写真:藤井 麻未
地図を見る京都の繁華街、河原町から烏丸まで続く三条通りは、両側にお洒落なカフェや雑貨屋、レストランが並ぶ人気の通りだ。この三条通りが烏丸通りと交差した先に素夢子古茶屋はある。店内には常連らしき人々がゆったりとカウンターで寛いだり、はたまたバリの東屋風の半個室ではじっと読書に耽る人も。カフェにはやはりこのゆとりが欲しい。
年々京都を訪れる観光客も増え、人気のカフェは常に混み合うのが宿命ともいえる中、好立地で雰囲気も素敵、料理も美味しい、その三拍子揃っている素夢子古茶屋がなぜここまで静けさを保っているのだろうか。その訳はこのカフェが人通りの多い三条通り沿いにありながら絶妙に目につきにくい場所にあり、更にすぐ向かいには常に行列の絶えない人気カフェ「伊右衛門サロン」があるということだ。
写真:藤井 麻未
地図を見る三条通りもこの辺りになると交差した烏丸通りを四条または御池の方に移動していく人が多くなる。烏丸通りの交差点を超えてまで西に向かう人は、何かしら目的がある人に限られるのだ。
素夢子古茶屋は石塀に囲まれ、目立つ看板が大々的に出ていないのでよく見ないとカフェだと分からない。そしてこの交差点を越え、素夢子古茶屋より一段早く目につく場所に有名カフェ「伊右衛門サロン」がある。必然的に、伊右衛門サロンの方に目がいきがちになるのだ。こうした様々な条件が重なって、素夢子古茶屋の周囲だけ混雑とは無縁な静寂に包まれている。
写真:藤井 麻未
地図を見る素夢子古茶屋は、京都ではお馴染みの京町屋とも一味違う、独特の門構えをした一軒家だ。よく見ると二階部分には「三条誉田屋」という看板が。実はこの建物は、創業280年の帯問屋「誉田屋」の一階部分を改装利用している。
カフェのオーナーは誉田屋の十代目当主、山口源兵衛氏と妻である韓国人のシム・ヨンギョンさん。町屋を利用したカフェは京都に多いけれど、この建物は帯問屋らしくもう少し重厚な佇まいをしている。日本家屋ながら周囲の土塀にはどことなく異国情緒が漂い、重々しい扉の奥は仄暗く、ぼんやりと明かりが灯っている。「一体ここは・・・?」そこだけ時が止まったかのような静寂に包まれ、思わず覗いてみたい衝動に駆られるだろう。
写真:藤井 麻未
地図を見る重い扉が開くと、内部には想像以上の素敵な空間が広がっている。まず目の前には小上がりがあり、そこには広々としたカウンターが。キッチンに置かれた様々な薬膳の食材を眺めているだけでも面白い。古びた木目調で統一された内装、韓国を始めバリなど南アジア各国から取り寄せられたアンティークの調度品などが不思議なほどに調和して、癒しの異空間を造り上げている。
写真:藤井 麻未
地図を見る和風な内装でもありながらアジアの異国を思わせる調度品に囲まれ、椅子やテーブルもどこかエキゾチック。バリ島の東屋を思わせる半個室へは靴を脱いで上がる。裸足で上がる畳の床は心地よく、包まれるような温かみが感じられる。思い思いの姿勢で寛ぎ、ついつい長居してしまいそうだ。
写真:藤井 麻未
地図を見る気候が良い日はオープンエアのテーブル席も癒される。もともとこの界隈は比較的静かだが、土塀に囲まれているお陰でより一層プライベート感がある。塀の外からはそよ風が吹き込み、緑の木々は清涼感たっぷり。どこか日本ではないアジアの異国に来たかのような気分に浸ることができる。
写真:藤井 麻未
地図を見る素夢子古茶屋のメニューの特徴は、お茶やスイーツ、料理が韓国薬膳・漢方である点だ。特にお茶については京都でもこれだけの種類の漢方茶を取り揃えている店は珍しいと言って良い。
女性に嬉しい鉄分たっぷりのナツメ茶や美肌に良い柿の葉茶、便秘やダイエットに効く桑茶などの珍しいオーガニックティーの数々。もちろん、漢方が苦手という方には柚子茶などもあるのでご安心を。よもぎラテや黒胡麻シェイクなどデザート感覚で飲めるメニューも面白い。手にしっくり馴染む温かみのある茶器がまた良い味を出している。
写真:藤井 麻未
地図を見るスイーツ類はバニラアイスに柚子ゼリーやナツメのチップなどがトッピングされたパフェ、伝統茶ケーキなど魅力的なメニューが並ぶ。中に胡桃、黒糖、シナモンが入った韓国のパンケーキ「ホットク」のアイスのせは、うっすらかかった蜂蜜とカリカリの生地との相性が抜群だ。中はもっちりしていて満足感たっぷり。温かいホットクとたっぷり添えられたバニラアイスのコントラストも最高だ。
写真:藤井 麻未
地図を見る素夢子古茶屋では食事もできる。とりわけ滋味あふれるランチセットは人気だ。コックリとした甘みととろみが絶妙のかぼちゃ粥や、優しい味の鳥粥をはじめビビンバなど定番の韓国料理も。いずれもヘルシーなおかずがセットになって出てくる。
写真:藤井 麻未
地図を見る素夢子古茶屋は、供される器のひとつひとつやさり気なく飾られた照明などがどれも個性的で素敵だが、そんな器や雑貨を店内でも展示販売している。ベトナムや韓国などから輸入した食器類はどれも使い勝手が良く、かつどんなダイニングにもしっくり合うシンプルなデザインだ。ランチのお粥が入れられている粥椀などは、コロンとしたフォルムが可愛らしい。
写真:藤井 麻未
地図を見るまた、柿渋染を使った袋物やストール、ランチョンマットなどは素夢子古茶屋のオリジナル。暖かみのある色味はひとつひとつ風合いが異なって使うほどに味が出るのだという。
写真:藤井 麻未
地図を見る店内のあちらこちらに見え隠れする印象的な照明は「ホオズキ灯」という。文字通り鬼灯そのものがランプになっていて、中からオレンジ色の暖かい明かりを発する。ちょっとしたインテリアのアクセントに如何だろうか。
さて、カフェ激戦区の京都中心部にありながら不思議な静寂に包まれた癒しカフェ「素夢子古茶屋」。滋味溢れる様々な薬膳メニュー、アジア各国の雑貨や調度品に囲まれたエキゾチックな店内は不思議と心が休まる別世界だ。有名店も良いけれど、行列にはげんなりしてしまう・・・穴場なカフェで心身共に癒されたいという方は、ぜひ素夢子古茶屋を訪れてみて欲しい。
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(2024/4/24更新)
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