都内屈指のレンゲショウマの名所 御岳山で夏のハイキング!

都内屈指のレンゲショウマの名所 御岳山で夏のハイキング!

更新日:2017/07/28 19:06

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター
レンゲショウマという植物をご存知でしょうか? 真夏になると山地の森の中で開花する淡い紫色の花で、提灯のように釣り下がる形で咲くのが特徴です。最近では全国的に数が減っている貴重な花ですが、実は東京の御岳山という山に巨大な群生地があるのです。その株数は数万株におよび、毎年多くのファンが訪れる人気スポットとなっています。可愛らしく、どこか神秘的なレンゲショウマの魅力を、豊かな自然と共にお楽しみください。

関東最大の群生地! 森の斜面に咲き乱れる可憐な花々

関東最大の群生地! 森の斜面に咲き乱れる可憐な花々

写真:鷹野 圭

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長く伸びた枝の先に、提灯やホオズキのようにぶら下がって咲くレンゲショウマの花。JR御嶽駅からバス→御岳登山鉄道と乗り継いで行ける御岳山の山頂付近に、この花の群生地が広がっています。その数は最大で約5万株ともいわれ、緑深い森の中に淡い紫色の花がたくさん咲く姿は圧巻です。斜面に大群落を作るため、下から見上げるもよし、上から見下ろすもよし、山ならではの地形と一緒に山野草景観を楽しみましょう。

関東最大の群生地! 森の斜面に咲き乱れる可憐な花々

写真:鷹野 圭

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ここのレンゲショウマ群生地は山頂だけに天候が移ろいやすく、雨が降るとぬかるんで滑りやすくなるので、その点は要注意。でも、しっとりとした空気の中で見るレンゲショウマは普段とはまた違う魅力を有します。写真のように雨露に濡れる花は神秘性を増し、同時にパラソルのような可愛らしさも共存します。

ちなみにこの花、必ず下向きに咲くという特徴がありますので、花の形を写真に収めたいのならば下から見上げるようなアングルで撮ってみましょう。斜面なので撮りやすいはずです。

関東最大の群生地! 森の斜面に咲き乱れる可憐な花々

写真:鷹野 圭

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御岳山の山頂付近にはレンゲショウマ以外にも、様々な山野草が開花します。写真はヤマジノホトトギス。名前の通り「山路」でよく見られる花で、時計のような噴水のような不思議な形の花を咲かせます。ほか、ツリガネニンジンやヤマユリなど、野山ならではの夏の花々が見られることでしょう。

レンゲショウマを含め、こうした山野草は近年なかなか目にする機会がめっきり減ってしまいました。ここ御岳山は、自然のままに咲く姿が見られる稀有なスポット。末永く見守っていきたいものですね。

山頂から徒歩で行ける、御岳山のお楽しみスポットの数々

山頂から徒歩で行ける、御岳山のお楽しみスポットの数々

写真:鷹野 圭

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山頂の群生地から徒歩数十分で行ける御岳神社。ここでもレンゲショウマが多数見られます。規模は然程大きくなく、一部植栽されたものも混じってはいますが、山頂と違って舗装されているので足元を心配せずに花を楽しめるのがメリットです。参拝のついでに見ておきましょう。

山頂から徒歩で行ける、御岳山のお楽しみスポットの数々

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近年数の減りつつある山野草が数多く自生するなど、豊かな自然が特徴の御岳山ですが、山中には住宅街もあり、御岳神社やケーブルカーの駅周辺には飲食店も複数設けられています。山菜を中心とした山ならではの料理をいただけるので、お昼時やご休憩などにぜひご利用ください。

山頂から徒歩で行ける、御岳山のお楽しみスポットの数々

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御岳神社の敷地内で見られるレンゲショウマは、植栽されているものが多いものの、きちんと管理されているためか一つひとつの株につく花の数が多く、なおかつ形の美しいものが多く見られます。花単体で写真を撮りたいのなら、山頂の群落よりもこちらの方がやりやすいかも?

御岳神社からさらに奥、清流の流れる登山道へ……

御岳神社からさらに奥、清流の流れる登山道へ……

写真:鷹野 圭

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御岳山にはいくつかのハイキングコースがあり、他の山や下山道に通じているものもあれば、山中を巡回して戻ってこられるものもあります。今回は、山ならではのより緑の濃い自然を満喫できるロックガーデンコースをご紹介します。

コース中には写真のような滝があり、潤いとマイナスイオンに満ち溢れたスポットとして登山客から非常に人気があります。コース中で必ず通りかかりますので、見落とすということはありません。

御岳神社からさらに奥、清流の流れる登山道へ……

写真:鷹野 圭

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登山道の奥では、山頂とはまた違う珍しい花が見られることもあります。写真の花はタマガワホトトギス(玉川杜鵑草)といい、日本の固有種。無印のホトトギスという花と形はよく似ていますが、これは黄色いので簡単に識別できることでしょう。

