四角い升の「角」に口を付けて飲む仕草から転じて、酒屋の「一角」に設えた立ち呑みコーナーでお酒を飲む“角打ち”。福岡の立ち飲み文化のメインスタイルです。立ち飲み、酒屋の一角と聞くと女子は尚のこと入りづらい気がする…というのが正直なところ。
そんな臆する気持ちを払拭するお店が、博多駅の筑紫口側デイトス1階「みやげもん市場」内にある「住吉酒販」の角打ちコーナーです。店舗には女性スタッフも多く、女子おひとり様の来訪でも優しく丁寧に対応して貰えるのが嬉しいところ。
住吉酒販は、博多市内に本店を持つプロ御用達の専門店。今飲むべき地酒に対する提供力はお墨付きです。この暖簾が博多駅内に設えられ、観光中でも市内の宿泊地からのアクセス面で利便性も良く、お酒を呑む場所としても申し分無し。その上、銘酒みやげを買うにも良し、そして駅ナカなので女子も安心の好立地です。
奥にどうぞ、と勧められながらカウンターに入ると、3000円分の花札が配られます。メニューは金額ではなく全て花札の枚数で示され、お酒や料理は、花札を渡してオーダーします。そして、帰りに使った枚数分を精算するというもの。扱うお酒の種類は、日本酒だけでなく、ワインやビール、女性に人気の梅酒までと幅広いので、おひとり様で贅沢するもよし、何人かでわいわいやるもよし。「少し呑んでいきましょう」とさらっと誘えば、大人の粋さをまず感じさせられるシステムです。
さらに、配られた花札をよく見ましょう。「月見で一杯」「花見で一杯」等の札があれば、心憎いサービスがあります。花札の粋と雅を味わいながら、お酒を楽しめる住吉酒販ならではの色気。
手元に花札が配られ、思わず絵柄合わせをしたり、役を楽しんだりした後はお酒をオーダー致しましょう。お目当てのお酒に直行するのも“角打ち”のこなれ感がありますが、ここではまず住吉酒販オリジナル、博多駅店限定「イロハニ枡」のオーダーをおススメします。
九州の日本酒、または焼酎の4種飲み比べメニュー「イロハニ枡」。モダン、クラシックなセレクション日替わり酒は、ライトボディーなモダン、フルボディーなモダン、ライトボディーなクラシック、フルボディーなクラシックとその味わいの個性や濃淡に合わせ、最適な順に置かれています。
「イ、ロ、ハ、ニ」と書かれた枡の中のお猪口をその順に回し飲みながら楽しむものですが、枡にグラスと唐津焼のお猪口が納まる様は、どこか可愛らしく、花札と共に優雅な眺め…これが女子も魅了される理由。銘酒を一口ずつ味わえば、自然にアテが欲しくなります。
さぁ、花札の残りをどう使いましょう?アテに数枚、好みを告げてスタッフおススメの一杯に数枚…この所作がオトナの味わいになります。
メニューの食材も全て九州の美味珍味(写真は、山戸海産「水いか一夜干し」)。がっつりとボリュームのあるものから軽いお酒のアテまで、美食家が唸る逸品がラインナップしています。
角打ちコーナーでは多少のアレンジをされて出されますが、この九州の生産者から直に仕入れる食品は、角打ちコーナー横の食売場でお土産としても売られています。なかなか手に入らないレア物もあり、これこそ専門店ならではのお土産。
“角打ち”でのテイスティングに魅了されると、やはり「酒販」ならではの品揃えにお土産を選びたくなるのが自然の成り行きでしょう。そのラベルとネーミングセンスに加え、常に人気トップランキングに入る「庭のうぐいす」で有名な山口酒造場を始めとして、名高い福岡の銘柄はもちろん、九州を中心に日本全国の銘酒が揃います。
角打ちで味わった酒、食、器は全てここで購入できます。銘酒に酒肴、唐津焼「隆太窯」の焼き物…スタイリッシュなパッケージングと共に、こなれた大人のお土産や贈答品に詰め合わせるも良し、宿に帰って続きの一杯用に見繕ってもらうも良し。角打ちは粋にさらっと終えたつもりが、その後ついつい銘品を前に長居…、そんな魅力のあるお店です。
「黒田節」をご存知ですか?NHKの大河ドラマ「黒田官兵衛」でもそのエピソードが触れられましたが、「酒は呑め呑め 呑むならば、日本一のこの槍を 呑み取るほどに呑むならば これぞ真の黒田武士」で始まる有名な福岡の民謡です。写真は、博多駅博多口に建つ黒田節の銅像。福岡では、この歌を結婚式など祝いの席に使うことも少なくありません。
文禄の役の停戦交渉の際、黒田長政の命により伏見の福島正則の屋敷に参じた母里太兵衛(友信)がこの民謡の主役。大切な交渉の場、長政は酒豪の友信に対し、酒の席で失態をさせないよう酒を禁じますが、その席で福島正則が「黒田の者はこれしきの酒も飲めぬか、これを飲み干せばどんな褒美も取らす」と大盃を執拗にふっかけます。
これを友信が見事に飲み干し、正則が豊臣秀吉から下賜された自慢の槍、天下の日本号を所望します。友信の武士魂に感服した正則は武士に二言はないと潔く日本号を差し出す、という武功エピソード。
博多から地下鉄でほど近いアクセス、黒田長政が築城した福岡城址の観光も含め、武士魂と呑み心エピソードを感じると、お酒に飲まれない粋な呑み方の真髄を肴に、福岡の銘酒も一際味わい深いものです。
お酒の嗜み方は色々。福岡の歴史的「黒田節」エピソードに始まり、立ち呑み文化“角打ち”に触れて、粋と雅を肴に呑みたい街。駅ナカの「住吉酒販」でオトナ呑み、しませんか?
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(2024/4/26更新)
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