源平合戦で知られる屋島のすぐ近く、香川県の県道36号線を海沿いに沿って北上し、高台の景色の良い場所にひっそりと佇む美術館があります。その美術館の名前は「歯ART美術館」。「歯」と「ART」が一緒になった少し珍しい場所。
入り口の白いゲートには「歯ART美術館」とあり、その文字の上には「HA ART」ではなく「HEART」になっています。そう、ここには心に響く何かがきっとあるはずです。
写真:旅人間
地図を見る駐車場の目に前は海景色が広がり、牡蠣の産地として知られる志度湾が一望できます。「いい眺め」と爽やかに伸びをして景色を楽しみたいところですが、目の前には手のひらをデザインした不思議なイス。近づけば「この椅子に座ってみませんか?きっと幸福になれます」といった文言。ヤバイ場所に来てしまったかも…とここで不安に感じる心配はありません。もうARTの世界が始まっているのです。
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地図を見るARTとは芸術という意味ですが、これも芸術なのかしら?とキョトンと見てしまうのが道しるべの標識。歯ART美術館から他の場所への方向と距離示している先はロサンゼルスやニューヨーク、ロンドン、シドニーなど…。「この情報って要る?」と突っ込みたくなるけど、とにかく面白いものがこの先にあることを想像させてくれます。
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地図を見るちなみに、この場所には「しゃぼん玉で遊ぼう」と書かれた張り紙と灰皿にしか見えない大きな器が。そこには洗剤が入っていて、無性にシャボン玉で遊びたくなってしまいます。これもARTの一種なのかと思いつつ、無邪気にシャボン玉で遊んでいると……ふと誰かの視線を感じるでしょう。
写真:旅人間
地図を見る歯ART美術館の敷地内には埴輪のような置物がそこら中にあり、まるで口を開けて「あーん」としているような不思議なものが色々と目に入ります。
その中でも圧倒的な存在感というか、先ほど視線を感じた正体は、顔の中に口しかない不思議な像。目も鼻も耳もない。目がないのに視線を感じるというのも変ですが、視線を感じるから仕方ありません。
写真:旅人間
地図を見るしかもこの不思議な像は1体や2体ではなく沢山あり、もしもゲゲゲの鬼太郎が存在したら「妖怪アンテナ」がピーンと立ちそうな…。それほど強烈な存在感。ARTの力は実にスゴイ!
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地図を見るこの圧倒されるようなインパクトについて、受付の方は「ここは歯ART美術館ですから」とニコッと笑ってくれるはず。この像は高石覚さんの「message from gaia」という作品。顔には口と舌と歯があるだけで、とんでもない表現力、これぞ正しく歯のARTです。
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地図を見る歯ART美術館に入館すると4階から始まり、下へ下へと進みます。4階は企画展示室があり、ここでは2ヵ月ごとに内容が変わり様々なART作品が見られます。3階はコレクション展示や研究室、そして2階が「歯に関する展示室」となっています。
歯科技術を紹介するコーナーでは、インプラントの歴史や差し歯や入れ歯の製作工程など紹介されています。また大正時代に第一生命初代会長であった矢野恒太氏専用の治療イスの展示や、100年前のイギリス製義歯セットなど貴重なものも見られます。
写真:旅人間
地図を見る義歯展示コーナーの奥には、思わず「ギョッ!」と言ってしまいたくなるようなオブジェがあります。なんと研究用に全国から集められた使用済み5000個の入れ歯の塊。
これらは全て研究資料になったもので、「どこが折れているか?」「どこが壊れているか?」「どこが擦り減るか?」などに役立ちました。ちなみに1個平均7万円として×5000個で3億5000万円分の入れ歯だそうです。そう言われても、あまり近くでは見たくないですね。
写真:旅人間
地図を見るこの「歯ART美術館」の3Fにはクラシックカメラやお面や美術工芸品などのコレクションの展示室があります。一見すると趣味の延長に見えますが実はそうとも限りません。
ここで展示されている世界中のお面、実は、これらは良い歯を作るための顔の研究目的に収集されたもの。民族による骨格や歯並びの違いを知るための資料の一つだと言うから驚きです。入れ歯の研究って奥が深いですね。すごい!
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地図を見る少し怪しい印象から始まった「歯ART美術館」ですが、ここでは「歯」がいかに大切で重要な存在であるかを感じさせてくれます。健康な歯をいつまでも持続する事が出来れば何よりですが、もし歯を失ってしまった時、入れ歯、ブリッジ、インプラントなど義歯の存在は本当にありがたいもの。そんな義歯について詳しく知ることが出来る美術館なのです。
館内の見学を終え外に出ると、目の前の急な坂道には先ほどの口と舌と歯だけの石像が複数見えます。このインパクトは何度見ても変わらず、まさに芸術です。
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地図を見るこの「歯ART美術館」は年中無休で、開館時間は10時〜17:00まで。入館料は600円です(2017年6月現在)。少し個性的にも感じる美術館ですが、「歯」と言うテーマで全てを振り返って見ると、お面や入れ歯のオブジェなど全て研究として使われたもの。私たちの生活を快適に過ごせるのも、このような研究のお蔭と思えば奥深く感じます。興味のある方は是非、立ち寄ってみては如何でしょうか。
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(2024/3/19更新)
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