スタート地点となる日吉大社東本宮の桜門下に「猿の霊石」(写真)があります。山の辺の道へは東本宮桜門東側から入って行きます。まるでしゃがんでいるような猿の霊石、日吉神社では、猿を神の使い、魔除けとして「神猿(まさる)」と呼んでいるのです。
東本宮のすぐ東側をほぼ北方向に向かう小径が山の辺の道です。うっかりすると見過ごしてしまいそうな細い道。この道で、西教寺まで約900m、15分位を目標に西教寺を目指します。なだらかに左右にカーブしながら多少の高低差がかえって興味をそそる道です。山の辺の道に入るとすぐ左手に日吉古墳群の案内板と岩穴が現れます。古代の歴史を感じることができます。
木々に覆われた山の辺の道はマイナスイオン一杯に森林浴を楽しめます。出発からしばらくは日吉大社の深い杜の中、ルートの三分の一ほどは木々に囲まれた小径です。
川を渡ると一気に視界が開け、右手に琵琶湖の眺望、左手は標高300m程の小山が連なる里山の風景が楽しめます。ウグイスや小鳥のさえずりが聞こえてきます。
山の辺の道はゆったりと左右にうねりながら少しの高低差を楽しませてくれます。車は殆ど通らず静かな散策を楽しめます。
右手が田んぼにかわると琵琶湖が全体に広がる光景。大パノラマをゆっくり堪能してみてはいかがでしょう。
歩き始めてから10分ほどのところで、石がごろごろと無造作に置かれた風景に出会います。道祖神かお地蔵様のような、石群は???
昔、日吉大社の北側に八講堂と呼ばれる谷があり、寺屋敷が残っていたそうです。比叡山は、行者の修行場の為、一般の人の参詣は不可。その為、遠く比叡山から聞こえてくる読経に合わせ山麓の人々が小さな地蔵尊を谷のあちこちに祀り成仏を祈ったといわれています。こうした地蔵尊が少し掘り起こされたものがいつの間にかこの場所に集められ、「千体仏地蔵」と呼ばれるようになったそうです。いずれも30cmから大きなものでも70、80cmほどで丸みを帯びた仏様です。
聖徳太子が開山した西教寺ですが、この寺を15世紀後半に再興したのは、一日も絶えることなく念仏を唱える不断念仏で有名な真盛上人(しんせいしょうにん)です。さらに西教寺を有名にしたのが、1493年の法難時に、手の白い猿が現れ、念仏の鉦(かね)を打ち続けたという言い伝え。それ以降、身代わりの猿は、護猿(ござる=まもりざる)として縁起の良いものと考えられています。
縁がござる、福がござる、客がござる、など縁起、招福、商売繁盛などに、ござる(5匹の猿)がお守りとされています。
宿坊の屋根の左右にも鬼瓦の脇に猿が参拝者を見つめています(写真)。
西教寺の正門から桜並木が美しい参道には左右に宿坊が数棟建っています。左手の階段を上がると、思いがけない絶景が待っています。
西教寺の巨大な宿坊の甍(いらか)を眼下に、琵琶湖の眺望が広がります。西教寺境内では少し階段の上り下りがあります。
西教寺本堂を正面にすると左手に明智光秀一族の墓があります。明智光秀は西教寺から琵琶湖に下りた地にあった坂本城主として西教寺や延暦寺を保護した当地の領主。信長の比叡山焼き討ち後に西教寺を復興させました。その為、本能寺での謀反後もこの地に明智一族の墓所が作られています。
西教寺では本堂と、本堂につながる客殿も見学可能なので、是非ご覧になって下さい(客殿は有料:¥500、本堂のみは無料)。本堂は、正面から入ります。客殿へは、本堂裏手で料金を支払い入場します。秀吉の伏見城から移築された客殿内部は撮影できませんが、狩野派の華麗な襖絵を見ることが出来ます。客殿入り口には虎の彫り物がありますので、こちらも必見です。
本殿裏にある日本庭園は急峻な山肌を池の背後に巧みに利用した池泉方式。秀吉、家康に仕えた茶人で造園家、小堀遠州の作です。琵琶の様なひょうたん型の風情ある池には小滝も配され、心安らぐ風景を作り出しています。この他にも西教寺の庭園には坂本の町の石工集団穴太衆(あのうしゅう)の石積み技術が使われ格式ある書院に風情ある庭を添えています。
山の辺の道の散策と西教寺からの絶景を楽しんでいただけたでしょうか。坂本観光案内所では、比叡山延暦寺+三井寺+西教寺の天台宗三総本山が参詣できる特別巡拝券を販売しています。個別に入場すると¥1,800/大人が¥1,000で回れます。又、このチケットは土産物やランチの割引、坂本ケーブル乗車が2割引きになるなどメリットがたくさんあります。
日吉大社から片道15分の歴史散策の旅に出かけてみてはいかがでしょう。関連情報をMEMO欄に入れておきます。
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