和歌山県田辺市の道の駅「紀州備長炭記念公園」は、「紀州備長炭」発祥の地と言われ、古くから炭焼きの里として栄えてきた田辺市秋津川地域にあります。現在も昔ながらの製法の炭焼きが行われており、道の駅併設の「紀州備長炭発見館」では、当時の炭焼きの様子が再現されています。
国内での木炭製造は全国各地で行われていますが、カシ・ナラなどを原木として使用している地域が多く、「ウバメガシ」という木を使って木炭製造を行っているのは全国でも多くありません。
そもそも「備長炭」とは、備中屋長左衛門(略して備長)が「ウバメガシ」を使って木炭を作ったことから名付けられたもので、「ウバメガシ」を使っていないものは「備長炭」とは呼びません。
日本にある木の多くが木炭製造に使われますが、「ウバメガシ」を使った「備長炭」は、炎や煙が出にくく長時間燃焼するため調理に向いており、鰻や焼き鳥を焼くのに最適です。高級料亭での炭火焼には「備長炭」が使われることが多いですが、「紀州備長炭」はホームセンターなどで販売されることはまずないため、一般のバーベキューなどで使われることは多くありません。
「備長炭」は調理以外にもさまざまなものに利用されてきました。1920年代から1940年代にかけては、国内で「木炭自動車」が多く製造されました。ガソリンエンジンが普及する頃には徐々になくなっていきましたが、現在でも一部地域に木炭自動車は現存しています。
「備長炭」の内部には無数の穴が開いており、においの吸着に優れていることから消臭剤として使われたり、水道水のカルキ臭を取り除くことから水の浄化にも使われています。
また「備長炭」を使ったアクセサリーやインテリア、オブジェなどにも利用されています。
「備長炭」の特徴でもある硬さを使って「炭琴」という楽器も作られています。たたくと高い金属音がするので、「木琴」や「鉄琴」の代わりとしても使われ「炭琴」で演奏されたCDも販売されています。また、「備長炭」の音色のよさから、風鈴に加工されたりと、さまざまな使い方がされています。
「紀州備長炭記念公園」がある田辺市の隣には、南高梅の産地として有名な、みなべ町があります。このみなべ町にある道の駅「みなべうめ振興館」は、道の駅の施設に資料館が併設されており、南高梅について詳しく学べます。
梅の王様とも呼ばれる「南高梅」発祥の地とされるみなべ町。南部川に沿って広がる山の斜面に見渡す限りの梅園が続いており、日本一の梅林と名高い「南部梅林」には多くの観光客が訪れます。
「みなべうめ振興館」併設の資料館2階には梅林の大パノラマが広がっており、梅林から見渡すみなべ町の風景が再現されています。
資料館の1階には歴史民俗資料が展示されており、みなべ町の農耕の歴史や、町の成り立ちなどが紹介されています。
2階は南部梅林の大パノラマと、日本人と梅とのかかわりについての興味深い展示があり、「梅と文学」のコーナーでは、古来から日本文学に大変多く登場する「梅」についての詳しい紹介がされています。
資料館では、みなべ町で生産している梅の種類についての紹介があります。「南高梅」ばかりが注目されがちですが、「青いダイヤ」と呼ばれる梅酒向きの品種「古城」や、「南高梅」の受粉にかかせない「小粒南高」という品種も栽培されています。
日本の梅の約6割が和歌山県産で、「南高梅」はそのトップブランドとしても有名。「南高梅」がなぜ最高品種かというと、果実が大きく種は小さく、果肉が厚くてやわらかい、という特長をもった梅だからです。
みなべ町の「南高梅」は、2006年には特許庁から「紀州みなべの南高梅」として商標登録の認定を受けました。
町のあちこちに見られるみなべ町の梅ですが、道の駅近隣には、みなべ町の梅を使って「梅干作り体験」や「梅ジュース・梅酒作り体験」などが体験できる施設もあります。
「みなべうめ振興館」の3階にある物産コーナーでも、地元産の梅を使った商品が数多く販売されています。また、屋上に上れば梅畑が広がるみなべ町の風景も一望できます。
和歌山県の田辺市とみなべ町は、紀州備長炭と南高梅の一大産地。この2つの地域にある道の駅では、備長炭とはどういう炭か、南高梅がどうして最高級なのかなどの疑問が、すべて解決される資料館が併設されています。備長炭を使ったバーベキューや、南高梅を使った梅干づくりなどの体験ができる施設もあるので、備長炭や南高梅について楽しみながら学習ができます。紀州和歌山が誇る名産をより身近に感じてもらえるおすすめスポットです。
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