ユネスコ世界自然遺産に登録されている「屋久島」では山の自然を楽しみたいという人が圧倒的に多いでしょう。でも、実は海も魅力的なんです。とてつもなく青い海が島の周りに360度広がっている屋久島ではライセンスを持っているダイバーはもちろん「体験ダイビング」でもたくさんの魚や亀に出会えます。
「沖縄のような亜熱帯でもなく、温帯でもなく、その両方が一緒に混ざっているというのが屋久島の海の特徴です」と語るのは屋久島でダイビングサービス「ダイビングライフ屋久島」を営む高久至(たかく・いたる)さん。水中写真家としても活動する高久さんを魅了したのが屋久島の海でした。
「とにかく魚の種類が多い。学術的に沖縄よりも種類が多いのは、黒潮が通り、本州の潮もあるので、混沌とした海という印象です」と屋久島の海の魅力を高久さんは端的に説明。
実際に潜ってみると、海にエントリーしていきなり遭遇したのがツムブリなど黒潮に乗ってきた魚たちの大群。黒潮は屋久島の南側を通りますが、黒潮から外れて島の北部に回遊魚の群れがやってきます。
「透明度はだいたい40mって言うんですけど、実際に測ったらもっとあるだろうなぁというくらい、ズドーンと抜ける青さです」と高久さんはさも当たり前のように語りますが、屋久島では日常の透明度の高さ。
「沖縄では黒潮がまともに当たるのは与那国島ぐらいで、屋久島は通り道になっていますから、沖縄とは違った濃い青さを楽しめます」と高久さん。ベストシーズンは7月から9月とのこと。
主なダイビングポイントは島の北部に集中している屋久島。一番の人気ダイビングポイントが「ゼロ戦」です。ダイビングボートの出港場所となる一湊(いっそう)漁港から僅か5分ほどの所に、戦時中に海に不時着した戦闘機のプロペラとエンジンの残骸が残っており、そこが70年の時を経て、今は魚たちの漁礁になっています。
ちなみに「ゼロ戦」というのはダイビングポイントの名前で、実際にはプロペラの枚数が零戦とは異なるため、別の戦闘機の残骸であることが分かっています。
ダイバーに人気の「ゼロ戦」にはアザハタが住み着いていて、人懐っこくダイバーたちに愛嬌を振りまいてきます。高久さんいわく「日本一撮りやすいアザハタ」だそうで、ぜひとも水中カメラを持って潜りたいポイントですね!
この日はエンジンにもたれかかるように大きなアカウミガメが寝ていました。きっと産卵を終えて疲れたのでしょう。ダイバーを気にすることなくずっと寝ていました。
屋久島の海は本州の海でも見れる魚や沖縄の珊瑚礁に住むトロピカルな魚の他、大人気なのがウミガメ!屋久島はウミガメの産卵が見れることでも有名です。
産卵地として有名な「永田いなか浜」に近いダイビングポイント「ヨスジ漁礁」では頻繁にアカウミガメが寝ています。陸で産卵シーンを見たアカウミガメに海の中で遭遇する、なんてことがあるかもしれません。これはダイバーだけが体験できる特権ですね。
大きなアカウミガメはダイバーを警戒しますが、屋久島の浅瀬にもたくさんいるアオウミガメたちはとてもフレンドリーです。ダイバーを気にすることなく黙々と海藻を食べる姿を観察することができます。ダイビングボートが発着する一湊漁港からすぐのところに「タンク下」というポイントがあり、ここにアオウミガメがたくさんいるので、屋久島のダイビングでは一度は遭遇するのではないでしょうか。また、こういったポイントでは浅いところにもアオウミガメが居ることもあるので、ライセンスが無い方も「体験ダイビング」でウミガメに出会えるかもしれません。
屋久島はダイビング雑誌で特集が組まれることが少なく、ダイバーでも訪れたことがある人は少ないかもしれません。でも、潜ってビックリの青い海と生物の宝庫。沖縄と本州の海の魅力がミックスされ、両方一度に楽しめる素晴らしい場所です。
今回、取材にご協力頂いた高久至さんは水中写真家でもあるので、写真を撮りたいダイバーはリクエストしてみてはいかがでしょうか。そして、屋久島は山だけでなく、海の中もSNS映えする写真が撮れるので、とても魅力的な島だと感じます。
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