洋館駅の傑作は山口にあり!萩駅と「萩市自然と歴史の展示館」

洋館駅の傑作は山口にあり!萩駅と「萩市自然と歴史の展示館」

更新日:2017/07/16 19:46

かのえ かなのプロフィール写真 かのえ かな 鉄道ひとり旅ライター、駅舎・マンホール愛好家
鉄道の聖地は数あれど、「鉄道の父」ゆかりの地にあり、傑作と称される駅舎が見られるのは、山口県の萩駅しかありません。
山陰本線の停車駅である萩駅は、大正ロマン漂うレトロな駅舎が美しいと人気。さらに駅舎内では、貴重な資料が展示されている「萩市自然と歴史の展示館」が無料で開放されています。
こちらの展示館、2017年6月にリニューアルオープンして、ますます見どころ満載となっており、大注目です。

鉄道の父・井上勝ゆかりの地に立つ「萩駅」

鉄道の父・井上勝ゆかりの地に立つ「萩駅」

写真:かのえ かな

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萩駅は、山口県萩市にある山陰本線の鉄道駅です。1日あたりの乗車人員は66人(2015年度)と、決して大きい駅ではありませんが、「鉄道の父」と呼ばれる井上勝のゆかりの地に立つ駅として鉄道ファンに愛されています。

鉄道の父・井上勝ゆかりの地に立つ「萩駅」

写真:かのえ かな

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井上勝は、1872年(明治5年)に日本初の鉄道を新橋〜横浜間に開通させた偉人です。明治維新に活躍した5人の長州藩士「長州ファイブ」の1人にも数えられています。

萩駅には、スコップに片足をかけた井上勝の銅像が建っています。このポーズ、井上勝を象徴するものとして有名で、鉄道発展のためにイギリス留学したときに撮影されたもの。銅像は2016年(平成28年)の鉄道の日にあたる10月14日に完成し、除幕式が行われました。

鉄道の父・井上勝ゆかりの地に立つ「萩駅」

写真:かのえ かな

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井上勝の銅像の視線の先にあるのは、萩往還(はぎおうかん)。この大きな道路は江戸時代に整備されたもので、萩市から防府市の三田尻をほぼ直線で結んでいます。かつては江戸へ赴く参勤交代の御成道(おなりみち)として使われていました。

井上勝の前には江戸時代を象徴する道、そして後ろには明治維新の発展を象徴する鉄道駅。歴史の流れを表現しているようです。

洋館駅舎の傑作!萩駅はどこからみても美しい

洋館駅舎の傑作!萩駅はどこからみても美しい

写真:かのえ かな

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萩駅で電車から降りると、目の前にレトロな建物があって、タイムスリップしたような気分になります。萩駅の駅舎は1925年(大正14年)に建てられました。屋根の上にあるドーマー窓が特徴的。真っ白な壁も美しいです。鉄道開業当時〜大正時代にかけて数多くの洋館駅舎が建てられましたが、萩駅舎の美しさはひときわ目立つものであり、「洋館駅の傑作」と称されています。

1996年(平成8年)には登録有形文化財に登録され、その2年後には駅舎の復元・補強が行われました。開業当時の駅舎が今もにきれいに保存されているというのは、とても貴重なことです。

洋館駅舎の傑作!萩駅はどこからみても美しい

写真:かのえ かな

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傑作といわれる萩駅はどこから見ても美しく、鉄道ファンじゃなくても思わずカメラのシャッターを押したくなるほど。外観だけじゃなく、さまざまな角度から駅舎を見てみましょう。

建物に用いられている技法は「ハーフティンバー構造」と呼ばれ、15〜17世紀の北ヨーロッパに流行ったものです。ハーフティンバー構造の特徴は、柱や梁が露出していること。萩駅ではこれらがエメラルドグリーンに色付けされているので、白壁との調和がより美しさを引き立てています。

洋館駅舎の傑作!萩駅はどこからみても美しい

写真:かのえ かな

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改札は昔懐かしい有人改札。しかも駅員が立つ改札口は木造となっています。細かなところまで開業当時の姿を復元しているので、ますます旅情がかき立てられます。鉄道旅で訪れた人なら、感動もひとしおでしょう。

萩駅舎の横に立つ電話ボックスは日本で唯一の型式

萩駅舎の横に立つ電話ボックスは日本で唯一の型式

写真:かのえ かな

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スマホや携帯電話の普及であまり使われなくなった公衆電話。でもローカルな駅では、駅前に公衆電話が並んでいたり、電話ボックスが建っているという光景を未だに見かけます。

中でも萩駅の電話ボックスは珍しく、貴重です。こちらの六角形の屋根が印象的な電話ボックスは、大正時代末期〜昭和初期にかけて設置されたもの。日本で2番目に古い型式で、このタイプのものは、もう萩駅にしか残っていません。白壁が駅舎とぴったりマッチしてます。

萩駅舎の横に立つ電話ボックスは日本で唯一の型式

写真:かのえ かな

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この電話ボックスが設置された当時は、「自働電話」と呼ばれていました。中に入れば、当時使用されていた電話機を間近に見ることができますよ。

横には現在も使用されている緑色の公衆電話も設置されています。萩駅に訪れた記念に、電話ボックスの公衆電話で誰かに電話をかけてみるのも楽しそうですね。

地元の人が作り上げた「萩市自然と歴史の展示館」

地元の人が作り上げた「萩市自然と歴史の展示館」

写真:かのえ かな

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萩駅舎内では、萩の人によって作られた「萩市自然と歴史の展示館」が無料開放されています。館内では貴重な鉄道の展示物や、萩の自然や歴史を伝える資料を見ることができます。2017年6月にリニューアルオープンして、ますますパワーアップしていますよ。

こちらは昔使われていた「通票閉そく器」と呼ばれる道具です。単線区間で上り電車と下り電車が事故を起こさないように、使われていました。黒電話で隣の東萩駅の駅長と連絡を取り合い、単線区間で上り下り電車のどちらを優先させるか決めます。そして優先させる方の電車がある方の駅長が通票(タブレット)を渡すという仕組みです。

通票は茶色いポシェットのようなケースに入っており、赤いボックスの中にしまうようになっています。現代では貴重なタブレット交換。間近で通票閉そく器が見られるのは嬉しいですね。

地元の人が作り上げた「萩市自然と歴史の展示館」

写真:かのえ かな

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こちらは、東京駅に建立された井上勝の銅像の台座部分にあった飾り石です。赤レンガの東京駅の前に、男性の銅像が建っていたのを見たことがある!という人は、ピンと来るかもしれません。その銅像こそが井上勝です(駅舎改修工事のため一時的に撤去されています)。

東京駅の井上勝を見た人は、「銅像の足元に飾り石なんてあったっけ?」と疑問に思われるかも知れません。実は銅像は以前にも造られており、こちらは初代の銅像に使用されていた飾り石となります。飾り石にはシャベルや定規などをモチーフにした彫刻が彫られています。

萩駅の隣には萩市観光協会もあり!

萩駅は駅舎の美しさもさることながら、貴重な展示物を見られるのも魅力的なスポットです。鉄道ファンや歴史好きの人だけでなく、多くの観光客が楽しめますよ。

さらに、駅前には萩市観光協会があり、萩観光の相談にものってもらえます。駅前には萩市内を循環するバスも止まるので、ここから城下町へ行くのも楽ちんです。萩観光に訪れる際には、ぜひ足を運んでみてくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/31 訪問

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