なお、若干生息域が限られ、園芸用に植栽されて街中の公園等でもよく見られるホトトギスと違い、御岳山でも奥まった山道でしか見られません。逆に山道を歩くのであれば、ぜひ見逃さずにチェックしておきたい花。多数の花が連なって咲く形状をしているので、緑深い山中でも良く目立つはずです。道沿いをくまなくチェックしてみましょう。

御岳神社からさらに奥、清流の流れる登山道へ……

写真:鷹野 圭

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山道の途中には小川が流れ、河原に降りられる場所もいくつかあります。付近には住居もないため、水は非常に澄んでおり、高い透明度が魅力的。大小の石の隙間にはサワガニなどの清流ならではの生きものも暮らしています。

水が多い分、場所によっては足を滑らせがちなのが難点。山道も長く険しいので、靴を含めて登山装備をきちんと整えて臨みましょう。

ハイキング中に遭遇する、御岳山の小さな住人たち

ハイキング中に遭遇する、御岳山の小さな住人たち

写真:鷹野 圭

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多様な花が開花すれば、蜜や花粉を求めて多くの虫が訪れるもの。ここ御岳山ではハイキング中に様々な昆虫と遭遇する機会がありますが、その多くは山地性で、都心の都市公園や街中などでは滅多に見られないような種も多々見られます。

写真は、タマアジサイの花にやってきたヨツスジハナカミキリ。体長2〜4センチ程度の小型のカミキリムシで、名前の通り樹木ではなく花を訪れる種です。特にタマアジサイの花がお好みのようで、写真のように交尾中の個体もよく見かけます。ちょうどレンゲショウマの咲くシーズンにあわせてタマアジサイも開花するため、散策のついでにチェックしてみましょう。虎差ながらの縞模様がお洒落な美しい甲虫です。

ハイキング中に遭遇する、御岳山の小さな住人たち

写真:鷹野 圭

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これはセンチコガネ。主に山地でよく見られ、鈍い濃紫色の金属光沢を持つ美しい甲虫です。この虫は主に動物のフンを主食としています。すなわち、この虫がいるということは、フンをする大型の動物が近くにいる可能性が高いということ。実際御岳山には、シカやタヌキなどの哺乳類が多く暮らしています。センチコガネは、言うなれば山地の豊かな自然を象徴する存在です。

ハイキング中に遭遇する、御岳山の小さな住人たち

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これはサカハチチョウ。前翅に漢字の「八(8)」の字型の模様があるタテハチョウの仲間です。山地や丘陵地に生息するチョウで、都心では滅多に見られることはないでしょう。

本種をはじめとして、“山だからこそ見られる生きもの”は動物・植物問わずたくさんいます。足元や道端の葉の上など、時折目を向けてみると新鮮な出合いがあるかもしれません。

下山後は、御岳渓谷で激しく美しい多摩川の上流景観を!

下山後は、御岳渓谷で激しく美しい多摩川の上流景観を!

写真:鷹野 圭

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御岳山とJR御嶽駅の間には、あの多摩川が流れています。と言ってもここは上流域。一般的にイメージされやすい「都会の川」という雰囲気はなく、見ての通り高い山々に挟まれた自然度の高い河川環境が広がっています。魚釣りに適した名スポットで、川沿いには有料の釣堀も。ほか、河原を散策しているだけでも気持ちがよく、足を運ぶ価値ありです。

下山後は、御岳渓谷で激しく美しい多摩川の上流景観を!

写真:鷹野 圭

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御岳渓谷の多摩川上流域は流れが急で岩場が多く、川遊びをするには危険ですが、岩場が作る複雑な流れはカヌーにはもってこい。よく練習をしている人を見かけます。リオ五輪での羽根田選手の快挙もあり、今後さらに盛り上がりを増すかも?

下山後は、御岳渓谷で激しく美しい多摩川の上流景観を!

写真:鷹野 圭

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護岸もほとんどなくナチュラルな雰囲気を色濃く残した御岳渓谷では、河原でも山野草が多く見られます。写真のような野菊を中心に、岩場のちょっとした隙間などからたくましく成長し、可憐な花を咲かせる花々……それを求めて訪れるチョウなどの昆虫、さらには彼らを糧とする鳥たちも飛来し、生きものの豊かな環境となっています。

東京の一角とは思えない、雄大な川の自然風景をお楽しみください。

本格的な東京の山歩きスポットに、真夏限定の花と緑の「美」あり!

御岳山の最寄り駅である青梅線「御嶽駅」は、東京駅からJR線を乗り継いで約1時間半で到着します。そこからバスやケーブルカーを乗り継いでいけば、特に長距離を歩くことなくレンゲショウマ群生地に到着できます。脚に自信のない方でも楽しめる、嬉しいフラワースポットです。

帰りは乗り物を使うもよし、歩いて下山するもよし。登るとキツい山道も、下りなら疲労は大幅に軽減されるはず。足元に気をつけつつ、時折道端や木々に目を向けて、野の花や鳥や昆虫たちを探してみてください。


【アクセス】
JR御嶽駅より西東京バスで「ケーブル下」で下車。そこから御嶽登山鉄道で終点「御岳山駅」下車。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/11 訪問

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