写真:渡部 洋一
地図を見る一般に「鎌倉大仏」と呼ばれるのは、神奈川県鎌倉市長谷の浄土宗寺院、「高徳院」のご本尊。正式名称は「銅造阿弥陀如来坐像」です。奈良東大寺のご本尊が「奈良の大仏」と呼ばれることに対する呼称として「鎌倉大仏」の名で人々に親しまれ、鎌倉を代表する観光名所として人気を集めています。
大仏の原型作者は不明ですが、今から750年ほど前の13世紀鎌倉時代に造立されたとされます。造立当初とほぼ同じ姿を今に残す大変に貴重な人類の遺産であり、鎌倉にある仏像で唯一、国宝に指定されています。
その高さは、台座を含めて13.35m(仏身高は11.312m)。仏体重量はなんと約121tにも及びます。世界遺産登録を目指す古都・鎌倉のシンボルとも言える「鎌倉大仏」の存在感は、まさに圧巻です。
写真:渡部 洋一
地図を見る観光客と比較すると、その大きさがよくわかります。鎌倉の美しい山々を背景に、まさに「大仏」と呼ぶに相応しい巨大スケールで鎮座する勇姿は、必見です。
写真:渡部 洋一
地図を見るその大きさに圧倒された後は、大仏様のご尊顔に注目です。
かの有名な歌人・与謝野晶子は、鎌倉大仏について「美男におわす」と詠みました。顔の長さだけでも2m以上あり決して「小顔」とは言えませんが、その端正な顔立ちが「イケメン」と評されることの多い鎌倉大仏。顔の好みは人それぞれなれど、その圧倒的な知名度と存在感を鑑みれば、「鎌倉を代表するイケメン」と言っても過言ではないでしょう。
大仏様のお顔をじっくりと拝見すると、その目は切れ長です。これは「真青眼相(しんしょうげんそう)」と呼ばれる目で、すべての物事を見通すと言われています。伏し目がちに下を向いているのは、見上げる参拝者と目を合わせるためとされ、切れ長の美しさだけでなく、人々を見守る優しさをも感じる目です。
眉間には、丸い突起物が目立ちます。実はこれ、ホクロではなく「毛」です。「白毫(びゃくごう)」と呼ばれる右巻きの毛のかたまりで、人々を照らす光を発するもの。そして、人間のイケメンには見られない、大仏様ならではのミステリアスな魅力も放ちます。
写真:渡部 洋一
地図を見る大仏様のオシャレな髪型。実はこれ、パンチパーマではなく「肉髻(にっけい)」と言います。髪の毛ではなく、頭部が円盤状に隆起したもので、悟りの証。仏の身に備わる32種の優れた特徴「三十二相」の1つで、超人的なものの象徴されています。
写真:渡部 洋一
地図を見る大仏様のお顔は、その右頬にも注目です。
造像当初、鎌倉大仏の表面には金箔が貼られ、眩いばかりの黄金に輝いていたと考えられています。その名残は現在でも確認できます。大仏様の右頬には、わずかに残る金箔が。
巨大な、本当に巨大な大仏様が、きらびやかな黄金をまといこの地に鎮座していた往時の姿は、それはそれは神々しく豪華絢爛なものであったことでしょう。
写真:渡部 洋一
地図を見る仏像の手の形や組み方のことを「印相(いんそう)」と言います。
鎌倉大仏の印相は、膝の上で両手を組む形。阿弥陀仏の印相の中でも最も格式が高い「上品上生印(じょうぼんじょうしょういん)」と呼ばれ、最高の悟りの状態を表しているとされます。
有名な奈良の大仏の印相は、右手を上げる「施無畏(せむい)」と左手を膝の上に乗せる「与願印(よがんいん)」であり、人々に力を与え願いを叶えるといった意味を持ちます。
鎌倉大仏と奈良の大仏の印相は、その形だけでもはっきりとわかる違いがあります。印相の形や意味にも注目することで、大仏様の鑑賞がより一層楽しいものとなるはずです。
写真:渡部 洋一
地図を見る鎌倉大仏は、なんとその中に入ることもできます。
写真:渡部 洋一
地図を見る広く高い大仏様の内部では、30回以上に分けて鋳造を繰り返したという、造立時期を考えると驚くほど高度な技術の痕跡を間近に見ることができます。
大仏内部の見学には、高徳院の入場料とは別に胎内拝観料20円が必要ですが、国宝の中に入れることを思えば、その価値は十分すぎるほど。一般観光客が内部を見学できることは、奈良の大仏にはない鎌倉大仏の大きな魅力の1つです。
世界遺産登録を目指す観光都市・鎌倉。街中に点在する数多の名所旧跡の中でも圧倒的な存在感を放つ大仏様は、まさに鎌倉のシンボルです。本記事では、そんな鎌倉大仏をより深く鑑賞するためのポイントをご紹介しました。
「大きい」だけではない、造形の美しさや高い技術、そこに込められた人々の想いなど、鎌倉大仏には本当に多くの魅力が詰まっています。それらを感じることができれば、大仏様の鑑賞はもちろん、鎌倉という歴史都市の観光そのものが、ますます豊かで楽しいものとなるでしょう。
鎌倉大仏へのアクセス、拝観料、拝観時間等の情報は、記事下部にある「MEMO」からご覧いただけます。
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(2024/4/23更新)
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