赤滝鉱泉は谷底に建つ一軒宿。さすがに秘境と呼ばれるだけあって宿までの道もそれなりの険しさではありますが、車であれば何の問題もありません。
宿へは東北自動車道を矢板I.C.で降りて県道30号を左折し、10q程直進すると左に県道56号が見えるのでそこを道なりに進みます。すると約7qほどいったところで「小滝鉱泉入り口」と書いてある看板があるのでそこを左折して行くのですが、ここからはダート状の林道が続き対向車とすれ違うのは不可能なので要注意です。
そんな林道をしばらく進むとやっと赤滝鉱泉の駐車場が見えてきますが、まだそこから宿へは100mほど未舗装の急斜面を下ったところにあります。駐車場から宿への道はあまりの悪路のためオフロード車以外は到底たどり着くことが難しいので、普通の車はこの駐車場で止めてから徒歩で宿まで向かうことになります。秘境と呼ばれる理由の一端がここに表れていますね。
駐車場から宿へ徒歩で行く場合、ほとんど未舗装の道を荷物を持って下っていかねばならないので暑い時期には多少汗をかくことになると思いますが、それもその先にある秘湯を思えばなんのその。周りは自然に囲まれているので、秘境感を存分に味わいながら宿へと向かいましょう。
下りの場合は5分も歩けば、そこには谷底にひっそりと佇む赤滝鉱泉に到着です。「どうやってこんなところに宿を建てたんだ」と言いたくなってしまうような環境ですが、秘湯好きにとってはまさに垂涎の立地ではないでしょうか。ここには俗世とは違った時間が流れているようでもあります。
ちなみに宿へは歩きで来られる方も少なからずいるようですが、矢板駅から片道1000円での送迎も行っているので電車で来られた方は無理せず送迎をお願いしましょう。
赤滝鉱泉は江戸時代から続く湯治場であり、初めは近在の農民が湯治で利用していたところ、その効能が広く知れ渡るようになり遠方からも湯治客が訪れるようになったとのこと。そんな湯治場としての雰囲気を今も大切に伝えているのがこの赤滝鉱泉なのです。
木造の民家風の宿は今では手に入らないような貴重な木材が使用されているようで、宿の中は静かに、しかししっかりと歴史を刻んできた宿が持つ落ち着いた雰囲気で溢れています。
そんな建物が醸し出す空気の中で入る鉱泉の味わいと言ったら、他には変えられないほどの満足感を得られることは間違い無し。日帰り入浴も行っていますが、赤滝鉱泉を訪れる際は是非宿泊しての利用がオススメです。
浴場は鄙びた鉱泉宿によく似合う非常に渋い造りで、湯治場としての歴史を雄弁に物語っています。またその設備も非常に簡素なもので、シャワーもなければ蛇口から出てくるのも水のみ、更に言えばリンスやシャンプーといったソープ類もないのでその点は注意が必要です。昔からの湯治場では石鹸やシャンプーなどの使用を禁じているところもままあるので、どうしても使いたい方は宿へ確認をとってから持参するのが良いかと思います。
湯船は大人が2人も入れば一杯程度の大きさですが深めに造られています。石で囲まれた木製の造りで重厚感があり、更に風呂蓋も厚めの板で作られているため、蓋を開けると温泉の匂いよりもむしろ木の良い匂いが湯気とともにモアっと立ち上り、否が応でも期待が高まります。
そんな鉱泉の泉質は単純酸性・鉄冷鉱泉。鉄分を多く含んだ湯は空気に触れ加熱されることでいかにも効能が期待できそうな赤褐色に変色します。その加熱方法もガスではなく蒔で沸かしているため、パチパチと蒔が爆ぜる音と共に蒔が燃える良い香りがうっすらと浴場を包み、それもまた秘湯感を演出する一つの要素となっています。
しかしここで1つ注意が。蒔で沸かしているため当然温度調節などはできないので、沸かしたての場合は大変熱くなっている場合があります。まずは手や足の先などで温度を確認して、どうにも熱ければ湯船の左側にある赤いバルブから源泉を出して埋めてから入浴しましょう。適温になれば後は蒔の爆ぜる音と香りを楽しみながら歴史深い鉱泉に浸かるだけ。のんびりと非日常を楽しみましょう。
赤滝鉱泉はまさに時間の流れが止まってしまったかのような一軒宿。周りにはただ木々が生い茂り川が流れるばかりなので、静かに読書をしたりただひたすらに寝てみたり、あるいは宿のそばを流れる川で釣りをしたりと過ごし方は様々。来られる際は是非一泊して、静かな環境の中でのんびりと鉱泉を味わいながら、思い思いにゆるりと流れる時間に身を任せてみてはいかがでしょうか。
「赤滝鉱泉」
電話番号:0287-43-0940
宿泊料金:7000円(一泊二食付き) 自炊:4000円
日帰り入浴:500円
営業時間:9時〜19時(事前に問い合わせるのが確実です)
※片道1000円で駅からの送迎あり
※携帯は圏外になります。
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