛犬一対を「れ組頭中」にて奉納されたのが初めで、大正の関東大震災時に破損修理、昭和には戦禍に遭っている。現在のものは昭和43年(1968年)製。ややそり気味で、身体を左右に傾けているユーモラスな格好に、微笑んでしまう参拝者も多い。

境内には、三対の狛犬がいる

写真:井伊 たびを

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神輿庫の前にいる狛犬はペットのようで、とにかくかわいい。魚のような白目の真ん中に真ん丸な黒目。なにかを語りかけて来そうな表情に、癒され魅せられる人も多い。元禄期奉納の狛犬に変わって、文化6年(1809年)に再建され、こちらも昭和43年(1968年)にブロンズ製狛犬に変身した。

境内には、三対の狛犬がいる

写真:井伊 たびを

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もう一対は、末社である「銭降稲荷神社」「末廣稲荷神社」の前にいる。こちらは、比較的に小柄な狛犬さんで苔が生えている。年代は相当古いのかと、台座の文字を追えば、思ったより近年の昭和甲戌年(1934年)の石彫製だ。町田久五郎、藤村勝司の彫師の名が読み取れる。じっと!見入ってしまう、なかなか存在感あふれる出来ばえである。

総鎮守としての機能は、いまだに健在!

当社へ訪れるには、JR各線・東京メトロ「西日暮里駅」より徒歩約3分がベストだ。また、JR各線・京成線「日暮里駅」西口からだと徒歩約7分。いずれにしてもアクセスがいい神社だ。都会にあって、ゆったりとした広い境内は、豊かな樹々に抱かれている。心身ともに癒される時空が迎えてくれる。

諏方神社例大祭は、例年8月下旬の土・日曜日に行われている。ちなみに、今年(2017年)は、8月25日(金曜)に「大祭式」、26日(土曜)、27日(日曜)には「神幸祭」が、予定されている。ただし、正しい日程などの情報は「諏方神社」へお問い合わせのこと。

また、隣接する「浄光寺」は江戸時代、当社の別当寺だった寺。時間に余裕があれば併せて立ち寄ることをおすすめする。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/07/09−2017/08/17 訪問

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