静岡県富士宮市にある「白糸の滝」は国の名勝及び天然記念物であり、1950年に「観光百選滝の部」で1位になり、1990年には「日本の滝100選」にも選ばれています。2013年には「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産のひとつとして、世界文化遺産に登録されました。
白糸の滝は、1193年に源頼朝が大勢の御家人を引き連れて、巻狩りと称した大規模な軍事訓練を行った際、立ち寄ったことでも知られています。そのために白糸の滝周辺には源頼朝にまつわる数々の逸話が残っています。
白糸の滝はどんなに暑い夏の日でも涼しく快適で、涼を求める人でにぎわっています。白糸の滝の名にふさわしく、滝の上からは無数の水が白い糸のように流れ落ち、青々しい滝壺は見るからに涼しげでマイナスイオンがあふれんばかりです。水に手を入れてみると、あまりの冷たさに、1分も手を入れていることができません。
源頼朝の逸話のひとつとして「お鬢水(おびん水)」が存在します。白糸の滝の上方には、溶岩のくぼみに湧き水がたまった泉があり、別名「鬢撫水」ともいわれています。ここで源頼朝が水面に顔を映し、髪のほつれを直したと伝わっています。また、富士信仰の「富士講」の修行場所でもあります。森の中の泉といった風情があり、透明度が高い青く澄んだ泉です。木々の間からは白糸の滝を見下ろすことができます。
「音止めの滝」は白糸の滝と併せて「日本の滝100選」に選ばれており、落差が25mある豪快な滝です。音止めの滝の名前の由来は、富士の巻き狩りに乗じ、曽我兄弟が親の仇である工藤祐経を討とうと密談していて、滝の音がうるさく話が聞きとれなかったため、神に祈ったところ、音がやんだという逸話からきています。水量豊かな滝を眺めることのできるビュースポットです。天気のいい日には虹がかかっているのを見ることができます。
白糸の滝から車で10分ほど北上したところに「陣馬の滝」という、やはり源頼朝ゆかりのこぢんまりとした滝があります。富士の巻狩りの際、滝の近くに陣を張り一夜を過ごしたことから陣馬の滝という名前がついています。穴場的なスポットですが、20台ほど停められる駐車場があります。
陣馬の滝には湧き水を汲めるところがあり、地元の人がポリタンクやペットボトルを持ってやってきます。夏の暑い日には、木立に囲まれた水辺で遊ぶ家族連れの姿も多く見られます。白糸の滝と違い、ミニサイズの滝なので滝に近寄ることもできます。
富士宮の市街地には806年創建で、駿河国一宮である富士山本宮浅間大社があり、「おせんげんさん」として親しまれています。その社殿の裏には豊富な湧き水の涌玉池があります。涌玉池は「平成の名水百選」のひとつで、パワースポットとしても有名です。湧き水は持ち帰ることができます。市街地から少々離れたところにある陣馬の滝や白糸の滝と違い、街中にあるオアシスという風情で、比較的行きやすい場所になっています。
浅間大社では、毎年5月に馬に乗って駆けながら的を射る流鏑馬という行事がありますが、この行事の由来は、源頼朝がこの地を訪れた際に流鏑馬を奉納したのが始まりです。
「白糸の滝」「音止めの滝」「お鬢水」「陣馬の滝」「富士山本宮浅間大社」は、富士山由来の地下水が豊富に湧き出る景勝地として昔から知られていました。富士山周辺には、湧き水が豊かな観光スポットが他にもありますが、今回は源頼朝にゆかりのある場所に絞って紹介しました。なお、浅間大社の紹介記事は別途、関連メモに入れてありますので併せてご覧下さい。
夏に訪れれば、いつまでもいたいと思わせる涼しい観光地ばかりです。マイナスイオンあふれる富士山のふもとの湧水池に涼みに行ってみませんか?
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